TOKYO HIP BAR vol.51

バーをストリートから盛り上げる、皆に開かれたロビー

若者文化を育んできた、ストリートカルチャー。スケートボードやグラフィティアート、ヒップホップなどの文化は、広く私たちのライフスタイルにも影響を与えています。

ハイブランドもストリートカルチャーを取り入れるなど、ボーダーレス化が進み、以前にも増して、ストリートカルチャーに注目が集まる昨今ですが、バー業界もストリートから盛り上げようという志を持った新店が、池尻大橋にオープンしました。

デザイン事務所が運営するストリートバー「LOBBY」があるのは、目黒川からほど近い路地裏。人気ラーメン店「八雲」の横を辿った先に位置します。側面に大きく取られた窓ガラス、部分的にむき出しになった天井の配管やコンクリートむき出しの壁など、自らリノベーションを手がけたという空間は、発展途上的なゆるやかさがあり、なかでも運営メンバーの一人でグラフィティアーティストとしても活躍する井澤卓さんのユニット、「レリッシュ」によるペインティングが存在感を出しています。

自分たちのクラフツマンシップを表現する場として空間やカクテルの提案をしているという、オリジナルのカクテルメニューはなじみ深いいつものカクテルに一捻り加えたもの。レモンサワーは紫色に、ハイボールはラムを使ったパインラムハイボールに、ジントニックにはバラとローズヒップを。大衆居酒屋で見かけるバイスサワーも、紫蘇をつかった梅紫蘇バイスモヒートに変換されています。

看板メニューの紫色のレモンサワー「バイオレットレモンサワー」は、青色の天然成分がでる茶葉、バタフライピーとレモングラスをウォッカに漬け込み、そこにフレッシュのレモンジュースを加えることで、紫色に変化させたもの。仕上げにスプレーされたスミレのリキュール、パルフェタムールが妖艶に香ります。日常的だけれどちょっと先をいくものを見せて、デザイン会社らしいワクワク感を与えたいというLOBBYの提案が随所に感じられます。

「LOBBY」と名付けたのは、ホテルのロビーのように、いろいろな目的で使ってほしいという思いから。「バーに行く習慣がないような自分たち世代にも、一杯ロビーに飲みに行こう、18時にロビー集合ね、というようにロビー感覚で気軽に使ってほしいと思っています。」と井澤さん。若い世代にも入りやすいようにと、チャージは無料に。

目指すのは街に溶け込むコミュニティバー。カルチャーを愛する仲間たちとのストリートバーとして生まれたからこそ、誰にでも入れるような自由さがあり、心地よい空間を作っています。バー業界へのロビーとして、若い世代へドリンクカルチャーを広めてくれることへ期待が高まります。