【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】2020年3月を振り返る

今月のカレーは東京下町の新感覚スリランカファミリーレストラン、麻布十番の欧風カレー、三軒茶屋ではしご酒&はしごカレー、高知で出会った四国カレー界の至宝。そして、連載100回記念のカレー対談後編も。

 

いま、新型コロナウイルス問題で飲食業界も大打撃を受けています。こんなときだからこそ、お気に入りのお店や近所のお店には十分に予防した上で食べに行きたいものですが、それすらも困難な状況です。テイクアウトやデリバリーなどの方法もあり、それぞれのお店が模索しているところですが、応援の気持ちだけでも伝えたいですね。

 

カレーに含まれるスパイスには、免疫力を上げる働きを持つものが多いといわれていますから。おいしいカレーで皆が元気になり、この危機を乗り越えられますように!

【第1週のカレー】新感覚ビリヤニにハンバーグも! 皆で楽しめるファミリー向けスリランカレストランを発見

大阪スパイスカレーにも大きな影響を与えたといわれるスリランカカレー。モルディブフィッシュのだし感があるサラっとしたスパイシーなカレーに、彩り豊かな様々な副菜がのったワンプレートが思い浮かびます。野菜も多くとれることから女性人気も高いカレーの​ひとつと言えるでしょう。​

 

しかしそんな概念を覆すと言いますか、女性よりもむしろ男性におすすめであり、もっと言えば家族で行っても楽しめるようなスリラ​ンカ料理店を発見しました。東武亀戸線の小村井駅が最寄り。曳舟駅からも徒歩圏内にある「スリランカレストラン SARA」です。​

店内は明るくて下町の食堂といった雰囲気。​色とりどりの副菜が華やかなスリランカカレーのワンプレートを探したのですが、メニューにありません。どうやら日替わりのランチメ​ニューではそのスタイルのカレーをいただけるようですが、夜はかなり独特な構成でした。​

スリランカ料理のおつまみ系にカレーとスリランカロティやライスのセット。これは普通です。しかしその次が普通じゃない。ビリヤ​ニにカレーをかけた「カレーセットC」1,100円が面白いんです。​

 

ビリヤニとはインド亜大陸の料理でスパイスを使った炊き込みご飯的なもの。これにスリランカスタイルのカレーがかけられます。​カレーは選べるということでビーフに。辛さも5段階から選べるのですが、スリランカの辛さはどれか聞いてみると4とのことだったの​で4にしました。​

「カレーセットC」

そして、出てきたプレートを見て笑ってしまいました。​とにかく量が多い! 一人前とは思えない量のビリヤニです。パキスタンや南インドなど、現地系のお店でビリヤニを頼むとだいたい​大量に出てくるのですが、こちらもかなりの量。大きな銀皿いっぱいに山盛りですから。しかもチキンビリヤニで、鶏肉がごろごろと​入っているのでボリューム感はかなりのもの。​それにビーフカレーがワイルドにぶっかけられ、目玉焼きものって、なんというか実にわんぱくなスタイルなんですよ。​

 

食べてみれば味もわんぱく。しっかり味のビリヤニに正しくスリランカスタイルの、だし感あってスッキリした辛さのビーフカレー。​これに目玉焼きを合わせるとしつこいどころか逆に卵のマイルドさがパンチの強いビリヤニとカレーを繋ぎ、味がまとまるという面白​さ。こういうビリヤニ、ほかになかなか無いです。​

「スリランカロールス」

一緒に頼んだ「スリランカロールス」500円は、魚やじゃがいもをスリランカテイストで味付け、春巻き状になったものに衣をつけて揚​げた料理なのですが、味の染み込み具合も揚げ具合も実に程良い塩梅。添えられたタレがスリランカスタイルのスパイシーソースとケ​チャップの2種あるのも良いですね。​

「チーズハンバーグ」

これで終わりではありません。こちらのお店、何とステーキやハンバーグまでメニューにあるから驚きです! ​気になって仕方がなかったので「チーズハンバーグ」900円も頼んでしまいました。​こちらは見るからにアメリカンスタイルなハンバーグ! 鉄板で焼かれたハンバーグは肉厚でジューシー。ケチャップメインのソース​も懐かしいおいしさ。チーズとの相性は言うまでも無く良いわけです。​

 

