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【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】2020年2月を振り返る
今週のカレーもおかげさまで連載100回目を迎えました。そして記念すべき100回目はスペシャル企画ということで、カレー細胞さんとの対談をさせていただきました。ほかには、文化的背景の違う3人の若者が手を組んだお店、岐阜にある超個性派美味カレーの名店、そしてカレーマニアが集う新たなパワースポットの3店舗。
連載開始時から変わらずに毎日カレーを食べ続けている僕ですが、これからも毎日カレーを食べ続け、毎週素敵なお店をこちらでご紹介していきたいと思っております。今後とも本連載をご愛読のほど、よろしくお願いいたします!
【第1週のカレー】昼はカレー、夜はちょい飲みも。早くも地元で愛される新星カレー店が登場
東急池上線と東急大井町線が交差する旗の台駅。近隣に商店街も多く、五反田や蒲田、大井町や溝の口などへのアクセスも良いことから住みやすいと人気の街です。こちらに2019年12月にオープンしたカレーのお店があります。その名も「curry but curry(カリバカリー)」。
カレーしかしカレー。一体どういうことなのでしょう。お店の公式Instagramを見てみると「spice curry & sharing culture」と書いてあります。一体どういうことなのでしょう。気になったら行くのみ! というわけで行ってきたのですが、本当に素敵なお店だったので今週のカレーでご紹介せねばと思った次第です。
2階建てのお店は1階がカウンター、2階がテーブル席。若くておしゃれな雰囲気の3人の男性がお店を切り盛りしています。レギュラーメニューは「マトンキーマカレー」と「バターチキンカレー」。この日はスペシャルメニューとして「ポークカレー」もあり、それぞれあいがけも可能ということだったので、「マトンキーマとポークのあいがけ」1,200円をオーダーしました。
マトンは挽肉でありながらも肉の繊維質も感じるほぐしキーマ的な舌触り。肉の旨味と野菜の風味がスパイスと合わさり、渾然一体となって溶け合わさり、ひとつのおいしいカレーになったものとでも言いましょうか。
ポークは薄切りの豚肉と野菜を合わせた、日本のカレーの進化系的なもの。柔らかみのあるおいしさで、スパイスの尖った部分が苦手な方でももりもりと食べられそうなカレーです。
逆にスパイシーなものが好きな人の為には辛味調節ができます。スパイスオイルと、唐辛子をジンでつけたものの2種類があり、スパイスオイルは辛さのみならず香りも追加されてグっとスパイス感が上がります。
そして唐辛子ジン、これが面白かった。沖縄料理に使うコーレーグースのような味わいなのです。コーレーグースは島唐辛子を泡盛で漬けたものですが、それのジンバージョン的なもので、ポークカレーとの相性がドンピシャ。辛さのみならずおいしさのレベルも上がりました。
夢中になって食べつくしてしまい、もうちょっと何か欲しいけど流石にもう一皿というわけにも……と考えながら店内を見ていると、「ちょい飲みセット」1,000円と書かれた貼り紙を発見。スパイシーポテサラ、ショウガ唐揚げスイートチリソース、野菜のピクルスのおつまみ三点盛りに選べるドリンクがついたセットです。通常はディナーメニューなのですが、ダメ元で聞いてみると快く作ってくれました。
ドリンクはレモンサワーを選んだのですが、これが大当たり! レモンの果肉を漬け込んでシロップにし、レモンの皮を別でお酒に漬けて合わせたという自家製の手の込んだものでした。しっかりした酸味とほのかな苦味のバランス感が絶妙で、何杯も飲めてしまうようなレモンサワーです。
おつまみもそれぞれおいしいんですよ。特にショウガ唐揚げスイートチリソースが気に入りました。揚げ具合が良い感じでスイートチリソースによってエスニックな雰囲気が出て、レモンサワーと絶妙なペアリングになっていました。これが1,000円なのは非常にお得ですし、他のおつまみメニューもお酒もきっとおいしいだろうなと思える組み合わせに満足。
店員さんにお話を聞いてみると、3人は幼馴染だったり同じ職場で働いていたという仲間同士。それぞれ現役ミュージシャン、ファッション業界出身、そして飲食系に携わってきた方という、それぞれ違う文化背景を持つ方々が、カレーで手を取り合ったというわけです。カレーは本当に人を繋ぐ食べ物だなと常々感じているのですが、こちらのお店もまさにそれ。
そしてさらにこちらのお店は、2階スペースでライブをやることもあるそうです。他にも展示会だったり鑑賞会だったり、食べるだけではなく、様々な使い方をしてもらえる場所にしたいと語ってくれました。だからこその「spice curry & sharing culture」というわけですね。謎が解けました。
ヘルシーでおいしいカレー。そして3人とも本当に素敵な接客で雰囲気の良いお店。地元の方ともフレンドリーに会話されていて、開店してそれほどたっていないにもかかわらず既に地域に根差したお店になりつつあるのを感じました。素敵だなぁ。おいしかったなぁ。そう思いながら会計。お店を後にしたのですが、そういえば店名の由来を聞くのを忘れていました……それはまた飲みにでも行って聞くとしましょう。と、通いたくなるような素敵なお店なのでした。
※価格はすべて税込
【第2週のカレー】距離もルールも乗り越えて食べに行きたい! 岐阜の個性派名店カレー
特に地方には、食べログの点数はそれほど高くなくとも実はとんでもない名店が隠れているものです。これはそもそも地方の食べログレビュアーの数が少ないということなど様々な理由があるのですが、今週ご紹介する岐阜・柳ケ瀬にお店を構える「バングラッシー」も、この記事を書いている時点では3.29と、そこまで高くはない評価。しかし、個人的には4点を優に超える素晴らしいお店だと思っています。今回岐阜に行ったのも、こちらのカレーが食べたかったからというのが大きな理由のひとつです。
元々は「文化屋食堂」という洋食店だったお店が、いつしか「カレーの文化屋食堂」というカレー専門店となり、地域再開発のタイミングでお店が入っていた建物が立ち退きとなり、近くに移転したのを機に店名も「バングラッシー」となって生まれ変わりました。この店名、わかる人はニヤリとしてしまう店名ですが、それはここでは意図的に触れないでおくとしましょう。
こちらのお店、まず入り口が非常に分かりにくいです。看板は無し。お店は2階にあるのですが、その階段の手前にものすごく小さく、クリップで留められた紙に店名が書いてあるのが目印。いや、目印にならない程。とにかく目を凝らして行かないといけません。
そして目印を見つけたら、その周りにある貼り紙もしっかりと読んでおきましょう。ルールがあるお店なのです。それを読まずに、理解せずに入ってはいけません。SNSもやっているのでそちらを見ておくとより良いかもしれません。
そして店内に入ると、非常に暗いんです。知らない人からしたら営業しているかどうか不安になり、ちょっと逃げ出したくなる程に。このように食べるまでにいくつものハードルがあるお店なのですが、そのハードルを越えて行ってこそ味わえるとんでもない個性が待っているので頑張ってください!
カレーのメニューは「覚醒カシミール」1,300円一択。ほかに飲み物や「ムルギアチャール(チキンのピクルス)」400円などもあります。今回は、覚醒カシミールにムルギアチャールを付けてオーダーしました。覚醒カシミールにはご飯とピクルス、そしてもう一種類週替わりのカレーが付きます。

