旬の時季はわずか2ヶ月! 「赤い宝石箱」と呼ばれる貴重なカニ

7種盛りの後に、もう少し殻物が食べたいと思ったら「本日の蟹」時価がおすすめ。その日に入荷したカニの中で最も旬な、おすすめのカニを提供してくれるメニューだ。 ナジーさんのおすすめは九州でも水揚げされる「ワタリガニのメス」であったが、今日のカニはなんだろう…… 。

 

謎のアジア人・ナジーさん

旬ならワタリガニのメスをぜひ食べてほしいです。カニなどは無口になりやすいのでデートの時は気を付けるべきですが、こちらは調理済みで出してくれるのでそこも安心。

ワクワクしながら待っていると、出てきたのは「赤い宝石箱」との呼び名を持つ「香箱蟹 」。 香箱蟹とは北陸地方で獲れるメスのズワイガニのこと。卵を持つメスは保護の為に禁漁期が長く、11月頭から年末ごろまでと漁期が短い。このカニを食べるため、タイミングを狙って予約を入れる客もいるのだとか。

小ぶりな分濃厚な味わいが特徴。「赤い宝石箱」という呼び名を持つ

「うちのお客様は、材料を目掛けてきてくれる。僕たちはその時季に食べられる最高のものをご用意してお待ちするだけです」と野口さん。時季によって食べられるものが異なるため、春夏秋冬、季節が変わる度に訪れたくなる。

「本日の蟹」は時価での提供

カニは七輪では焼かず、食べやすく火入れをし、甲羅に盛り付けた状態で提供してくれる。身の下には内子(うちこ)と呼ばれる卵巣の部分がぎっしりと敷きつめられており、身と一緒に食べると優しい口当たりと共に広がる濃厚な味わいに、思わず笑みがこぼれてしまう。カニそのものにしっかりと味があるので、卓上に並ぶ調味料などはあえて使わず、添えられたすだちのみをかけて食べるのが野口さんのおすすめ。

殻物だけではない「本日の野菜盛り」

「本日の野菜盛り」2人前・8種1,100円。この日はズッキーニ・椎茸・マコモダケ・万願寺唐辛子・山芋・レンコン・オクラ・カブ

殻物だけでなく、野菜の焼き加減も素晴らしい「本日の野菜盛り」1人前・5種600円〜もおすすめ! 絶妙なタイミングを見極められるようになるまでは、ひたすら焼いたものを食べてみる、その繰り返しなのだそう。特に山芋などは厚みにもこだわりがあり、外はカリッと中はフワフワなその食感に、初めて食べる人は驚くはず。

自家製味噌はコチュジャン入りでピリ辛
 

謎のアジア人・ナジーさん

口直しにももってこい! 卓上にある醤油、ポン酢、自家製の辛味噌など、野菜によって付けるものを変えて、味変を楽しむべし。

お酒好きな人はこちらで一杯

「珍味盛り合せ 5種」1,200円。ほたて明太・汐うに・生からすみ・沖あみの塩辛・ばくらいを選んでもらった

常時20種類ほどある珍味メニューの中から、スタッフのおすすめを選んでもらってもよし、好きなものを自分で選んでもよしな、「珍味盛り合せ 5種」1,200円。味が濃いものが多いので、お酒が好きならアテとして注文するのが良いだろう。

 

謎のアジア人・ナジーさん

焼くのに時間がかかるものもあるので、でき上がるまでこれでチビチビやるのもいい。

店内にて仕込み途中の生からすみ

「ほたて明太」は辛子明太子専門店の「福さ屋」と共同で開発したという自信作だ。「ばくらい」は、ホヤとこのわた(ナマコの腸)で作る塩辛のこと。少しクセがあるものの、鮮度が良いものを使用しているのでくさみが少なく、珍味好きにはたまらない食感と味。一緒に日本酒を頼みたいと思ったら、スタッフにおすすめのものを聞いてみて。珍味に合うぴったりのお酒を教えてくれるはずだ。

躍進を続ける「橋シリーズ」の今後が楽しみ

福岡市内の炉端焼き人気に火をつけ、続々と新店をオープンさせる「橋シリーズ」。訪れれば、ただ“焼くだけ”という調理法の奥の深さに感動を覚えること間違いなし。季節ごとに異なる材料の説明を聞きながら、素材そのものの味を感じるひと時は、食に対する知識を深められる最高に贅沢な時間だ。
殻物専門店という新しいジャンルを生み出した「橋シリーズ」は今後も展開を続け、多くの食通を生み出す人気店であり続けるに違いない!

※価格はすべて税込です。
※本記事は取材日(2021年12月8日)時点の情報をもとに作成しました。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:岡村幸奈、食べログマガジン編集部 撮影:濱田純輝