作りたてのベーシックなフレンチコースでもてなす
ラドレのミニバーガー
会津産の鮮度が良い馬肉をフレンチの味わいにし、生肉の風味を活かした具材のバーガーは、コースの最初に定番で出している。馬肉と合わせているソースは、胡桃のドレッシングやマスタード、タバスコ、エシャロット等、数種類の調味料や素材を合わせて絶妙な配合。このソースは一緒に働く妻の久美子さんがいつもオープン前に季節や気候、食材のバランスを考慮し作っているそう。黄色のチーズのように見えるのは、実は自家製のマヨネーズ。馬肉の旨味とソースの酸味のあるアクセントを損なわずに、全体をまろやかに演出している。
しかも、バターたっぷりのバンズまで自家製というから驚きだ。季節によってスパイスの配合を変えているというこだわりぶりに、料理への情熱がひしひしと伝わる。
山本さん
最初の方に出てきて、掴みとしてとてもいいメニューだなと思いました。
スープドポワソン
口に入れる前から魚介の出汁の良い香りに魅了される濃厚なスープ。こちらは、エビと魚のアラのエキスの旨味が、たっぷりと詰まっている。とろみのあるテクスチャーが印象的だ。そこにトマトの酸味とサフランなどのスパイスに香味野菜、白ワインが合わさり、少量でもしっかりとした味わいは飲み応えがある。エビをローストして炊き、細かく砕いて旨みだけを抽出する工程があると聞くだけでも、手の込んだ職人技だとわかる。
山本さん
生臭さのない旨味だけを濾したような味わい、ビストロ料理のクオリティを超えているなと思いました。
ブーダンブラン
こちらは5,500円のショートコースのメインで提供しているブーダンブランのディッシュだ。ソーセージは肉を捏ねて腸詰をして作った自家製である。通常はソーセージというと日持ちするように作られるものだが、作り置きは一切せず、鮮度を優先に提供。腸詰された鶏と豚の肉には、シナモンやタイムといったスパイスを一緒に練り込んでいる。
ソーセージ単体でいただくと、とても柔らかくスパイスがよく溶け込んでいて、驚くほど爽やかな後味だ。ではこのソーセージにソースを合わせると、どんな感じになるのだろう? チーズ入りでコクがあるジャガイモのピューレとマッシュルームの上品な香りが特徴的なソースは、このソーセージに合うように計算して作られており、ソーセージの肉感をうまく引き出している。 特にマッシュルームのソースは旨味を凝縮するため水分を極限まで減らし、子牛のだしと生クリームを加えて作っているので、素材の魅力を十二分に味わえ、たっぷりとソーセージに絡ませたくなるのだ。
鳩のロールキャベツ
フレンチでは定番の鴨と並び、高級食材として人気のある鳩肉を使ったメインディッシュの一品。キャベツに巻かれているのは鳩肉以外にはフォアグラ、ごほう、栗、プルーン、豚肉と鳩肉のミンチだ。これに赤ワインとバルサミコなどを合わせたトリュフを使ったソースが、とても良い仕事をしている。
これは白金にある名店のフレンチのシェフにインスパイアされて誕生した料理だそう。古山シェフのオリジナリティを加えて完成させた自信作の一つだ。クリスマスシーズンに期間限定で提供したところ好評だったため、定番メニューとなった。色々な具材や調味料を足し算して親和性を表現したこの料理こそ、シェフが料理人として今表現したい特別な料理。こちらはリクエストがあれば1週間前に予約して、コースメニューのメインとして食べることができる。
家庭的な空間でいただく本格フレンチを、特別な日やちょっと贅沢がしたい日に、友人宅へ遊びに行くような感覚で来て欲しいと古山氏は言う。ビストロと店名にあるが、ベーシックで作りたてを基本としているフレンチはコースのスタイルで提供され、どの料理も手が込んでおり高級店にも匹敵するクオリティだ。基本は5,500円と9,900円のコースだが、相談の上、料金をプラスしてメインを変えられるところも自由度が高く魅力的である。
スタートからご夫婦で切り盛りをしており、二人との会話を楽しみに来店している客がいるのも頷ける。フレンチを食べてみたいけどハードルが高いと感じてしまう人や小さい子どもを連れては行きにくいと感じるファミリー層などに、とてもおすすめしたい店。家族で貸切をしてディナーやランチの団らんを楽しんでみて欲しい。