店員さんに話を聞いてみると、スリランカ人シェフが以前勤めていたのがステーキとハンバーグのお店だったそうで、だからこその​本格的なクオリティというわけです。本当はスリランカ料理だけでいきたかったんだけど、地域的にもスリランカ料理だけだと受け入​れられにくいかと考えてこちらもメニューに加えたとのこと。

 

スリランカ料理だけでも十分いけるクオリティですが、そんな本格的スリランカ料理をステーキやハンバーグと一緒に食べられるお店​はほかに無いでしょう。そういうのが面白いんです。そういうのが楽しいんです。​しかもこれだけ大量でありながら意外としつこさがなく、ペロっといけてしまうおいしさなのも素晴らしいですし、安いのがまたうれし​い!​


カレー好きなお父さん、エスニック料理好きなお母さん、ハンバーグ好きなお子さん。そんな家族で行っても皆が楽しめて満足できる​お店です。ほかにないタイプのファミリーレストランと言えるかもしれませんね。

 

※価格はすべて税込

 

【第2週のカレー】今こそ欧風カレー! ディナーコースを昼間にお得に食べるチャンス到来中

スパイスカレーの浸透、南インド料理の流行、モダンインディアンの台頭……。どれも最近のカレー業界でよく聞こえてくるトピックです。今までに無かった、あるいはまだ日本では知られていなかった新たな価値観が広まっている昨今。昔ながらの洋食的カレーや欧風カレーが取り上げられる回数が減っているように感じています。

 

そんな今だからこそ、今週ご紹介するのは、欧風カレーの名店、東京・麻布十番の「カシュク」です。

欧風カレーとは、フレンチの技法なども使って手間暇かけて作られた昔ながらのごちそうカレー。そのルックスからしても日本人の多くが思い浮かべるであろうカレーに近いものであり、味も多くの方が思い浮かべるカレーのゴージャスなものと言えるでしょう。

欧風カレーの名店数あれど、僕がその中でもトップクラスに好きなお店がカシュクなのです。カシュクはほかのお店と何が違うのかというと、欧風カレーのみならず中東料理も食べられるという点。

 

基本的にはランチはお得なカレーライス、ディナーでは中東料理とカレーライスが味わえるのですが、期間限定(期限は不確定で突発的に終了の可能性も有り)で、TwitterのDMで予約をすれば、ランチタイムからディナーメニューも食べることができるというサービスが始まりました。これはうれしい!

 

というわけで早速DMで予約完了し、昼に訪問して「ビーフカレーのディナーコース」1,900円(税込)をいただきました。

(写真左から)「サラダ」と「フムス」

まず「サラダ」、そして「フムス」(ひよこ豆のディップ)がサーブされました。さっぱりしたサラダに濃厚でありながらも軽やかなフムス。振り幅の広いおいしさから、この後の料理への期待が高まります。

「カーニヤルク」

続いて出てきたのは「カーニヤルク」(茄子のトマト煮込み)。カルヌヤルクとも呼ばれるトルコ料理で、茄子の中にトマトや挽肉を入れて蒸し煮したものが多いのですが、こちらはそれを渾然一体とさせて煮込んだバージョン。イタリアンのカポナータにも似た、野菜のおいしさを堪能できる逸品です。

「ビーフカレー」

そしてメインの「ビーフカレー」。味覚とは生理学的に、甘味、酸味、塩味、苦味、旨味の5つが基本味に位置付けられるといわれていますが、そのすべてをこの一皿で味わうことができるのです。

ルウをかければカレーライスの出来上がり

ルウに使われた野菜やフルーツの甘味、焙煎感あるほのかな苦味、牛肉の豊潤な旨味、程良い塩味、そして添えられたピクルスの爽やかな酸味。これらが絶妙なバランスで組み立てられた格式高いおいしさに笑顔がこみ上げてきます。

デザートの「ヨーグルト」と「トルコ紅茶」

ここまでで十分満足なのに、さらにデザートで「ヨーグルト」、そして「トルコ紅茶」まで出てきて、2,000円でお釣りが来るなんて素晴らしすぎる! 昼からちょっと贅沢な気分も味わえて元気が出てきました。

 

今だからこそ欧風カレー。今だからこそお昼からカレーコース。おいしいものを食べて元気を出していきたいですね!

 

【第3週のカレー】春のポカポカ陽気に誘われて、はしごカレー&はしご酒を楽しみたい!

