大きなパンにチーズと肉、シンプルでド直球なアメリカの味を体感!

うらさんイチ押しの「プルドポークサンド」や、一度は試してとすすめる「チーズステーキ」、絶品「ブリスケットサンド」などをご紹介。日本ではあまり知られていない本場アメリカを感じるソウルフード、ぜひ味わってほしい。

しっとりジューシーな豚肉にハマる人続出の「プルドポークサンド」

豚のブロック肉を12時間かけてじっくり火を通し、引っ張るようにほぐして(プル)食べるバーベキュー料理が「プルドポーク」。テネシーやノースカロライナなどアメリカ南部で愛される名物料理で、無駄な脂がきれいに落ちてホロホロになった豚肉に、特製バーベキューソースをからめて味わう。

甘辛味の特製バーベキューソースで和えたプルドポークを、厳選したバンズにたっぷりのせていく

バーベキュー料理と聞くと豪快でジャンクな印象が強いが「実際に作ってみて、こんなに繊細なアメリカ料理があったとはと驚きました」と橋本さん。

「ブロック肉に『ラブ』と呼ばれるミックススパイスを擦り込み、温度管理をしながら十数時間かけて焼き上げるのですが、焼き方にもいろいろあり、どれが正解というものはありません。それだけ探究に奥深さがあり、この仕事をしていて飽きるということはありません」(橋本さん)

「プルドポークサンド」1,030円。食べやすいサイズもあってか女性客のリピート率が特に高い

一口に「プルドポーク」といってもいろいろなものがあるそうだが「トヨダチーズステーキ」最大の特徴は肉の柔らかさにある。

本場アメリカでは薪や炭が使われるが、ここで熱源として使用するのはアメリカ製エレクトリックスモーカー。「焦げ目がつきにくい代わりに、お肉がもつ水分量を残せるだけ残して焼き上げることで、ふわっと柔らかくジューシーなプルドポークに仕上げています」と橋本さん。

バターが香るブリオッシュ生地のバンズにプルドポークをのせ、自家製コールスローサラダをトッピングしたら「プルドポークサンド」のできあがり。「このバンズが大好きなお客様がとても多く、プルドポークにこれ以上ベストマッチなパンはありません」と橋本さんも太鼓判を押す。

 

うらさん

スパイシーでテンダーなプルドポークとコールスローのバランスが最高。甘めのバンズも口溶けがよく、このお店でしか味わえない最高のサンドイッチです。そのままで、一滴もこぼさず食べきってください。

牛肉、パン、チーズの一体感がたまらない「チーズステーキ」

素揚げして甘味を引き出した玉ねぎ、牛薄切り肉を食べやすくカットしながら手早く炒める

アメリカ人観光客から「フィラデルフィアで食べるよりおいしい」と絶賛されたサンドイッチ、それが店名にも冠された「チーズステーキ」だ。

20世紀初め、アメリカ北部ペンシルベニア州フィラデルフィアのホットドッグ店のまかない料理がルーツとされ、炒めた牛の薄切り肉と溶かしたチーズを、ホギーロールと呼ばれる安価なコッペパンにはさんで食べる。

「日本ではホギーロールが手に入らないため、牛肉との相性がよいバゲットを選んで使っているのですが、これがアメリカのお客様に好評です」(橋本さん)

軽くトーストしたバゲットにたっぷりの具をはさむ

本場ではややクセのあるチーズが使われるそうだが、同店ではボリューミーなサンドイッチを最後まで食べられるよう、チェダーチーズをベースにブルーチーズなどを合わせたオリジナルチーズをたっぷりかけて提供してくれる。

「見た目、チーズチーズしていて重いかな?と思われがちですが、これが意外とあっさりで、罪悪感なくペロリと食べられると喜ばれています」(橋本さん)

「チーズステーキ」1,100円。チーズは冷めても固まらず絶妙な粘度をキープ

牛肉は、肉の柔らかさと脂のバランスが絶妙な「リブアイ」と呼ばれる部位が使われているが、和牛のいいものが合うかというとそうでもなく、オーストラリア産なども試した中でアメリカ産がもっとも合うと落ち着いているという。

「お肉のジューシーさと柔らかさ、パンとお肉、チーズの食感と舌触り、これらの一体感を大切に、現時点でこれが最高という状態のチーズステーキをお出ししています」と自負する橋本さん。それだけに「フィラデルフィアのよりおいしい」という言葉は最高の褒め言葉に違いない。

