できたてのお豆腐が食べられたら、という願いを叶えてくれる豆腐製造室

豆腐は大豆と製法で個性が表れます

健康や美容に良い食材としてよく挙げられる豆腐。昭和の時代にはお豆腐屋さんがパー、プゥーとラッパを吹きながら売り歩いたものですが、もはやそんな風景どころか豆腐屋すら見ることが少なくなってしまいました。今やスーパーやコンビニでブランド豆腐までもが販売されているので、必要とされなくなってしまったのでしょう。でもそれらには日持ちさせるための熱処理が施されており、その日の朝に作って水槽の中でゆっくりとアクやニガリが落とされた豆腐とは別物と言って良いほど違いがあります。

エントランスを入ると目に飛び込んでくる豆腐製造室

丁寧に作ったできたての豆腐が食べたい!という願いを叶えてくれるのが、恵比寿駅から徒歩5分ほどの場所に誕生した「豆富食堂」です。こちらには豆腐製造室が併設されており、豆腐職人さんたちが毎日手作りしています。出来上がった豆腐はうれしいことにショップで買えるだけでなく、奥にあるイートインスペースでいただけるのです。

広々とした店内はカウンター12席、テーブル28席

昼は食堂(2022年1月より)、夜は酒場と姿を変えるその空間は、温もりが感じられるインテリアで何だかとても和みます。メニューには「おぼろ豆腐」(550円)や「三角揚げ」(380円)、「醤油豆」(550円)といった工房の味をストレートに感じるものから、「干し豆腐と香味野菜のサラダ」(880円)、「おから手毬寿司(4個)」(660円)、「しらすと豆腐のオムレツ」(770円)「肉がんも」(270円)、「麻婆豆腐」(1,320円)などの一品料理に〆もの、甘味まで、豆腐を様々な形に変化させたアイデア満載のノンジャンルな料理が並びます。

その料理に合わせるのは、ワインならスパークリング、白、オレンジ、赤のヴァン・ナチュール、ビールは通が好む「赤星」、ハイボール、レモンサワー、茶割り、焼酎、純米酒、そして豆乳割りも。ノンアルには搾りたての豆乳も用意されています。

豆腐料理の進化系! 豆腐が見せる多彩な味わい

「豆腐麹の唐揚げ」(770円)

この「豆腐麹の唐揚げ」は、豆腐を麹に漬けて発酵させてできた「豆腐麹」に鶏肉を漬け込み、五香粉とおからを混ぜたものを衣にして揚げています。ひと口噛むと今まで味わったことのない衣のサクサク加減の後に、びっくりするほど柔らかく、うまみが逃げずに中に潜んでいる鶏肉を味わい、最後に五香粉の香りがふわりと余韻を残すのです。しかもしっとりしているのに、油をほとんど感じさせないなんて! 豆腐のポテンシャルにつくづく感心してしまいます。

「豆腐白湯・塩」(990円)

「豆腐白湯」は鶏肉の数種類の部位をブレンドして取った出汁のスープがベース。「くずし豆腐」を浮かべ、「干し豆腐」を麺に見立てて、味を含ませた鶏ひき肉と九条ネギをのせた“まるでラーメン”です。コラーゲンたっぷりで唇がくっつくほど濃厚なスープとたっぷりの麺だけど完食しても罪悪感ゼロ。途中でレモンを搾ればさっぱりといただけます。飲み干す前に白飯を入れておじやにするのもまた良し。添えてある青唐辛子は激辛なのでお好みで。

「豆腐めし」(550円)

この前代未聞なビジュアルは「豆腐めし」です。豆腐をチャーシューと一緒に甘辛醤油で煮込み、白飯の上に鎮座させただけの料理がなぜこんなにおいしいのでしょうか。醤油の香りと味わい、チャーシューのコクが沁み込んだプルプル温かい豆腐が白飯と混ざり合う。まさに滋味深いという言葉がぴったり! 料理とは何か、を改めて感じさせられます。

「豆花」(660円)

豆腐はスイーツにもなります。「豆花」は台湾デザートとして有名ですが、こちらの豆花は少し異なり、「杏仁豆腐」に似た甘さと喉越しです。栗、はと麦、あんこ、シリアルがトッピングされ食感も様々、和・洋・中が混在した味わいは印象的。豆腐がゴロゴロ入った「豆腐アイス」(550円)や「豆腐みたらし団子」(550円)、「豆腐珈琲パンナコッタ」(550円)も外せない!