三軒茶屋には数字が店名になったバルがいくつかあります。213、317、1351。それぞれスパイスバルグループが運営しているお店なのですが、業態は違います。213は香港バル、317はスパイスバル、1351はそばバルと、趣向は違いながらも、どのお店にもカレーがあり、そしてどれもおいしいというカレー好きにはたまらない系列店なのです。ということで、今回は「三茶酒家 香港バル213」と「スパイスバル317」をハシゴしてきました。

まず東急田園都市線・三軒茶屋駅から近い、三茶酒家 香港バル213へ。こちらは香港料理のお店なのですが、お店の中に入ればそこはもう香港!

それほど広くないお店でありながら天井は高く、そういう意味でも実に香港の街のようなイメージで、香港好きにはたまりません。

「香港風ヨダレ鶏」

まずは「香港風ヨダレ鶏」880円から。骨付きの鶏肉にスパイシーなソース。紹興酒と良く合ってお酒が進みます。

「カレー牛バラ麺」

そして「カレー牛バラ麺」980円。香港にもカレー牛バラ麺が名物の大人気店があるのですが、そちらよりも優しいテイスト。麺は平打ちでコシがあり、牛肉の旨味と中華スープとカレースパイスの三位一体を味わえます。満足しつつもここはあくまで一軒目。

続いて駅から10分程歩いた場所にあるスパイスバル317へ。こちらは雰囲気の良いバーといった店構え。内装がおしゃれなこともこのグループの良さのひとつだと思います。

お酒はクラフトスパイスラムのメニューから「キウイ&カルダモン」650円を頼んだのですが、このクラフトスパイスラムシリーズが実に面白いんです。レモン&ミント、いちご&クローブ、それぞれがしっかりと素材の味とスパイスやハーブの香りが溶け込んでいて、かなり攻めた味わいです。

「キウイ&カルダモン」

スパイス酒も最近注目されているムーブメントですが、そういう意味でも個性があってレベルが高いです。チェイサーとして炭酸水と一緒に飲むというそのスタイルもおしゃれ。

「イカのコロンボ焼き」

おつまみはスリランカ料理メニューから「イカのコロンボ焼き」500円、さらに「サバのアンブルティヤル」500円を。イカのコロンボ焼きは、ほぼカレーです。ココナッツが利いてまろやかでありながらも辛さがちゃんと共存していました。これをカレーとしてご飯と一緒に食べたくなるような味わい。でもこれがこの値段でおつまみとして食べられるという素晴らしさの方がこちらのお店においては合っています。

「サバのアンブルティヤル」

アンブルティヤルをわかりやすく言うなら魚のスパイス煮なのですが、薫香のような風味があり、奥深い味わいでカレーマニアにもファンの多い一品です。こちらは鯖でそれを作っています。長葱を合わせているのがまたおつまみ感が増して良い感じ。

「オクラキーマ」

カレーはおつまみ的に「オクラキーマ」500円を。挽肉とオクラのドライでシンプルなカレー。だからこそ、おつまみとして成立するような。硬軟自在のスパイス加減が知識の広さを感じさせます。

「317チキン」

名物の「317チキン」1,380円はみんなでシェアしたい大きさ。カレースパイスを衣にまとった鶏肉の丸焼き的な料理です。表面はパリっとクリスピーで程良くスパイシー。中身の肉の柔らかくジューシーなおいしさを引き立てます。見た目にも華やかで良いですね。

 

大いに食べて飲んで大満足のはしごカレー&はしご酒となりました。そして今回は行ってないのですが、「蕎麦バル 1351」の「牛すじカレーそば」もまたおいしいんですよ。

「牛すじカレーそば」
「牛すじカレーそば」   写真:お店から

今回久しぶりに行って思ったのは、三茶酒家 香港バル213もスパイスバル317もどちらも味のレベルが上がったということ。これはきっとこのスパイスバルグループが新たに手掛けた渋谷の「カレーショップ初恋」「Spice Bar キメラ」ができたことによってカレーに対する力の入れ方がさらに増したからではないかと思います。実際、スパイスバル317ではキメラと同じメニューのものも出ていましたし。

 

良いお店は確実に進化していくもの。そしていつか完成したときに、その味を守っていけるお店だと思っています。スパイスバルグループのお店は今も進化中。毎年お店が増えて行くので、今後にも期待ができます。三茶から渋谷にかけて、はしごカレー&はしご酒。楽しくておすすめですよ!

