小松さん絶賛! 京都を感じるこの4品

たこの柔らか煮、とうもろこし豆腐、鱧カツの盛り合わせ

一口サイズの先付にも全て仕事が施されている

今回、ご紹介するのは、いずれもコースの一品。まず先付は「たこの柔らか煮、とうもろこし豆腐、鱧カツの盛り合わせ」。じっくり柔らかく煮たたこ、とうもろこしをペースト状にして、葛で固めた一口サイズのとうもろこし豆腐、フライにした鱧と、夏の美味3種を取り合わせて先付に。この一皿で、ぐっと冷酒が進む。

 

小松宏子さん

どれから食べるか迷いますが、まずは、涼し気なとうもろこし豆腐から。続いて淡泊な鱧の揚げもの。インパクトがあり、食欲が刺激されますね。最後に柔らかく煮た甘いたこと、3品のバランスも抜群です。

ぐじの松笠焼き 万願寺唐辛子添え

ぐじはフライパンでパリッと焼き上げる

2品目は「ぐじの松笠焼き 万願寺唐辛子添え」。ぐじとは甘鯛のことで、うろこをつけたまま焼くと、松笠のようにうろこが立ち上がり、さくさくとしてとてもおいしい。

 

小松宏子さん

あしらいの焼き万願寺唐辛子のホロ苦さが、ハラリと崩れるぐじの身の旨みを一層引き立てます。

うなぎの揚げしんじょう ごぼうあんかけ

華美ではないお料理に余裕を感じる

「うなぎの揚げしんじょう ごぼうあんかけ」は、刻んだうなぎのかば焼きをしんじょう地で包み、一度蒸してから揚げ、ごぼうのあんをかけるという手の込んだ一品。京都らしい一品と言えるだろう。

 

小松宏子さん

柔らかなしんじょう地の中にうなぎの旨みが隠れ、とろりとかかった新ごぼうのあんの香りと口の中で一緒になり、なんとも品のいい余韻が残ります。

水ようかん

市販品では味わえない口溶けの良さ

最後の甘味は、口の中ではらりと崩れる、ギリギリのかたさを追求した「水ようかん」。この品のいい甘さも秀逸だ。

 

小松宏子さん

舌の上にのせただけで、すっと溶けてなくなり、小豆のいい香りとほどよい甘みが広がる究極の水羊羹。小豆から炊き上げた自家製のあんだからこそできる技です。

確かな技術に裏打ちされた味

随所に細やかな仕事が光る

上田さんは言う。「料理の基礎は、もちろん、京味で学んだことがベースになっています。でも、今やっていることは、京味の時の仕事とは違いますね。一品一品に驚きと楽しみがあり、肩ひじ張らずに誰にでもおいしく味わってもらえる、そんな料理を目指しています」。長いカウンターの端は、板張りになっていて靴を脱いで上がれる。お子さんを連れてきても楽しめるようにという心遣いもうれしい。京都感を存分に肌で感じながら、旬の美味に舌鼓。それがこの価格帯とは、ぜひ、覚えておきたい一軒だ。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

撮影:久保田康夫
文:小松宏子・食べログマガジン編集部