大規模な再開発にともない、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区初のCEO(Chief Eat Officer)を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう! というこの連載。
[定番]編18回目となる今回は、渋谷駅から少し離れた場所にある隠れ家的薪焼きイタリアン「biodinamico」をご案内します。
【大人の渋谷メシ・定番編】第18回「biodinamico」(ビオディナミコ)
渋谷駅から公園通りを代々木公園方面へと向かい、渋谷区役所の手前を右にちょっと入ったところにある、隠れ家的なイタリアン「biodinamico」。
ビルの3階ということもあり、知らないと若干入りづらいですが、だからこそ「知る人ぞ知る」人気店なのです。
広い店内は、シックで大人っぽい落ち着いた空間。
テーブル間に大きなパーテションを設置するなど、感染症対策もばっちりです。ラグジュアリーなソファ席もおすすめ。
人気の「特製パスタランチ」1,320円は、サラダとおかわり自由の自家製パン付き。常時3種類のパスタから選べますが、今回は定番メニューの「トスカーナ風辛いトマトソース」を選択。
自家製パンはお店のシンボルのかたつむりが焼印された可愛らしい一品。ふっくら香ばしく、ほんのりと小麦の甘さがあり、これだけでいくらでもいけそうです。
パスタは低加水のパスタフレスカ(フレッシュパスタ)。見るからに太めで存在感がありますが、なんとこの麺、ラーメン界で有名なあの老舗製麺所「浅草開化楼」と共同開発した特注麺なのです!
「ラーメン店で浅草開化楼の箱が置いてあれば、絶対おいしいお店」とさえ言われる製麺所が作るパスタ、それだけで期待値が上がります。
フォークですくうと、ずっしりと重みを感じる麺。低加水ならではのしっかりしたコシがあり、極太のつけ麺にも似たワイルドな食感。
この麺に辛めのトマトソースがよく絡んで実においしいのです。お皿に残ったソースをパンにつけてしっかりいただけば、ボリューム的にも大満足なパスタランチです。
ランチのもう一つの名物が「ジャークなサラダチキンランチ(おかわり自由の自家製パン付き)」1,760円。こちらのスペシャリテである「薪焼き」のジャークチキンをサラダ仕立てでいただくパワーランチです。
チキンとサラダ全体に特製のヨーグルトソースをかけていただきます。
薪で焼かれたチキンは、外はめちゃくちゃ香ばしいのに、中は驚くほどしっとりとした軽い食感。
サラダにはレタス・ケール・きゅうり・トレビス・赤玉ねぎ・ミニトマト・パクチー・アーモンド、さらにスーパーフードのキヌアと、こちらも充実の内容。一皿としての満足感がめちゃ高いのに、とてもヘルシーというのがうれしいところ。
名物の薪焼きはランチでも単品で注文が可能ということで「グラスフェッド牛サーロインの薪焼き」3,700円をオーダーしました。
外はこんがり、中はしっとりレアに焼き上がるのが特徴の薪焼き。ニュージーランド産のグラスフェッドの赤身肉は、脂肪分が少ないのに肉質はやわらかいのが魅力。表面に滲み出る肉汁が見るからにおいしそうです。
ナイフがスーっと抵抗なく入るほど、やわらかいお肉! めちゃくちゃジューシーかつ肉の甘みがあり、塩だけでも旨味たっぷりです。
おいしさの秘訣がこの薪焼きのグリル。薪は火が入って使えるようになるまでの準備に時間がかかる分、やわらかい炎が特徴で、肉の外側は香ばしくなっても内側は乾かずジューシーさが保たれるそうです。
お店の人が薪焼きにぴったりとおすすめするのが「骨つきラムチョップ」4,180円。外側のみがこんがりと焼けていて、内側は見事なレアであることが、見た目にもよく分かります。これぞ薪焼き!
まずはそのまま一口。ラムの臭みは全くなく、身はしっとりしなやかな食感。特製のオレンジマスタードソースも、ラムの風味を邪魔せずにおいしさを引き立てます。
そして最後のお楽しみはこれ! 骨の周りのお肉は、手掴みでしゃぶりつきます。脂身と赤身、そして骨の周りの肉のおいしさが渾然一体となって、これぞ骨つきラムチョップの醍醐味!
最近はスーパーなどでも骨つきラム肉が手軽に手に入るようになりましたが、この見事な焼き加減は、やはりお店の本格薪焼きじゃないと味わえないでしょう。
浅草開化楼の麺を味わえるパスタランチから、名物の薪焼き料理まで、昼も夜もしっかり楽しめる渋谷の隠れ家イタリアンです。
お土産として店頭で購入できる「冷凍パスタソース3種セット」3,780円。生麺なので調理時間も短く簡単。通販もやっているので、この時期のおうちごはんにおすすめです。