 

うらさん

店名でもある基本のチーズステーキは一度試してください。半分くらい食べたところで、私はケチャップやマスタードを追加していただきます。

究極のバーベキュー料理「ブリスケット」をサンドイッチで堪能

スモーカーの扉を開けて肉の内部温度を確認。この日は焼き上がりまでに15時間を要した

うらさんが、こちらも絶品!とおすすめする「ブリスケット」は、「プルドポーク」「スペアリブ」と並ぶアメリカの三大バーベキュー料理の一つ。ちなみに「ブリスケット」は牛の肩バラという意味で、ブリスケットを制する者はバーベキューを制すと言われるほど難易度が高く、アメリカのバーベキューマニアたちはブリスケットがうまく焼けると、SNSなどで披露するほど大喜びするという。

「プルドポーク同様、塊肉にミックススパイスをまぶし、10時間以上かけて低温でじっくりスモークしていきますが、どのくらいのタイミングで肉をアルミ箔で包むかによって、仕上がりが大きく違ってきます」と橋本さん。

肉自身の蒸気を中に閉じ込めたまま焼き上がった肉は、繊維が壊れてぷるんぷるん、見るからにしっとりジューシーな仕上がりである。

一口サイズに切った「ブリスケット」とバーベキューソースをていねいに混ぜる
「ブリスケットサンド」1,500円。オニオンスライスとの相性も抜群

軽くトーストしたバンズにブリスケットをこんもりとのせ、オニオンスライスをトッピング、バターミルクやサワークリームなどで作った自家製ランチソースをかけたら完成だ。

シャキシャキのオニオン、なめらかなソース、ホロホロ、ジューシーなブリスケットの味が三位一体となり、満足度も大。「一見『プルドポーク』と似ていますが、『ブリスケット』は全く別のバーベキュー料理です」と橋本さんが話すように、味わいは全くの別物。ぜひ食べ比べてみてほしい。

 

うらさん

柔らかくジューシーに焼き上げられたブリスケットも絶品です。ハラペーニョといただくのもオススメ。

「ポテトフライ」でサンドイッチの旨味を余すところなくいただく

「ポテトフライL」540円。別添え可能な「チーズポテト」は550円

細身のシューストリングにカットされたカリカリのポテトフライは、うらさんも必ずオーダーする最強のサイドメニュー。やさしい塩気と心地よい食感が、本場のサンドイッチのおいしさをより引き立ててくれる。

 

うらさん

サンドイッチの旨味はポテトフライで受け止めて欲しいです。私は必ずLをオーダーします! 豪快にサンドイッチにかぶりつき、コーラを飲む。最高です!

この場所からアメリカのソウルフードを発信したい

見た目も洒落ているテイクアウト

イートインも可能だが、実は多いのがテイクアウトやウーバーイーツなどのデリバリーだ。食べたいなと思ったら電話1本、公式LINEのモバイルオーダーにも対応している。

交通量が多い甲州街道沿いでうれしいのが、車利用の人へのサービスだ。「車でのピックアップはアメリカでは一般的です。ドライブスルーではありませんが、店舗前に車を付けていただけたらお車まで商品をお届けしています。チーズステーキ1本からでも気軽に利用していただけたら」と橋本さん。

幡ヶ谷の小さなアメリカといった雰囲気が楽しい。カウンターに立つのは橋本晋一さん

フードトラックで販売されるなど、最近少しずつ日本でも見られるようになってきたものの、まだまだ知らない人も多いアメリカのソウルフード。ちなみに本場アメリカでは「チーズステーキ」はファストフード店、「プルドポーク」などはバーベキュー料理専門店と扱いが分かれているため、これらを一緒に出す店はほとんどない。北と南の名物料理を一つの店で提供する「トヨダチーズステーキ」は、そういう意味でも本場を知る人に喜ばれている。

「この場所をアメリカのソウルフードの発信地に」、そう意気込む橋本さんが作り出す「チーズステーキ」や「プルドポーク」などの肉料理は、もはやジャンクとは呼べない、繊細かつ本格的なアメリカ料理といってよい。

「チーズステーキにしても、いろいろなものがあっていいと思っています。例えば日本の特色を生かしたチーズステーキが完成したら、それが逆輸入的に広まるのも面白いですよね」と橋本さん。日夜研究を怠らない橋本さんの挑戦はまだまだ続く。

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:井原淳一
文:池田実香(フリート)