【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#96】「カレーカフェ 風」
本連載でも新年早々2週連続でオープンしたばかりのお店をご紹介しているように、カレーのお店は物凄い勢いで増えてきています。体感的には10年前と比べると10倍くらい、増えたのではないかと思えるくらいに各地に様々なカレーのお店が続々とオープンしているのですが、それは需要があるからこそであり、カレーに対する世間の需要がどんどん高まっている証拠と言えるでしょう。
そうなってくるとマニアの数も増えてくるのは自然のこと。マニアは主にコレクターとリピーターの2種類に分かれるといわれています。とにかく沢山のお店をコレクションするように行くタイプがコレクター。新規開拓はほとんどせず、気に入ったお店に通いまくるタイプがリピーターと呼ばれるわけですが、どちらが良い悪いということではなく、単純においしいと思ったお店はリピートして通わないともったいないと思うのです。
かく言う僕は世界各地約5,000軒でカレーを食べてきているので完全にコレクターと思われがちですし、事実コレクター気質はあるのですが、気に入ったお店には毎週通うリピーターでもあります。何故このような話から始まったのかというと、今週久しぶりに再訪した恵比寿にある間借りカレー店「カレーカフェ 風」がとてつもなくレベルアップしていたことに気づいたからです。
初めて行ったのはお店がオープンして間もない頃。そのとき既においしかったのですが、これはきっともっとおいしくなるなと感じ、しばらくしてからまた行こうと決めていたお店に約1年ぶりの再訪となりました。そしてその予想を上回るクオリティになっていました。これはリピートしていないと味わえなかったうれしさですよ。
今回食べたのは「四川風麻婆カレーセット」950円。山椒や八角、酸辣醤で麻婆感を出し、そのほかのスパイスに中国黒酢を合わせて使うことによって逆にカレー感を引き立たせているという、数ある麻婆カレーの中でも個性が際立つカレーです。
麻婆豆腐でありながら同時にカレーでもあるそのバランス感が絶妙で、これに副菜3種とスープも付くセットが950円というのは破格。スープはローズマリーを使った爽やかなもので、副菜もそれぞれに味や食感のベクトルが違っていて飽きずに食べることができ、おつまみとしてもいけそうですしカレーに合わせても相性抜群でした。
「具沢山グリーンカレー」750円も味見させてもらいました。こちらはタイのグリーンカレーをベースにブロッコリーやオクラなど、あまりタイのカレーには入らない野菜もたっぷりと入った海老のカレー。タイカレー的でありながらタイカレーではないオリジナルのおいしさなのですが、こちらのマスターは元々タイ料理をメインとしたエスニック居酒屋で修業された方なので、この手のカレーがお得意なのは納得です。
ちなみにそのマスター、なんと26歳という若さ! エスニック居酒屋時代に先輩から「独立するなら若いうちが良い」とアドバイスを受けていたことから早い段階で独立。とはいえ、資金面などの問題からまずは間借りというスタイルで2018年12月から始めたのがこちらのお店とのこと。
カレー自体は独学で、居酒屋時代からまかないで作っていたので何とかできるかなと思って始めたところ、ほかのカレーの名店と比べてレベルの差に心が折れそうになりながらも、少しずつ増えてきた常連さんの励ましによって今まで頑張ってきたそうです。
僕は2回しか行ってませんから常連というわけではありませんが、久しぶりに行ったからこそレベルの上がりぶりに驚くことができたのかもしれません。そしてまた今度行ったときにはもっとおいしくなりそうだなというさらなるポテンシャルを感じました。
間借りから独立店舗という流れは昨今のカレー業界の必勝パターンですが、まだオープンして1年少しであることと、知名度もそこまでではないということからすぐに自分のお店をという考えはないそうです。ただ、いずれはエスニック居酒屋の経験も活かし、カレーだけではなくエスニック料理もおつまみに飲めるようなお店を開けたらなと夢を語ってくれました。
この調子でレベルアップしていけば人気店の仲間入りを果たすのも時間の問題だと思います。何しろ今の時点で既に、恵比寿界隈の他の人気店にも負けないレベルのおいしさなのですから。つまり現時点では、隠れた名店であり、穴場だと言えるお店です。
気になった方は是非行ってみてください。そして気に入ったらまたお店に行き、その成長を見守ってください。それも飲食店に通う楽しさのひとつですから。そしてこちらのお店に限らず、一度行っただけでこうと決めることなく、気に入ったお店や気になったお店には2度3度と通っていきたいですね。自戒の念も込めつつ。
※価格はすべて税込