40人のトップシェフが一堂に会した、「The Chef’s Gathering vol.3」へ潜入!

食通をはじめシェフの間でも話題となっている、「The Chefs Gathering(シェフズ ギャザリング)」vol.3が、47日に開催された。

「The Tabelog Award」受賞店や、3に発表された「Asia’s 50 Best Restaurants」でランクインした店のシェフが、多数参加することもあり、異例の日曜20:30からのスタート。深夜まで続いた、夢の共演をレポートする。

食通として知られ、シェフ達とも交流の深い本田直之氏が発起人となって開始された「シェフズ ギャザリング」。1回目からTRUNK(HOTEL)内のテラススイートで催されてきたイベントも、回を重ねるごとに参加シェフが増え、3回目となるこの日は同ホテル内のイベントキッチンからスタートした。

食べログ著名人レビュアーでもあるDJ田中知之(FPM)さんの流す軽快な音楽とともに、約40人のシェフたちが続々と入場。今回は、福岡から「ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ」の福山 剛シェフや、大阪から「 シーム」の高田雄介シェフも参加するなど、「Asia’s 50 Best Restaurants」のお祝いもかねているそう。同アワードの日本評議委員長を務めるコラムニスト中村孝則氏や、アンジャッシュ渡部 建氏など、食通で有名な著名人の顔も数人見られるが、このイベントが他のフードイベントと異なる大きな点は、9割の参加者がシェフだということ。そう、ここでは主役がシェフであり、ゲストもシェフなのだ。

「垣根を越えたシェフ達の共創の場になったら」という思いから、このイベントを発案したという本田氏にお話を伺った。

「国内外・和洋中問わずさまざまなシェフが集結することで、例えば前回はこの場で仲良くなった『すし㐂邑』と『ペレグリーノ』によるジャンルの壁を越えたコラボレーションが実現したり、常識では考えられない化学反応が生まれている。今回から本物のキッチンを使わせてもらったことで、シェフも自分たちの庭だから気持ちがほぐれて、よりコミュニケーションが活性化しているように感じます。数年前まで、日本の料理界は縦社会で上下関係が厳しい印象がありましたが、この場所を通してシェフ同士の横のつながりができてくれば、次の世代で料理人を目指す人も増えてくるのではないでしょうか。これまで、タイの『ガガン』やスペインの『アサドール・エチェバリ』からもシェフが参加してくれていますが、今後は、こういったイベントをグローバルメディアに訴えかけ、もっと海外のトップシェフたちが日本に来たいと思ってくれたら嬉しいですね」

お話を伺っている間にも、1回目から参加している「傳」長谷川在佑さんが、「INUA」トーマス・フレベルさんの口へ「あーん!」と、スプーンで「ふきのとうのリゾットとホタルイカのカレー」を運んでいたり、まるで同窓会のように楽しい雰囲気で、シェフ同士の交流が目撃される。「参加シェフが増えて、つながりも濃くなってきました!」と話す長谷川さん。

「仲間と気軽にホームパーティのような感覚なので、フリースタイルで面白いものが生まれる場所」と話すのは、同じく1回目から参加している「よろにく」の桑原Vanne秀幸さん。披露された「よろにく」の肉を使った、鮨「はっこく」の佐藤博之氏の握りは、この場の即興で生まれたコラボレーションだそう。

互いの技を真剣に学び合い、ときに肩を組んで笑い合う姿。これほど豪華な顔ぶれも、シェフ含め参加者がみな着用する「THE CHEF’S GATHERING」のロゴ入りTシャツもあいまって、まるで同窓会か、おなじ部活動の選手のようだ。

本田氏に共感し、このイベントをサポートする「TRUNK」代表取締役社長の野尻佳孝氏にお話を伺った。

3年前、まだ僕がこのホテルを始める前に、ハワイの海でサーフィンをする直さん(本田氏)と偶然会って、一緒に波待ちをしながら『何か一緒に新しいことやりたいねー』と話していました。やるならば、日本が楽しくなるようなこと。このイベントからコラボメニューが生まれたり、情報を共有しあったり、人間性まで学べたりできる場所にしていけたら嬉しいし、そういった横のつながりの大切さをここにいる影響力のあるシェフたちが世の中に広めてくれているんだと思います」

THE BURN」の米澤文雄シェフが手がけた、ザ・テキサスBBQ。「『THE BURN』ならではのアメリカの肉料理です。僕が個人でやっている『ザ グッド バイブス』というパストラミーバーガー屋さんのスペシャリテを、『The Chef’s Gathering』仕様に作りました!」

2回目から参加しているという、アンジャッシュ渡部 建氏。「厨房で、音楽組んで、ライト組んで、こんな豪華なシェフたちが並ぶってシチュエーションがありえないですよね(笑)。日々、お店で凛としたたたずまいのシェフたちが、ここでは笑顔でつまみ食いしながらあーだこーだ言って、ときに、真剣にいろんな質問をしている。『なにこれ!?、なにこれ!?』と戸惑いながら楽しんでいるのを見ることができる、貴重で面白い空間です。」

文:藤井存希