僕はこんな店で食べてきた

2020年は飲食業界において、未来永劫忘れられない年になることは間違いないだろう。僕は普通の人よりは格段に外食の機会が多いほうだと自覚はしているが、その僕でさえ外食の頻度は半分以下に落ちた。

その少ない中で、2020年のトレンドを考えると僕は「ビストロへの回帰」の年だったと考えている。無理にこじつけると、誰もが大変な中、複雑な料理よりもわかりやすい料理へ意識が向かっていったのかもしれない。ただ、そんな小難しい話ではなく、予約が取れないところに行く楽しさと対極の軸にある、いつ行っても変わらない味が楽しめるという店だってきちんと存在してほしいということに、食いしん坊も気づいたということだろう。

みるみんく
出典:みるみんくさん

注目の新星と引き継がれる味

その傾向は一昨年に人形町にできた「アン ファス」あたりから続くと思う。

S.Pellegrino
出典:S.Pellegrinoさん

アン ファスはワンオペの店で、いかにもおいしいものを出しそうな大柄なシェフが、アラカルトで典型的なビストロ料理を出す。初めて行った時、頼んだブーダンノワールの大きさに圧倒されたのが懐かしい。ミシュランガイド東京のビブグルマンを獲得して人気になったようだが、こういう店は下町に似合う。

神保町には「ビストロ アマノ」という新星ができた。本の街で知られる神保町の路地裏にある店で、自家製シャルキュトリが名物。

みるみんく
自家製シャルキュトリーの盛り合わせ 1,980円   出典:みるみんくさん

ひとりで口開けに訪れて、シャルキュトリ盛り合わせと泡で小一時間過ごして帰るなんて使い方がかっこいい店だ。

そして六本木「マ・キュイジーヌ」も本格的ビストロ。

写真:柏原 光太郎

本来は深夜まで営業予定だったが、コロナ禍で時短を余儀なくされている。が、メニューをあけると、タルトフランベやコックオーバンなど伝統的なメニューが当たり前のような顔をして載っている。聞けばシェフは元「ラ・ピッチョリー・ドゥ・ルル」料理長とのこと。ビストロ料理はお手の物のはずだ。

渋谷の「ビストロ バー ア ヴァン コダマ」も楽しい。

ガレットブルトンヌ
自家製ツナのニース風サラダ 1,500円(税抜)   出典:ガレットブルトンヌさん

こちらもニース風サラダ、子羊のクスクス、オムレツなど定番料理がメニューを飾り、どれも間違いのないうまさ。店名の通りワインバー的な使い方もできるのがうれしい。

そして池袋にできた「やおら料理店」も忘れてはいけない。シェフは以前、六本木「イリゼ」という、深夜まで営業していて、都内のフレンチシェフのたまり場といわれた店を経てこちらを開店。

Wine, women an
出典:Wine, women an’ songさん

「仏蘭西料理店」と銘打っているほどでクラシカルな料理が多く、ブーダンノワール、ブイヤベース、ガランティーヌなどがメニューに載る。ここもおいしかったなぁ。