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サクッと食感のウロコがアクセントの「魚のスパイシーグリル」
食材をどう生かすか。これはロジャーさんの料理のテーマの一つでもある。それを象徴するのが「魚のスパイシーグリル」だ。魚の種類は仕入れによって変わり、その都度、どう調理するかを組み立てる。
この日はタイ。和の技法「ウロコ焼き」を取り入れ、ウロコをサクサクに仕立てた切り身を、コショウと貝類をはじめとした魚介を凝縮したソースと合わせた。XO醤のような濃厚な旨みとスパイスによる辛みが、さっぱりとしたタイと相性が良い。このソースは単体で食べると辛みが強いが、玉ねぎとシナモンの甘みがあることで、奥深い味わいが生み出されている。
山本さん
シンガポールで食べたおいしいフィッシュカレーを思い出したのですが、こちらも日本ではなかなか味わえないテイスト。そしてスパイスのセンスがいい。
スパイスソースと一緒にいただく「ムーンベイクドカボチャカレー」
これまた目を引く一品は、三日月形にカットし、オーブンで焼き上げたカボチャが主役。こうした野菜を中心に据えた料理もロジャーさんの特徴だ。「蓮根にはたくさん畑があり、いろいろな野菜が作られています。地域で取れた野菜も活用していきたい」と語る。
カボチャはスパイスソースを塗ってから時間を掛けて焼くことで、カボチャの甘みとスパイスの香りが渾然一体に。全ての素材の味がしっかりと感じられ、食材に向き合うロジャーさんの真摯さが伝わってくるようだ。
まるで本場の屋台気分!「エッグホッパー」
ホッパーとは、見ての通りお椀形に焼いたクレープのような料理のこと。同店ではコシヒカリの米粉を使用しており、カリカリ&モチモチとした食感がダブルで楽しめる。真ん中に卵を落としたものがエッグホッパーと呼ばれ、他にアイスをのせたスイーツホッパーもある。
ロジャーさんの気分で変わる「シフォンケーキ」
山本さん
甘すぎずで、こちらもセンスがいいデザートだなと思いました。
山本さんがそうリコメンドしてくれたのは、週毎やその時のロジャーさんの気分で内容を決めるシフォンケーキ。もともとはコースの最後などにサービスで出していたそうだが、人気ぶりからメニュー化が実現。
この日はシナモンのシフォンケーキだったが、運ばれてきた時点で濃いシナモンの香りが漂い、期待が高まる。一口で口いっぱいにシナモンの香りと甘さが広がる究極のシンプルさ。複雑なスパイスの味を堪能した後には、この潔さが丁度よい。
ロジャーさんのスリランカ料理をモダンたらしめているのは、自由なアイデアだ。フレンチや和の技法を取り入れ、食材の味を最大限に引き出す調理法。繊細なスパイス使いと大胆な盛り付け。そうして作り上げるロジャーさんの料理は、まさに驚きに満ちたロジャー劇場である。その魅力をぜひ、最前線で体験してみてほしい。