ファッション誌『mina』や『SPRiNG』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールする連載。「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする連載30回目は、店名でもあるロシアの水餃子が看板メニューの「BISTROT PELMENI」(ビストロ ペリメニ)をパトロール。
呑み屋パトロール vol.30「ロシア料理が自慢のビストロでおいしさと一緒に異国情緒も味わいたい」の巻
渋谷の雑踏を抜け、松濤の方へ。 メインの通り沿いを少し奥に入ったところにひっそりと佇む「BISTROT PELMENI」。赤い扉が愛らしい隠れ家的ビストロだ。
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シックとクラシカルな雰囲気が混在した心地の良い店内。ほんのり薄暗い店内に灯るキャンドルがゆらゆらと揺れる。
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先ほど通り過ぎた渋谷のメイン通りの喧騒が嘘のように、ほっと肩の力が抜ける。
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席について一息。乾杯にオーダーしたのは、シードルのカクテル「シードル&アマレット」700円。
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ほんのり甘酸っぱいアマレットが、今日の疲れに心地よく染みる。
本日のお通しは「かぼちゃとクミンのムース」。
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濃厚なかぼちゃの甘味と、香り高いクミンの風味がほっこり優しく馴染む。スパイスがお腹のエンジンにぽっと火を灯し、次の一皿への準備は万全。 前菜に頼んだのは、ビーツの染色でピンクに彩られたアートなポテトサラダ。
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ほっくりした甘さと野菜の食感、弾けるマスタード。
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半熟たまごをとろりと混ぜれば、味の奥行きが一層深まりたまらない。視覚、味覚、様々な刺激に五感が喜んでいる。
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東北出身であるオーナーさんおすすめの「金華サバの薫製と焼きナス」。燻されて魅惑の香りを纏う鯖。プリリと弾力のある身、同時にじゅんと溢れる濃厚な旨味がたまらない。
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私は光り物が大好物。和風のお店や、大衆居酒屋ではよくお目にかかる鯖さま。こんなお洒落で洋風な空間で、活きの良い鯖が食べられるのはうれしい。個人的に推せますなぁ。
本日のオススメワイン、「Extro Kante」とも相性が良い。
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エチケットが気になって選んだ白ワイン。“品種構成、ヴィンテージや醸造方法など全て秘密”というミステリアスな出で立ちも、こちらの妄想が膨らんで楽しい。
そして、香ばしさを纏って運ばれてきたのは……コロンと愛らしい俵形のフライ。
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あれ? カニクリームコロッケ頼んだっけ……?と慌ててしまったが、これはロシア風のカツレツ、「キエフ」800円である。
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さくっと軽くナイフを入れると、ドドドと流れる香草バターの雪崩。香りと旨味、そして衣の歯触り。あ、いつものカツレツより、ロシア風がタイプかも私。
さて、今夜の主役でもあり、店名の由来でもあるあの子がやってきた。
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“ペリメニ”とはロシア風の餃子。帽子のようにころんと巻かれたキュートな容姿。
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日本同様、ロシアでも餃子の表現は自由らしい。この一皿では、「宮城のサーモン、伊達鶏、牛肉」を軸としたそれぞれ違った表情を持つ3種の味が楽しめる。
牛にはサワークリームに見立てた特製のクリームが添えられている。本場ではサワークリームをつけて食べることが多いそうだ。
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つるり、もちっとした皮、弾ける異国の香り。洋の表情をもつ餃子は、洗練されていて、奥ゆかしい。でも、どこか懐かしくて懐にすっと入ってくる。少しの表現の違い、でも普段は見せない大人な色香を醸すなんて……。なんて魅惑的なんだろう。罪なペリメニ。
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もう少しお肉が食べたい……と頼んだのは 「ロシア ロールキャベツ クスクス添えほうれん草のソース」1,200円。
これまた、初めましてなビジュアル。キャベツで着飾るだけでは飽き足らず、さらにほうれん草の妖艶なソースのビロードを纏ったロールキャベツ。計算された、旨味の層。核を担う肉団子は、煌びやかな装飾に負けず劣らず鋭く主張する。このロールの層は、マトリョーシカのように次から次へと驚きが絶えない。
なんだか今日は、知っているはずの“知っている”が新たにアップデートされていく。私が普通だと思っていたことは、ほかの国では普通じゃないらしい。食事って楽しい。
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自由な枠で、好きな料理を振る舞いたい。という柔軟な発想をもつ「BISTROT PELMENI」だからこそ叶う、この食体験。訪れた私たちは、世界の“おいしい”をつまみ食いしたような愉快な気分を味わえる。
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日本と他国の身近な懸け橋は、ごはんなのかもしれない。今夜は渋谷のど真ん中。でも心は旅に出かけたような、充足感が心地よい。
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また旅気分を味わいに、気軽にふらりと訪れます。
※価格はすべて税抜