この日のカレーは、白菜のカレーにカシミリチリのタルカ。カシミリチリというインドの香り高い唐辛子をタルカという料理法(スパイスなどを油で香り出しし、その油をカレーにかける)で仕上げたものです。
覚醒カシミールは食べれば毛穴も開けばチャクラも開くような気持ちになります。カシミールカレーというと老舗「デリー」の名物激辛カレーの名前で、それに倣ったカレーはだいたい辛いのですが、こちらの覚醒カシミールは辛さはそこまで強くないものの、スパイスバランスが絶妙なので汗がドバドバと出てきます。心身共にデトックスできるような感覚になり、お店のキメ言葉を使うなら食べるとまさに「脳みそスッキリ!」なカレーなのです。

このおいしさを軸に、優しい味わいの白菜カレー、そしてシャキシャキのピクルス、さらには程良い酸味とカレーとはまた違ったスパイス感のムルギアチャールを一緒に食べてみると、その覚醒感がさらに増しておいしいのみならず気持ち良いとまで思えるようなカレーで、全国探してもほかにない超個性派です。

カレーもとんでもなくおいしいのですが、食後には是非「チャイ」500円を飲んでください。優しい甘味と華やかな香りに包まれて、瞑想したかのような脱力感を味わえます。
やっぱりとんでもないお店です。色々とルールがあるということで行きにくいと思うかもしれませんが、マスターは非常に気さくでルールさえ守っていればとても優しい方。このように個性の立ちすぎているお店は地方ではなかなか評価に繋がりにくいのですが、その状態でずっと続けられているのはおいしさあってこそ。遠路はるばる行く価値のある超個性派の名店です。
東京にも大阪にも福岡にもこんなカレーはありません。気になった方はどうぞ岐阜の柳ケ瀬の片隅へ、脳みそスッキリしに行ってください!
※価格はすべて税込
【第3週のカレー】連載100回記念。カレー界の2大スターが2020年のカレーについて熱〜く語ります!
カレーへの愛情たっぷり、そして対談場所となった「ゼロワンカレーA.o.D」のカレー情報も読める熱い対談となっていますので、是非、こちらから本記事をご覧くださいませ!

