大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう!というこの連載。
[定番]編26回目となる今回は、24時間営業の店として渋谷で愛され続ける町中華「ラーメン王 後楽本舗」をご案内します。
【大人の渋谷メシ・定番編】第26回「ラーメン王 後楽本舗」
渋谷で遊んでいた経験のある人なら、誰しも一度はお世話になったことがあるんじゃないかという町中華の名店が「ラーメン王 後楽本舗」。
なにしろ24時間営業! 飲み歩いた後の深夜の締めはもちろん、オールした日の朝食にも利用できる、遊び人の強い味方。もちろん近隣で働くサラリーマンにとっては、ランチスポットとしても人気です。
あれも食べたいこれも食べたいと、券売機の前でとにかく悩むのが、後楽に入るための通過儀礼と言えます。 がっつり系の町中華なので、普段は1種類しか頼めませんが、今日は順序を立てて、あれもこれも名物をしっかり紹介したいと思います。
町中華と言えば、まずは一品料理で「ニラレバ」! 見てください、このおいしそうな輝き。
大ぶりながら薄めにカットされているので、野菜と一緒に食べると相性が抜群です。
これはビールを行くしかない! 渋谷の駅前で、昼にニラレバでビール。ここは天国か!! 令和の都会で、時間を忘れる空間です。
続いてこちらもツマミの代表格「肉野菜」。もやし・ニラ・ニンジン・キャベツと、野菜をたっぷりとれるのもうれしいところ。
さらに後楽と言えばの一品がこちら。
今はなき有楽町の「後楽そば」の名物でもあったソース焼きそば。シンプルながら飽きのこない確実な味。
酒呑みの禁断の組み合わせ、それは炭水化物呑み。締めの麺ではなく、お酒のアテとして食べる麺、これが最高なのです。
しっかりとウェットなソース味をビールで洗い流すと、すぐまた「もう一口」と止まらない焼きそばビールループ、うーん、たまりません!
すっかりお酒も堪能したところですが、後楽はあくまで定食屋さん。ご飯ものも押さえておきましょう。
渋谷の駅前で、750円でがっつり定食を食べられるだけでもうれしい限り。厚めの豚肉がたっぷり入った生姜焼きは、見た目よりもあっさりと上品な味。マヨネーズ・キャベツと共に、オンザライスでいただきましょう。
いわゆる町中華では、シンプルなラーメンよりも、炒めた具がのった麺がおすすめ。ということで、あんかけもやしラーメン。とろみのついたあんが麺にしっかり絡まって、たまらないおいしさなのです。
麺を持ち上げるとズシッと重さを感じるほど、あんとスープが麺に絡まり、汁そばでありながら和え麺のような食べ応えもあります。特製のストレート麺は、パツンと歯切れもよく、麺・スープ・具が一体となって極上の味になるんです。
そして最後は後楽の一番人気のアレです!
渋谷の後楽と言えば、チャーハンを食べずして帰るわけにはいきません。お店一番人気で、次から次へと注文が入るやいなや、目の前で高速で炒められる光景は、もはや渋谷名物と言っていいでしょう。
しっとり系でちょっと塩気が強めなのも魅力。具はチャーシュー・ネギ・卵のみとシンプルイズベスト。
「チャーハンと聞いて、100人中100人が思い描く普通の味を作っているだけですよ」とお店の方は謙遜されますが、そんな普通の味を、毎日24時間、40年以上作り続けていることこそ、すごいことじゃないでしょうか。まさに町中華の鑑、正真正銘渋谷のソウルフードです!
そして後楽ファンにはうれしいプチ情報。メニューなどには書いていませんが、実は頼めば汁そば以外の料理はテイクアウトも可能なんです。
一人で行くとなかなかあれもこれもと食べられませんが、テイクアウトだったらそれも可能。チャーハン・焼きそば・ニラレバ・天津丼などなど、あれこれ持ち帰って、おうちで後楽パーティーもできてしまいます!
創業以来40年以上、渋谷の人たちの胃袋を支えてきた老舗の名店で、昔ながらの王道の味を楽しんでみてください。
※価格はすべて税込