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冷やし中華、始まりました
この夏、猛暑・酷暑の予想が発表され、乗り切れるか不安を抱いているあなた。安心してください! 暑ければ暑いほど、恋しくなる、すすりたくなる、絡みたくなる……夏バテ予備軍の救世主、冷やし中華が始まります。
そしてマンネリ化しやすい冷やし中華界に朗報! 今年の夏は「冷やし中華のニューウェーブ」が密かに到来しているとの噂。それをズバリ教えてくれるのは、食べロググルメ著名人としてフォロワー数1位の川井潤氏。
早速、川井氏が注目する冷やし中華ニューウェーブ4選を語っていただきました!
■川井潤
料理の鉄人ブレーン(1993年~99年)。(株)博報堂DYメディアパートナーズを退職後、現在は食品メーカー、新聞社、IT関連企業、テレビ制作会社等のアドバイザーを務める。ここ数年は、地域や食のため、料理人の地位向上のために、日本中のみならず海外にも赴き活動している。
この夏、絶対食べたい冷やし中華4選
1. 鯛塩そば 灯花(四谷三丁目)
【鯛の出汁ベースのユニークな冷やしそば】
この店は温かい「鯛塩そば」プラス「鯛茶漬け」が人気メニューだが、今回は夏向けの「芳醇冷やしそば(880円)」を食べに来た。麺は玉子色をしたストレート細麺。黄金色の出汁スープは宇和島の真鯛、玄界灘の塩を使ったモノ。
麺を茹で上げた後、水に数十秒程度晒してから氷水で冷やして、涼しげな器に入れる。具をいくつか盛り付け、着丼。
ひと口目、まず鯛の風味が鼻腔をくすぐる。塩味と鯛の出汁ベースの冷たいスープを飲むと汗がひく。穂先メンマ、やわらかチャーシューなどが具材にのる。スルスルと胃袋に入るサッパリ感の立った一品。
鯛風味は、後半は慣れてしまうため感じにくくなるが、酸っぱさも辛さもなく、クセのないフラットな塩と鯛の出汁が暑い夏に爽やかさを運んでくれる。
新しい冷やしそばの可能性を感じる一品である。
2. MASA’S KITCHEN 恵比寿(恵比寿)
【これは一度は食べるべき絶品冷やし】
ランチセットで「冷やし担々麺(1,650円)」をオーダー。前菜2種盛り合わせ(バンバンジー、セロリと干しエビ)と小籠包3個付き。
これら前菜も美味しいのだが、この冷やし担々麺、元々は季節限定メニューだったが人気で通年メニューになったもの。辛さは控えめでむしろ胡麻風味がクリーミーでまろやかな味。このスープにはこの極細麺しかない!と思われる絶品麺が爽やかさを強調する。
冷たさ、スープの味、麺の細さとコシ、具、微妙な全体バランス、全てが素晴らしく、とにかく美味しい。ホント絶品でお気に入りなのである。
昼時は長蛇の列になる人気店だが、夜メニューでも「冷やし担々麺」は食べられるのでこの夏、チャンスがあれば是非一度お試しあれ。
3. 麺恋処 いそじ(代々木)
【冷やし中華を食べていることを忘れる】
店は11時半のオープンと同時にほぼ満席。冷やし中華だけでなく並盛り210g、中盛り315gは同じ値段。プラス100円で420gの大盛りへ。多くの人は中盛りにする。まず食券購入。もちろん夏限定の「冷やし中華(940円)」を選ぶ。
席について、店員さんからカラシをつけるか確認される。そのままでも美味いがカラシをつけて食べると変化もあって美味しい。さらに後半戦はカウンターテーブルにある「唐辛子」をかけても美味い。
丁寧に水を切り、麺もキレイに盛って、さらには具沢山の盛り付けがあるため着丼まで13分とややかかるが、沢山の作業があるから無理もない。
スープは魚介豚骨スープをベースにした特製ゴマダレ。さらにシャーベット状の凍ったスープが添えられ、だんだん溶けて冷たさも味の濃さも保つ工夫がされている。麺はモチモチの自家製太麺。具は盛りだくさんで、シナチク、胡瓜、大葉、チャーシュー、ヤングコーン、トマト、海苔、ほうれん草、三つ葉、半熟煮玉子1/2個、と彩もキレイでバラエティに富む。胡瓜には飾りの切れ目まで入っている。
さすがに中盛りはボリューミー。満腹感はハンパない。
その満腹に、スープを少し残して店の方に申告すると、温かい魚介豚骨スープを入れて割ってくれる。これがホッとする味。なんだか得した気分。有名で人気店ではあるが、期間限定の冷やし中華はこのシーズンも思い出の一品になるはず。
4. 鮎ラーメン 二子玉川店(二子玉川)
【わざわざ出かけて食べたい「鮎涼ラーメン」】
多分鮎をこうして丸ごと出したり、鮎で出汁を取ったりするラーメン屋さんは日本でもここだけではないか?
そして夏の暑い時期、「鮎涼ラーメン」なるものが昼だけ提供される(鮎漁の漁と涼を掛けたモノだそう。ダジャレですな^ ^)。ただし、その名前通り注文すると「冷やし」と言い直されるが…。この時期だけとなれば8割方の客がこのメニューをオーダーする。もちろん僕もそれをオーダー。並は1,200円。大盛りはプラス100円、特盛りはさらに100円プラス。
普段食べるラーメン店の量より並はやや量が少なめなので、多めにしておいた方が良さそう。
店の亭主はひたすら鮎の開きを焼いている。太い骨を抜いて頭から丸かじりできるように工夫してくれている。
麺はちぢれ細麺。岐阜の鮎を使い、竹筒の中に入っているのは鮎の出汁の煮こごりのつけダレ。これに浸けて麺と鮎をいただく。出汁が薄くなったら土瓶に入った二番出汁を追加する。さらには鮎のふりかけがかかったご飯にもこの出汁か、花茶(ジャスミンやキンモクセイ、蓮の茶)をかけて食べると爽やかな食後になる。とにかく、鮎の苦味、旨味、ありがたさ。食べれば大満足の一品。
客席数はカウンター7席のみで、出入りの都合上ひと席さらに空けるので実質6席のみ。人気もあるしどうしても外に並ぶことを余儀なくされる(待つための椅子は外に4脚用意されている)。
開店から15年経っているのでニューウェーブとは呼べないかもしれないが、食べた人は大好きになってクセになり、それでもまだまだ多くの人は食べたことがないが故にトレンドにもならないこの麺は、やはりこれから食べられるニューウェーブと呼んでおきたい。
二子玉川から住まいが遠い人もわざわざ出かけて、食べる価値がある一品と思う。