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温かな雰囲気の中で提供される、飾らないシンプルなマンマ料理
メニューは季節や仕入れによって少しずつ変わる。新潟の実家から送られてくるツキノワグマや魚沼産のイノシシがメニューにのることもあれば、菜の花やふきのとうといった季節の訪れを感じさせる食材を使ったものも。前菜はイタリア産生ハムや鶏白レバーのブルスケッタなど常時10種前後を用意しており、単品はもちろん、好きな3種を選んで盛り合わせで注文することもできる。
あまりのふわふわ感とミートソースの上品さに驚く至福のラザニア

シェフ特製“ふわふわ”ラザーニャ1,529円。薄くのばした自家製生地を6層に重ね、ふわっふわの食感に。コクのあるベシャメルソース、ほんのり酸味のあるミートソースも交互に重ねて奥行きのある味わいに仕上げている。パスタはその時々で内容が変わるが、ラザーニャは定番。これを楽しみに通う人も多い。

小寺さん
駒形シェフのパスタ料理の中でもとくに好きなのがラザニア。生地が厚すぎたり、水分が少なくてもそもそしたりするラザニアは好みではないのですが、初めていただいた時に、そのふわふわ感に驚愕。ベシャメルソースとミートソースの味も上品で、ひとりでもペロリと食べられます!

オリーブオイルとアンチョビで炒めたホタルイカとふきのとうは、まさに今が旬。手打ちのオレキエッテとのもちっとした食感も小気味がよく、ワインがすすむ。
ワインを誘う前菜で、今夜はスタートから食欲フルスロットル!
最近はイタリアンでもフレンチでも、ジャンルに限らずアラカルト派が増えていると聞くが、その楽しさは前菜もメニューも好きな料理を好きなように組み立てられる点にある。最初は軽めですっきりした白ワインを飲みたいから、魚を使った前菜を頼み、メインが運ばれてくるまで、何を食べようと思案する時間もレストラン好きの心をときめかせるもの。「チェルヴォ」の前菜は生ハムやフリッタータなど、シンプルなものが多いが、だからこそ、飾らない“マンマの家庭料理”のように毎日でも食べたくなる。

マンテカートとは、こねるという意味。イタリアでは干し鱈を用いることが多いが、火入れした真鯛とジャガイモを一緒につぶして成形。口当たりもなめらかで上品な塩味にワインがすすむ。

小さなポーションの前菜は常時10種前後用意しており、その中から好きな3種を選ぶことができるのも魅力。それをつまみながら駒形シェフとの会話を楽しみ、メインが出来上がるのを待つのも心浮き立つ時間だ。

小寺さん
すごくお腹が空いているときでも前菜をささっと盛り合わせて出してくれるのがうれしいです。ワインを飲みながら少しずつ、いろいろな料理をつまみたいときにもぴったり!
最後まで多幸感が止まらない! 手の込んだメイン料理に胃袋をつかまれる!

メインの中でも駒形シェフの火入れの技を感じるのが、肉料理。イタリアンでは定番のタリアータをはじめ、季節によってはツキノワグマやイノシシが登場することも。ボリュームもしっかりあるため、前菜やパスタもいろいろ食べたい場合は2人で1皿をシェアするのもおすすめ。時には力強い旨味を、ときには優しい脂の甘みを、と肉の個性を軽やかにしなやかに引き出す手腕に“ベテラン”の技とセンスを感じる。

小寺さん
イタリア語で“包む”や“巻く”を意味するインヴォルティーニに着想を得た一品は、しっとりとした豚肉と生ハムの塩味がベストマッチ。これをメニューに見つけたら、すかさずオーダーします。

イタリアのどんな街にもあって、地元の人に長く愛され続けているのはこういうお店なんだろうなと通うほどに思う「チェルヴォ」。都心から少しだけ離れて、飾らないイタリアンを味わいたいときにぜひ行ってみていただきたい。
誠実なシェフが作る心温まる料理を味わえば、また「ただいま」と、ここに帰ってきたくなるはず。