【第4週のカレー】ハイレベルな店が集う新カレー激戦区に人気間借りカレー店が独立オープン!
今や日本一といっても差し支えない程の知名度と人気を誇るお店となった「魯珈」もある、JR大久保駅から西武新宿線西武新宿駅までを繋ぐエリアがカレー激戦区となっています。元々魯珈が開店する前からカレーのお店は点在していたのですが、魯珈の開店以降その数は倍増しているのみならず、おいしくて人気の高いお店が増えているレベルの高い激戦区となっているのです。
そんなエリアにまたレベルの高いお店がオープンしました。今回ご紹介する「酒とカレー 百人町スプーン」がそれ。
元々は間借りカレーの激戦区である新宿ゴールデン街で「RHiME」という名前で間借り営業していたのですが、場所を大久保に移し、お店のスタイルも昼はカレー夜はお酒とおつまみとカレーというスパイスバル的な形に変え、名前も新たに百人町スプーンとしてオープンしたのが2月頭のこと。まだ開店してから一カ月も経っていないのですが、既にカレー好きが集まるパワースポットになっています。
場所は魯珈の隣のビルの2階。扉から中は見えないので入りにくいかもしれませんが、入ってみれば人工芝が敷かれ、パラソルもある明るい雰囲気。室内なのにちょっと外な感じもある独特の空間です。

まずは「レモンサワー」で乾杯。アテには「アチャール水餃子」を。アチャールというのはインド料理では定番のスパイスと油で漬けたピクルスのこと。これのアレンジで、水餃子にアチャール用のスパイスオイルをかけたアイディアメニューです。

スパイスオイルが辣油のようでもあり、非常に相性が良くてお酒も進みますし、カレーのトッピングとしても機能するものでした。
カレーもシメ用のミニカレーがあるのがうれしいところ。看板メニューの「ポークカレー」をミニサイズでいただきました。

ポークカレーはRHiME時代から変わらぬビンダルー(インド南西部ゴア地方の名物料理でマリネした肉を使用するカレー)仕立て。しかし、そのおいしさは確実にレベルアップしているのが素晴らしいです。マスターご本人もカレーマニアであり、今でも様々なお店を食べ歩いている方だからこそ、カレー界の流行を敏感に察知していて、それを自分のカレーの味にも活かすことができているのでしょう。
マスターは数年前までサラリーマンでした。サラリーマン時代はほとんど休む暇もなく働きどおしで、いつのまにか精神のバランスを崩していたんだそうです。何を食べても味を感じられなくなり、どんどん元気がなくなっていた頃にたまたま出会ったカレーを食べて「味がする! おいしい!」と驚いたことからカレーにハマり、そのお店に通い詰めながらほかのお店も食べ歩き、遂にはカレー教室にも通うようになり、自分で作ることができるようになって間借りカレー店をスタート。さらにここで独立店舗を構えるという怒涛の流れがありました。つまりは、カレーに救われた男なのです。
かく言う僕も仕事での対人関係に苦しんで精神のバランスを崩していた頃、カレーを食べた日は元気があることに気づいてから毎日カレーを食べるようになったという、同じくカレーに救われた男。色々と共感してしまうわけです。そんな話もお酒が進めば自然とできるような空間。マスターの気さくな人柄の為せる業でしょう。

そして、同じようにカレーに救われた老若男女が自然と集まるようなお店となりつつあります。もちろん最初から元気な人もいます。そして現状元気ではない人もいます。いずれにしても、ここに集まるみんながカレー好きなのです。カレーに救われたとまでは言わずとも、カレーによって人生が豊かになったと感じる同好の士が集うカレーパワースポットであることは確実ですね。
まだお店はオープンして間もないので、今後営業時間や定休日など、変わっていく可能性もあるとのことですが、詳しくはお店のSNSを参照で。夜のメニューは基本日替わりなので、それもSNSで投稿していますから。そういうフレキシブルなお店のスタイルと情報共有の仕方も今時感があって楽しいです。
そして何より印象的なのはマスターの楽しそうな笑顔。そしてここで食べたお客さんたちの満足そうな笑顔。カレーは人を元気にしますね!
※価格はすべて税込
文・写真:カレーおじさん\(^o^)/