好みのカカオ品種、農園を見つけられる貴重なショコラトリー「ル・ショコラ・アラン・デュカス」

2013年2月、パリのバスティーユに誕生したショコラ工房「ル・ショコラ・アラン・デュカス」。2018年3月には、外国初出店となる東京工房を日本橋にオープン。現在は、日本橋東京工房、六本木ヒルズ、渋谷スクランブルスクエア、日本橋高島屋、大阪大丸心斎橋、羽田空港に店舗を構える。

こちらのお店では、まず壁一面に配置されたタブレットに目をやってほしい。カカオの産地と品種別に約30種類が用意されている。もちろん、自分へのご褒美用なので好みのものを選べばよいが、最低限次に記すカカオの品種について、基礎知識は知っておきたいところ。

カカオの栽培地では新たな品種開発が進められているが、歴史を辿ればカカオの品種は、「クリオロ種」「フォラステロ種」の2つの原種と、この2種が交配して生まれた「トリニタリオ種」の3つに分けられる。

  • 【クリオロ種】フルーティーな芳香で苦み渋みが少なく、ビター系ショコラに最適のフレーバービーンズとして珍重される。環境変化や病害虫に弱いため、栽培が難しい希少品種。ベネズエラ、メキシコ、マダガスカルなど限定された地域でのみ栽培。
  • 【フォラステロ種】香りが少なめでポリフェノールが多く、苦み渋みが強いためミルクチョコレートに適する。環境変化や病害虫にも強く、全生産量の大半を占める。サントメ島、ガーナ、ブラジルなど広い地域で栽培。
  • 【トリニタリオ種】上記2種の交配により、高い芳香を持ちながら病気にも強い良質なハイブリッドカカオで、将来的に期待されている品種。交配の度合いにより特徴が異なる。中米、スリランカ、ニューギニアなどで栽培。

タブレットをひとつ味わうなら、まずは、カカオの風味がしっかり味わえるカカオ分75%以上のもので、幻のカカオともいわれる希少品種の「クリオロ」がどんな味わいなのか、試してみたいところ。

「マダガスカル産 カカオ分75% FERME BEJOFO CRIOLLO」

おすすめは、「マダガスカル産 カカオ分75% FERME BEJOFO(ベジョーホ農園)CRIOLLO(クリオロ)」2,400円! クリオロと銘打ったチョコレートは数あれど、農園まで明記したもの(農園指定)のものはあまりない。

ゆっくりと舌の上で溶かしていくと、初めはバニラを思わせるカカオの香り。次にフルーティーな酸味が広がっていく。一般的にマダガスカル産のカカオは、フランボワーズのイメージといわれるが、こちらはもう少し甘みのあるストロベリーのイメージ。優しい甘さが感じられる酸味に続いて、奥深いカカオの風味を感じさせるロースト感が続く。最後はシトラスのような爽やかな余韻が残る、エレガントなタブレットだ。

タブレットはどうしてもひとつの味わいになってしまうので、いろいろな味わいを楽しめるボンボン・ショコラも試したい。こちらのボンボン・ショコラは全部で16種類。大きく次の3つのタイプに分けられている。

  • 「ガナッシュ・オリジン」単一産地のカカオに生クリームを合わせ包み込んだもの。マダガスカル、ペルー、ジャワの3種類。
  • 「ガナッシュ・グルマンド」スパイスとフルーツを使用した風味豊かなガナッシュを包み込んだもの。ライム、プルーン&アルマニャック、キャラメル、バニラ、カフェ、フランボワーズ、トンカ豆の7種類。
  • 「プラリネ・ア・ランシエンヌ」昔ながらの製法で仕上げたプラリネを包んだもの。ノワールクラッシュヘーゼルナッツ、オ・レ・クラッシュヘーゼルナッツ、ノワールクラッシュアーモンド、オ・レ・クラッシュアーモンド、ピスタチオ、ココナッツの6種類。

もちろん、資金的に余裕のある方は全種類が入った詰め合わせ(10,000円)もあるが、コンパクトに一通り味わってみたい人には、「デクヴェルト」(9個入り)3,700円がおすすめ。

「デクヴェルト」

こちらは上記3つのタイプより3種類ずつ詰められ、それぞれの代表作を味わうことができる。「プラリネ・ア・ランシエンヌ」は、ナッツペーストから日本の工房で製作しているだけあって、フレッシュ感たっぷり。「ガナッシュ・グルマンド」はチョコレートとほかの素材の組み合わせを試すことができて楽しい。個人的には、「ガナッシュ・オリジン」の「マダガスカル」が、フルーティーな味わいでおすすめ!

※価格はすべて税抜