老舗果物店によるオーセンティックなフルーツパーラーが誕生!

旬のフルーツをたっぷり使ったメニューと、エレガントな空間が話題の新店。

2020年6月、横浜ベイエリアに新たに誕生したランドマーク「YOKOHAMA KITANAKA KNOT(横浜北仲ノット)」。その商業・文化施設棟「KITANAKA BRICK&WHITE(北仲ブリック&ホワイト)」の1階に、老舗果物店が手掛ける「水信(みずのぶ)フルーツパーラー」がオープンした。

上質なフルーツを贅沢に使用したメニューはもちろんのこと、「ななつ星 in 九州」のデザイナーによるどこかレトロでエレガントな空間も、訪れるゲストを魅了する理由となっており、早くも話題を集めている。

百余年の歴史を持つ、横浜の老舗果物店「水信」

ブティックのショーケースには季節のフルーツやケーキが優美に並ぶ。

「水信」の歴史は、大正4年(1915年)に、横浜で台湾バナナ加工卸問屋「水信商店」を創業したことに遡る。

需要が大きく伸びつつあった当時、移入(当時台湾は植民地だったため、輸入品ではなく移入品と呼ばれていた)した青バナナを熟成室(むろ)で熟成加工し小売店に卸す移入加工業者として、バナナ加工では草分け的な存在だった。

初代社長の加藤信明氏が「水菓子屋の信さん」と呼ばれていたのが、社名「水信」のルーツだ。

水戸岡鋭治氏による、懐かしさと新しさが融合した感動空間

目を惹く内装デザインは、JR九州のクルーズトレイン「ななつ星 in 九州」を手掛けた水戸岡鋭治氏によるもの。

「ポスト・クラシック」をテーマに、ぬくもりを感じる木と天然素材をふんだんに使用。一見ヨーロッパ風のように感じるが、そこに日本や中国などアジアの柄が入っている。

照明器具、椅子、テーブル、全部が「水信フルーツパーラー」のために作られたもので、既製品は一つもない。天井のステンドグラスから壁の装飾の模様まで、すべてをデザインし、オリジナルで製作しているという。

床ひとつとっても、多彩なデザインに心弾むサロン・ド・テの空間。

デザイナーの水戸岡鋭治氏は、次のように語る。

「テーマは懐かしさと新しさが融合したデザイン。100年の老舗というブランドを形にした、子どもからお年寄りまで三世代が楽しめる空間です。この店は、いわば現代に創るクラシックと考えています。僕は『ポスト・クラシック』と呼んでいますが、今ある技術と素材で創り上げたクラシックということです。お茶を飲むだけでない、心地よい時間を過ごすための空間をどう作るか。何時間いても飽きないような空間設定をしています。このお店では、コーヒーや紅茶の一つをとっても今まで感じたことのないような味を感じる、果物の味を再認識できる舞台、空間になっていたら、成功ですよね」

旬のフルーツをたっぷりと盛り付けた、至福のパフェ

自家製のプリンが好評の「プリン・ア・ラ・モード」1,900円。

運ばれてきた瞬間に息を呑むような「プリン・ア・ラ・モード」は、横浜発祥といわれるメニューを現代らしいレシピで表現した一品。

シャインマスカットやナガノパープルなど旬のフルーツに加え、定番のクラウンメロンや季節ごとに産地や品種を変えて厳選しているリンゴなど、7~8種類盛り付けている。

どんなデザインのペーパーシートが置かれているのかも、お店に行く楽しみの一つに。

バニラビーンズが香るプリンは、なめらかでどこか懐かしい口当たり。バニラアイスは、フルーツの味わいに寄り添うようシンプルに仕上げている。フルーツの下には、ラム酒が香るマスカルポーネクリームとカスタード、スポンジカスタードクリームが隠れており、食べ応えも充分。

テーブルに敷かれたペーパーシートのデザインも、ノスタルジックな雰囲気を醸し出している。多彩なパターンを用意しているので、どのようなシートが置かれているかも楽しみに訪れてもらいたい。

およそ10種類のフルーツが盛り付けられた「フルーツパフェ」2,000円。

旬のフルーツをたっぷりと味わいたければ「フルーツパフェ」をぜひ。柿、洋梨、シャインマスカット、リンゴ、クラウンメロン、バナナなど、見事にカットされたフルーツが、360度どこから見ても美しく盛り付けられている。

グラスの底には季節の生ジャム、その上にはクリームチーズのクリームが入り、酸味が心地よい。

フルーツの風味を引き立て合うメニューの数々

焼き立てを提供する「自家製ワッフル 季節の生ジャムとバニラアイス添え」1,300円。

モチモチとした生地が自慢の「自家製ワッフル 季節の生ジャムとバニラアイス添え」も人気のメニューだ。添えられているジャムは、長野県で栽培されている、皮ごと食べることができるナガノパープルというブドウを使用。粒を残してジャムにしているので、食感も楽しめる。フレッシュな状態でも添えられ、フルーツパーラーならではの一皿に。

コーヒーのほか、フルーツをベースにしたハーブティーなどドリンクメニューも充実。茶葉のサンプルをテーブルに運んできてくれるので、お好みのタイプやフードメニューと相性のいいものをセレクトしてほしい。アルコールは、白ビール、ワインなどを用意している。

パンプキンポタージュがセットになった「人参のシフォンケーキ」1,580円。

キッシュやサンドウィッチなど、ランチタイムにも最適なライトミールも取り揃える。「人参のシフォンケーキ」は、人参のピューレを練り込んだシフォンケーキに、季節の野菜を使ったマリネやサラダ、生ハムなどを一皿にしたメニュー。軽やかな口当たりながら、しっかりと満足感も得られる。

秋を堪能できる、和栗スイーツフェアを開催中

「やまえ栗のモンブランタルト」。イートイン、テイクアウトともに1,045円

現在は、和栗スイーツフェアを開催中。熊本県山江村産の「やまえ栗」や、茨城県笠間産の「人丸」、長野県産の「小布施栗」など、日本全国から厳選した上質な栗を、その日の状態を目利きして使用している。

存在感抜群の「やまえ栗のモンブランタルト」は、芳ばしくサクリとした歯応えのいいアーモンドクリームのタルトをベースに、大粒の栗を入れて、バニラが香る無糖の生クリーム、なめらかにしぼり出したマロンペーストで覆っている。口に運べば、芳醇な栗の風味が広がり、秋を存分に感じることができるだろう。

ほかにサロン・ド・テでは、「モンブランプリン・ア・ラ・モード」(2,420円)、「モンブランパフェ」(2,640円)を展開。ブティックには、数量限定で、渋皮栗と黄栗の2種の栗がゴロっと入った「マロンサンド」(1,320円)が並ぶ。和栗スイーツフェアは、栗の入荷次第で、11月下旬まで開催予定なので、ぜひお早めに。

「MIZUNOBU」をデザインした、ブティック上部の内装。

旬の上質なフルーツを味わえることはもちろん、店内を見渡せば、ブティックもサロン・ド・テもディテールまで美しいデザインが施されている。

訪れれば五感を刺激され、とっておきの優雅な時間を過ごすことができること間違いなし。バナナのパウンドケーキやフルーツサンドウィッチなど、手土産でもセンスの良さを感じる逸品揃いなので、ぜひチェックしてもらいたい。冬に向けては、イチゴや洋梨が店内を彩るようになるそう。季節ごとに訪れたくなる一軒だ。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。
※本記事は取材日(2020年10月30日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:外川ゆい
撮影:sono(bean)