【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#133】「SOI 7」(ソイナナ)
カレーにも色々ありますが、タイカレーは昨今のトレンドとは少し離れた場所にいるような気がします。そもそもタイカレーは現地で「ゲーン」と呼ばれる料理を指すのですが、これは元々カレーというわけではなく、外国人がタイのゲーンを見て、カレーに似ていると感じたことからゲーンが「タイカレー」と呼ばれるようになったのです。
ゲーンにもスパイスは使われますが、どちらかというとスパイス以上にハーブの使い方が重要な料理であり、だからこそ昨今のスパイスを使うカレーというトレンドとは違うものとして認識されているのかもしれません。
とはいえ、タイカレーにも色々あるのです。昨今流行のカレーが好きな方にも気に入ってもらえそうなものもあります。ということで、今回は様々なタイカレーが最高においしいお店をご紹介しましょう。
中目黒にある「SOI 7」というお店。「ソイナナ」と読むのですが、ソイナナなら他の街のお店に行ったことあるよと思う方もいるかもしれません。しかしこちらのSOI 7はここにしかない独立店舗。そして、各地に点在するソイナナよりも古く、今年で開店16年目という中堅店なのです。
路地裏に佇む雰囲気のある外観。店内に入ればおしゃれな紙製のアジアンランタンが飾られ、異国情緒が漂います。まずはタイカレーの王道、「ゲーンキャオワン」900円からいきましょう。
ゲーンキャオワンとは、いわゆるグリーンカレー。青唐辛子とココナッツミルクのタイカレーで、タイ料理店に行けばほぼ確実にメニューにあり、カフェなどでも時折見かけるポピュラーなメニューなのですが、こちらのゲーンキャオワンは食べてみるとひと味どころかふた味くらい違うのです。
ホーラパーというタイのバジルを使用し、香り高いということもあります。それに加えてスパイス感が違います。通常はゲーンキャオワンでは使用しない、ターメリックやコリアンダーシードが隠し味に使われているのです。インド的スパイス使いを隠し味にしたタイのグリーンカレー。これは珍しい。そしてそれが合う! 文字通りオンリーワンのおいしさです。
続いて「ゲーンパー」1,000円。こちらは田舎風スープカレーとか、森の激辛カレーという名前が付けられていることが多い料理で、ココナッツミルクを使わないゲーンなので辛さがストレートに感じられる料理です。一口食べてみるとクラチャイ(タイの生姜の仲間)の風味が味の中心にあり、辛さは激辛とまではいかない一歩手前の辛さですが、だからこそクラチャイの風味が立ち、ほかの素材の味が活きています。僕が今まで食べたゲーンパーで、ここのが一番おいしいかもしれないと感じる程のクオリティでした。
まだあるんです。裏メニューですが、「クワクリン」1,000円もあると聞けば頼まずにはいられません! クワクリンとはタイ南部の郷土料理で、日本のタイ料理店でも出しているお店はかなり少ないレアなメニューです。例えるなら激辛ドライカレー。ポピュラーなメニューで言うならガパオの激辛カレーアレンジ的なものです。
ターメリックも使用しているのでタイ料理の中でもインド的なスパイス感なのですが、カフィアライムリーフというタイを代表するハーブがあしらわれているので、タイとインドの間くらいの着地点な味わいであり、僕の大好物のひとつです。
おいしかったことと、これがあるのがうれしくてお店の方に「クワクリンは日本人のマニア受けする料理であり、もっと広まるべきだし、実際流行ると思うんですよ」と語ったら、メニューに加えることを検討すると話してくれました。これは楽しみ! それぞれ「ジャスミンライス」300円は別オーダーなのですが、すべてがご飯に合うカレーで、お腹一杯になりました。
ほかの料理も良いですよ。「ガイヤーン」1,100円は、やけに肉質が良いと思ったら大山地どりを使用しているそう。こちらにもホーラパーがたっぷりと盛り付けられ、香りを楽しむというタイ料理の醍醐味が味わえます。
シェフはタイ出身の方で、某有名店からお誘いがかかる程の実力者なんだそうです。しかし自分のペースで自分の味を作りたいということで、こちらのお店に居続けているとのこと。素晴らしい! タイ料理にも色々ありますが、こちらのお店はここにしかないおいしさの料理が味わえます。ひと味もふた味も違うタイ料理店。おすすめです!
※価格はすべて税抜