【THEご褒美スイーツ〜知っておきたい通な店〜】

「食事と同じくらい、むしろそれ以上にデザートやスイーツにも絶対手を抜きたくない！」と、日々おいしいスイーツを探し求めるスイーツガチ勢の皆さんにお届けする新連載がスタート。スイーツの歴史研究のみならず、製菓にも精通するお菓子の歴史研究家・猫井登さんが「これを食べるために出かける価値あり！」と太鼓判を押す、ご褒美スイーツを紹介します。

〈第1回〉創業100周年を祝うアニバーサリースイーツがずらり「東京會舘」

東京・丸の内、皇居前にある東京會舘は1922年に「世界に誇れる、人々が集う社交場」として誕生した、宴会場、結婚式場、レストランなどを有する複合施設。政財界の重要人物、著名な芸術家などにも多く利用され、1975年にイギリスのエリザベス女王が来日した際には、こちらで「エリザベス女王陛下歓迎午餐会」が開催された。

こちらの東京會舘が2022年11月1日、創業100周年を迎えた。現在本舘1Fロビーでは、東京會舘の歴史を伝える年表や貴重な資料などの展示が行われている。

本舘1Fのペストリーショップ「スイーツ＆ギフト」では「創業100周年記念コンテスト」受賞作品やオータムスイーツが11月30日までの期間限定で販売されている。今回は、こちらでのおすすめから2品、季節限定商品のなかから1品を紹介したい。

【1】カカオ64%ダークチョコレート×ナッツのバランスが秀逸な一品「アニバーサリーショコラ」

こちらは、會舘がバリーカレボー社と協力して開発した独自のオリジナルブレンド高級チョコレート（カカオ分64％のダークチョコレート）をふんだんに使用した、ブティックデザート部門グランプリ受賞作品。薄く焼かれたチョコレートスポンジの上には、濃厚なナッツの味わいを放つプラリネジャンドゥーヤの薄い層。その上にまったりと旨味のあるヘーゼルナッツのムース、オリジナルチョコレートのムースが重ねられている。

表面は、グラサージュショコラで艶やかにコーティングされ、美しい光沢を放つシックなビジュアルに仕上げられている。一口食べると、チョコレートとナッツが一体となった重厚な味わいが口いっぱいに広がる。時間差でチョコレートムースの中に埋め込まれたレモンジャムの酸味が現れることで、チョコとナッツの濃厚な味わいにみずみずしい爽やかさを与え、後味を軽やかなものにしてくれる。精緻に計算された逸品だ。

【2】100周年の節目を祝うかぼちゃのパン「スィトルイユ」

「スィトルイユ」とは、フランス語でかぼちゃの意味。日本では古来から縁起のよい食材として知られることから、創業100周年の節目を祝うかぼちゃのパンとして考案された。季節ごとに特色のあるかぼちゃを使用し、トッピングにホワイトチョコレートをかけてキラリと光るアラザンもあしらわれ、100周年を祝うのにふさわしい華やかさを演出している。

切ると断面が2色の生地が層を成しており美しい。生地はきめ細かく、しっとり、もっちり。甘さ控えめであっさりとした味わい。トッピングのホワイトチョコレートが柔らかな甘さを添える。ダージリンなど紅茶と合わせて楽しみたい。

【3】栗の名産地・笠間の新栗を使用「プレミアムモンブラン」

栗の名産地である茨城・笠間市で今年収穫されたばかりの新栗を使ったモンブラン。新鮮な栗の香りを引き出したペーストを、ほうじ茶で風味付けした生クリームの上に重ね、ココナッツ入りのクッキーとホワイトチョコが飾り付けられている。

スポンジ、生クリーム、栗のペーストの柔らかさが等しくなるように計算されており、一体感のある味わいを堪能できる。トッピングされたココナッツ入りのクッキーもしっとりと味わい深く、ホワイトチョコレートもまろやかでミルキーな甘さを添えている。さらに、生クリームに加えられたほうじ茶の風味が秋の風情を醸し出す、大人の雰囲気が漂うモンブランだ。

ペストリーショップでは、上記のほかにも看板商品「マロンシャンテリー」、今の季節にぴったり、爽やかでクリーミーな味わいのレアチーズタルトに、みずみずしいシャインマスカットを飾り付けた「シャインマスカットのレアチーズタルト」などの季節限定スイーツも販売されている。

なお、本舘1Fのペストリーショップ「スイーツ＆ギフト」では、100周年を記念して「昭和懐古」をテーマに、1970〜80年に実際に売店で販売されていたスイーツを11月1日～30日の期間限定で取りそろえる。