 

※価格はすべて税込

 

【第4週のカレー】おいしすぎて思わず脱力。カレーの達人が出合った高知のとんでもない名店とは?

全国的にカレーのお店が増えてきている昨今。一昔前にはカレーの名店が少ないといわれていた四国にも、注目すべきお店が増えてきています。​その中でも、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線立田駅近くにある「多国籍食堂 錆と煤(サビとスス)」は、高知を代表する名店であり、高知に限らず四国を代​表する存在とも言え、さらには日本全国探してもここまでのクオリティのお店はほとんどないと言っても過言ではないくらい素晴らしいお店で​す。​

まずそのお店の外観からして雰囲気があります。​そもそも飲食店なのかどうか、一目見ただけではわからない建物。​中に入ってみれば古民家を改造し、おしゃれで落ち着いた雰囲気の素敵なお店となっています。​

基本的に予約制で、メニューは日替わりです。​この日のカレーは「タイのほぐし身フィッシュカレー、」「チキンカレー、」「たまごカレー」の3種類。野菜のみのベジプレート、肉系カレーのノンベジプレート、そして全部のせ的なスペシャルプレートがあり、「スペシャルプレート」2,200円をオーダーしました。​

 

まずはご覧くださいこの見目麗しき一皿を!​

「スペシャルプレート」2,200円

右から反時計回りに、たまごカレー、チキンカレー、フィッシュカレー、野菜カレー、豆カレー、ラッサム(南インドの酸っぱ辛いス​ープ)、ライタ(無糖ヨーグルトのサラダ)という並び。

 

​真ん中のご飯は白いインディカ米と黄色い日本米の二段構造。ご飯の下には、スパイスを使ったおかずたち。​とにかく華やかであり、手間暇かけて作ってあるのがわかります。​一目見て思わず「おぉ!」と声を上げてしまったくらいの美しさです。​

物腰柔らかな日本人女性がこのプレートを作っているのですが、食べてみてびっくり!​ キレキレの現地系名店レストランのベテラン男性現地人シェフが作ったような、パンチある男らしいスパイス使いなのです。​

 

輪郭がしっかりと立ち、素材のおいしさがスパイスの力で何段階も上に引き上げられている肉系カレーと野菜カレー。逆に優しく柔ら​かいおいしさで癒やされる豆カレーと副菜の数々。​

足し算と引き算のバランスが絶妙で、パンチがあるのに重くなくむしろ軽やかで、最後まですいすいと食べ進めてしまうおいしさなので​す。​特にたまごカレーが素晴らしかった。

 

半熟ゆで卵が具として入っているだけではなく、スパイスをまとったオムレツがグレイビーその​ものになっているようなカレーであり、インド料理には「ドピアザ」という玉葱で作ったカレーがあるのですが、このたまごカレー​を例えるならドピアザならぬ“ドアンダ”(ドとは2という意味。ピアザが玉葱、アンダが卵)とでも言うべき初体験のたまごカレー​でした。​

そして食後に頼んだ「マサラチャイ」550円。これがまた、とんでもないおいしさだったのです!​ インド式に甘さ強め。そしてやはりこちらもスパイスが強い! ゴリッゴリのジャリッジャリにスパイスが利いています。クローブや​カルダモンなどマサラチャイには欠かせないスパイスはもちろん、ブラックペッパーをしっかりと利かせることによってピリっとくる​刺激がたまりません。ピリっときながらも最終的にはまろやかで優しく包まれるようなおいしさ。​

 

あまりのおいしさにボーっとしてしまいました。完全なる脱力です。​これぞスパイスマジック。​カレーの名店数あれど、食べ終わった後、幸せに脱力放心させてくれるお店は全国を探してもほとんどありません。こちらにはそれがあ​ったのです。​


何でこんなに凄いカレーが作れるのか。気になってお話を聞いてみると、京都の超名店「インド食堂タルカ」で調理補助をしていた経験があるそうで​す。そこで基礎を学び、ほかの飲食店でもカレーを出しながら様々な料理を作っていたとのこと。​納得です。しっかりした基礎があった上での独創性。ここでしか食べられないおいしさになっているわけです。​

 

味も見た目も接客も雰囲気も、全面的に素晴らしい超名店です。​四国カレー界の至宝ここにあり!

 

※価格はすべて税込

 

 

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/