今訪れるべき“おそば屋さん”が分かる『百名店』

江戸時代から日本人の日常と共にあるそば店は、ファストフード感覚の気軽なお店から会席料理店まで色々。そばがメニューの主軸であることは同じですが、お店によって味もメニューの幅も異なり、好みと目的に合ったお店を探し出すのはひと苦労です。

そこで、全国のそば店の中で食べログユーザーから高い評価を集める100店を集結した、『そば 百名店』を食べログから発表しました!

集まった100店はどんなお店なのか?という傾向を解き明かすべく、そのラインアップとトレンドを江戸ソバリエの前島敏正さんに解説していただきます。

 

歩くデータベース!そば研究家・前島敏正さんが「百名店」を解説。

 

前島敏正  (まえしま・としまさ) そば研究家。ほぼ毎日そばを食べ歩きながら、ブログや監修本でのそば情報の発信やそば同好会のセミナー主宰など幅広く活動している。蕎麦鑑定士、江戸ソバリエ及びルシック(ソバリエ上級者)の資格を保有。蕎麦好きが高じてほぼ毎日のように食べ歩き、訪問した全国の蕎麦屋約1,000軒のデータベース化をしている。

 

出典:waka2007さん

 

注目すべきは食べログ4.18点(2017年8月21日時点)という高い点数を付けている長野県の『蕎麦 ふじおか』。決してアクセスが良いとはいえない場所ながら、完全予約制の人気店。「蕎麦だけでなく野菜料理も素晴らしく、高得点を獲得するのも納得です。やや白味を帯びた蕎麦は、円やかな甘みと若草の新芽のような香りが特長的で、かなり細め。つゆは、角の取れた円やかな酸味に続いて旨みがやってきます」(前島氏)。

 

そば好きならば、一度は予約して出かけてみたい、カリスマ的なお蕎麦屋さんです。

 

蕎麦の「百名店」全体に見られる特徴として印象的なのは、100軒中46軒が東京都内にあり、そのうちの40店が23区に集中していること。蕎麦屋の数が全国で最も多いのが東京だからだという見方もできますが、別の要因として考えられるのは元々東京に名店が集中し、そこで修業した弟子が独立して活躍していること。

たとえば「松翁」から独立した「石臼挽き手打蕎楽亭」、「竹やぶ 柏本店」から独立した「手打ち蕎麦 じゆうさん」、「東白庵かりべ」などほかにも数件あり、江戸蕎麦(二八蕎麦)の本拠地の面目躍如といえます。

松翁/出典:bottanさん

石臼挽き手打蕎楽亭/出典:bottanさん

 

竹やぶ柏本店/出典:サプレマシーさん

 

じゆうさん/出典:bottanさん

 

東白庵かりべ/出典:bottanさん

 

1位の東京に続き、2位は長野県、3位は北海道と、蕎麦の産地が健闘しています。長野県からは「蕎麦ふじおか」を筆頭に、「せきざわ」「うずら家」「そばの実」など7軒が百名店入り。北海道の6軒は、「手打蕎麦のたぐと」「そば切 雨耕庵」「手打蕎麦いちむら」「蕎麦屋此花」など人気店ばかりです。

 

その他、最近の特徴として顕著なのは、店主が自ら蕎麦の栽培を行なっていること。「慈久庵」「手打ちそば 菊谷」「眠庵」など、自家畑で栽培した蕎麦を使っています。蕎麦の味の半分はどの産地の蕎麦を使うかで決まりますから、この傾向は今後も続き、蕎麦文化の進展に寄与していくでしょう。

慈久庵/出典:なまらうまいさん

手打そば 菊谷 巣鴨本店/出典:Mハルさん

 

眠庵/出典:或 真宗さん

 

全国の蕎麦の名店を集結させた『そば百名店』。そばとの距離が1歩近づく指南役としてご活用ください。

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