美食とカルチャーの根付く街「神楽坂」を、ひとり気ままににぶらり散策

ここ数年で、話題のキュレーション型商業施設や有名パティスリーが続々とオープンするなど、オシャレな街としても人気を博している神楽坂。かつては東京有数の花街として栄え、その面影残るこの街には、老舗料亭やハイカラなフレンチ店が今も軒を連ねている。その風土柄、北原白秋や泉鏡花などの文筆家に愛され、美食とクリエイティビティに溢れたこの街の文化に触れる、秋の散策ルートを辿ってみた。

【モーニング】好きな本とじっくり向き合える。読書に最適なカフェで散歩はじめの一杯

 

都営地下鉄大江戸線・牛込神楽坂駅を降りたら、まずは「キイトス茶房 神楽坂」のコーヒーで散歩の準備。“書斎的食堂的珈琲店”を謳う店内の本棚には、小説から神楽坂の特集雑誌まで、あらゆるタイプの本がぎっしり。読書が進むカウンターテーブルもあり、一人の時間を過ごすのにも最適な空間。

 

神楽坂は出版社や印刷関連会社の多い街。こちらのお店に行けば、この街の雰囲気を掴むことができるのだ。

 

国の登録有形文化財に指定されている歴史ある「矢来能楽堂」や、新潮社ビルなどを通り過ぎると、目を引く木造の建物が見えてくる。

 

 

2014年に神楽坂に誕生した、キュレーションストア「la kagu(ラ カグ)」。元々は新潮社の本を保管する倉庫だったこの建物を、新国立競技場の設計などで有名な、隈研吾建築都市設計事務所が設計デザインをし、商業施設として生まれ変わった。

 

カフェも併設する店内では、デザイナーや作家など、各ジャンルのエキスパートたちがセレクトした家具やアパレル用品などを販売しており、どれもここでしか買えない珍しいアイテムばかり。

 

 

神楽坂通りに出て、飯田橋駅方面へ進むと、“前菜が主役”と書かれた、気になる看板が。そろそろランチが恋しい時間ということで、迷わずドアを叩いてみることに。

【ランチ】伝統的で新しい。前菜が主役のフレンチ食堂で腹ごしらえ

 

“前菜が主役”の「ボン・グゥ 神楽坂」は、「重たいメインはいらないから、前菜だけ何種類も食べたい」というお客さんの声から生まれた、フレンチ前菜食堂。「タルトフランベ ランチ」、「フレンチごはん ランチ」(共に1,000円)の2種類あるランチセットから、今回は「タルトフランベ ランチ」をチョイス。

 

「タルトフランベ」とは、フランスのアルザスやドイツ南部で作られている、薄いパン生地をチーズで覆い具材をトッピングして焼いた、薄いピザのような料理。食感がとても軽いので、サクサクと食べ進められる。また、店内はカウンター、スマートなテーブル席があり、女性一人でもゆっくり過ごせる空間が嬉しい。

本とコーヒーで溢れる街。疲れたら休みたいブックカフェがここかしこに

 

ランチで空腹を満たしたら、散策を再開。書籍の校閲を専門とする校正会社が始めた「神楽坂 かもめブックス」、“本のにほひのしない本屋”「神樂坂モノガタリ」など、美味しいコーヒーなどと一緒に本を楽しめる、カフェ併設の本屋がいくつか並んでいる。仕事の合間のランチで立ち寄ったら、つい長居してしまいそう。

隈研吾氏設計の東京で一番洗練された神社で何を願おう

 

道なりに歩くと見えてくるのは「赤城神社」。「la kagu」と同じく、隈研吾氏が設計したこの神社には、なんとも洗練された雰囲気が漂っている。境内には、パスタなどのイタリアンを楽しめる「あかぎカフェ」もあり、こちらも人気のランチスポット。

 

出典:stellar9192さん

「見通しが良くなるように」ここでしか買えないお守りはお土産にも◎

 

また、赤城神社に来たらゲットしたいのが、「ゲゲゲの鬼太郎御守」1000円。テレビや映画化の際にヒット祈願で参拝に来た、水木しげる先生のデザインによるもの。「目玉のおやじ御守」には、“見通しが良くなりますように”という願いが込められているのだとか。

 

 

赤城神社での参拝を終えて早稲田通りを下って行くと、作者の植田まさしさんが神楽坂に35年以上住んでいる縁で生まれた「コボちゃん像」が見えてくる。ただし、軒を連ねる飲食店にばかり目を奪われていると気づかないほど、さりげなく佇んでいるため、コボちゃんに会いたい人は見逃さぬように。

【おやつ】本格パティスリーが集結。どの店でスイーツ欲を満たす?

 

そして、有名パティスリーがひしめくスイーツタウンの顔も持つ神楽坂。まるでパリの小道に迷い込んだかのような路地の奥にあるのは、ショコラティエ 土屋公二が手がける「ジェラテリアテオブロマ 神楽坂店」。

 

出典:mm_rabbits3さん

近くには、パティシエが目の前でスイーツを作るカウンターデセールが楽しめる「アトリエコータ」など、行列必須の人気店が集結している。

出典:Soul.さん

 

先進的なパティスリーも好きだけれど、気軽に入れる昔ながらの喫茶店で食べるスイーツが好きという人には、神楽坂のほっとするスポット「洋菓子と珈琲のお店 カフェ コパン」を推薦したい。平日は朝7時から営業しており、仕事の前の一杯を飲みたい時にも最適。なんといっても、ブレンドコーヒー250円という良心的な価格設定に癒やされる。

 

早稲田通りを飯田橋方面へと下っていくにつれて、先ほどまでのパリの小道的空気感から一転、昔懐かしい日本の雰囲気残る街並みへと景色が変わっていく。

大正日本の風情漂う横丁もまたフォトジェニック

 

かつては大正時代に隆盛を誇った花街として知られる神楽坂の小路には飲食店が並んでおり、こういった花街特有の路地は、この土地にしかないといわれている。

路地を抜けて神楽坂下に到着すると、雰囲気はすっかりサラリーマンの街・飯田橋に。

【ディナー】カレーに鰻。夜はビジネスマンに紛れて老舗店でガツンと満腹もアリ

出典:nemokichi.nemokichiさん

付近には、継ぎ足しカレーで有名な「トレド」、うな重が絶品の「かぐら坂 志満金」など、神楽坂で働く人々の活力を支える老舗店が軒を連ねる。仕事帰りのビジネスマンに紛れて、空腹を満たすもまた一興。

出典:stoikeさん

 

秋は過ごしやすく、目的も決めずに約束もせず、気ままに街を歩くのに最適な季節。この秋は、食欲と五感を刺激する街「神楽坂」を散策してみては?