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羊もタンもホルモンも鮮度がいいから何を食べても安くてうまい!
創業時から変わらない秘伝のタレで味わうマトン、ラム、ホルモンから塩と一味で味わう豚タンまで、めくるめく肉たちのオンパレード。横田さんおすすめ、オーダー必須の4品をご紹介。
イチ押しはすりニンニクで味わう「ジンギスカン」
開業60年になろうとする小原夫妻の出発点であり原点ともいえるのが、看板メニューの「ジンギスカン」だ。一般的に羊肉は成羊肉の「マトン」と仔羊の「ラム」に分かれるが、「ジンギスカン」は前者。羊特有のにおいが苦手という人も少なくないが、こちらで提供されるマトンは鮮度がよく、においが全く気にならない。
国産羊肉の流通量はごくわずかなため、オーストラリア産の羊肉を仕入れているが、オーストラリアの良質な牧草を食べて育った羊は世界中で親しまれ、安心して食べることができる。
肉の下味に絡めてあるのは、小原さんが「ネタ」とよぶ特製タレだ。韓国料理店などいろいろな店に足を運び、試行錯誤の末にオリジナルのタレを考案。詳細な作り方は秘密だが、ごま油、唐辛子、ニンニクなどを使い、「老若男女問わず、家族でおいしく食べられる味に仕上げてある」とのこと。「ジンギスカン」だけでなく、ホルモンなどほかの肉にも同じタレで下味をつけてあるそうだ。
この「ネタ」を絡めた肉をロースターで焼き、玉ねぎのみじん切りと黒ゴマを散らした付けダレでいただく。クセのない赤身の肉は柔らかくてジューシーで、マトンってこんなにおいしかったっけ?と誰もが驚くに違いない。横田さんおすすめの食べ方は、すりニンニクと一緒に味わうこと。ガツンとした生ニンニクがジンギスカンのおいしさを押し上げ、クセになりそうなほど後を引く。
フリート横田さん
強火で羊肉をあぶり、すりニンニクをたっぷり入れた特製タレに浸して、口に放り込んではウーロンハイをぐびぐび、これが実にうまい。ニンニクは店内ですりおろしているので、香りが違います。これを食べると元気が出ますよ。
コラーゲンたっぷりでジューシーな「ホルモン」
お次はジンギスカンと並ぶ人気メニューのホルモン。こちらも鮮度がよく、ていねいに下処理されているので、独特とされるにおいもほとんど気にならない。腸のシワの部分まで秘伝のタレがしっかり行き渡り、コラーゲンもたっぷりで見るからにプルプルだ。
ホルモンはシワがある皮から焼いていくのがお約束。つるつるの方を先に焼くと、脂と一緒にうまみが下に落ちてしまうためだ。キューッと縮んで表面がフツフツしてきたら返しどき。付けタレに付けず、あえてそのまま味わうことでホルモン本来のうまみとコクを楽しめる。タレとマヨネーズを付け、キャベツ(200円)で包んで味わうのもおすすめだ。
フリート横田さん
脂のりもほどよくしっかり焼いても柔らかで、なかなか噛みきれないようなこともなく、とても食べやすいホルモンです。
ミネラルやビタミン豊富で健康にもよい「ラム肉」
生後1年未満の仔羊の肉がラム。マトンに比べ明るいピンク色をしており、ビタミン類や必須アミノ酸、亜鉛や鉄分などミネラル分が多く含まれ、美容と健康にもよいことから、欧米では高級食材として高い人気があるという。こちらの店では「上ミノ」の600円に次いで高価なメニューだが、それでも破格であるに違いない。
肉のフチが焼けて色が変わったら裏返すのだが、あまりしっかり焼きすぎない方がジューシーなラムのうまみを楽しめるそう。どの肉においてもいえることだが、肉の鮮度がよいので、これが羊と思えないほどクセもにおいもなく食べやすい。羊肉を食べたことがない人、苦手という人にもおすすめだ。
フリート横田さん
マトンのジンギスカンもおいしいですが、ラムはより柔らかくあっさりとした味わいで、ちょっと濃いめの特製タレがとてもよく合って、お酒がさらに進みます。
厚切りでコリコリの「タン」
タンと聞くと牛タンを思い浮かべるかもしれないが、こちらで提供するタンは豚タンだ。豚タンは牛に比べてやや小ぶりで脂肪分が少なく、あっさりとした味わいが特徴。タンそのものの味と食感を楽しんでほしいと、塩コショウ、一味、うまみのアクセントに味の素をふった状態で提供される。
ちなみにスーパーなどで見かける豚タンは、舌先の細い部分だったり、かなり薄くカットされているものが多いが、こちらで味わえるのは形のよい中程の部分。しかも厚みもある。厚切りで出せるのはそれだけ鮮度がよい証である。
厚めにカットされているので、ペラペラのタンのように一瞬で焼けてしまう心配は無用。表面にきれいな焼き色が付いたら返し、表面はカリッと、中心はジューシーに焼けたらベスト。焼きすぎると固くなるので注意したい。
フリート横田さん
柔らかくさっぱりとした味わいで、コリコリした食感がたまりません。巷の牛タンの半分ほどの価格で気軽に味わえるのもありがたいですね。
無煙とは無縁の大衆焼肉を茅ヶ崎で
長い年月を経ても昭和の雰囲気は変えることなく、誰でもふらっと気軽に寄れる「ジンギスカン」。時代の流れによる物価の上昇でやむを得ず価格を改定しても、外看板に掲げた「1人前250円から」のメニューを守り続ける企業努力には頭が下がる。
一人でふらっと、友人や家族と、誰とでも気軽に入れて、リーズナブルな金額で満腹になれる店は実に貴重だ。思い切り肉が食べたいとき、昭和レトロにどっぷり浸ってみたいとき、店から漂う白い煙を便りにぜひ訪ねてみてほしい。特製タレであえた肉はおみやげ用に持ち帰りも可能だ。