“駅弁ライター”望月崇史さんが厳選!今食べるべき駅弁リスト

お盆の帰省シーズン、新幹線をはじめとした鉄道を利用される方が多くなるこの時期、「せっかく鉄道に乗るなら、美味しい駅弁が食べたい!」と思っても、いざ駅弁売り場に足を運んでみると、「種類が多くてどれを選べばいいか分からない」「食べてみたら何だかイマイチ……」という方も多いはず。そこで今回は15年以上に渡って4,500個以上の駅弁を食べてきたライターの望月崇史さんに、あまり大都市ではお目にかかれない、地方のターミナル駅で手に入る、美味しいご当地駅弁を紹介します。

望月さんが指南!駅弁選びの3大ヒント

・できるだけ「駅弁マーク」が入った駅弁を!

・歴史ある駅弁ほど、中身が見えない!

・「隠れ名駅弁」を狙うなら、幕の内系を!

「『駅弁マーク』とは、老舗駅弁屋さんが多く加盟した団体が制定したもの。このため歴史ある駅弁に多く見られる傾向があります。また歴史ある駅弁ほど、食べる前に「どんな駅弁かな」と想像力を働かせてほしいという思いからデザイン性のある包装が施され、駅弁屋さんの味への自信もうかがえます。一方で大都市に地方から輸送される駅弁は、ご当地食材を使ったものが多くありますが、幕の内系駅弁は比較的少なめ。しかし実は手の込んだ幕の内駅弁にこそ、ご当地ならではの名物が隠れていることがよくあります。自分の五感をいっぱい働かせて、駅弁選びを楽しんでみてください!」(望月さん)

望月さんが太鼓判!地方駅の間違いない駅弁

北海道新幹線・新函館北斗駅「海鮮雲丹めし」

歴史ある函館駅弁の系譜を継ぐ「函館みかど」が作るプチ贅沢が楽しめる駅弁(1,500円)。上品な黄色い巾着袋の中からわっぱ形容器を出してふたを外すと、北海道の海の幸がいっぱい! 中には北海道産のムラサキウニを炊き込んだウニ飯の上にバフンウニ、アワビの酒蒸し、イクラ、ベニズワイガニも。個性豊かな食材を生岩海苔あんがまとめます。香り豊かなウニ、コリコリの食感が心地いい肉厚アワビなど、北の旅の思い出が楽しくなりそうです。

東北新幹線・郡山駅「三代目小原庄助べんとう」

東北有数のターミナル駅・郡山の駅弁で、今年6月下旬にリニューアルされたばかりなのが、二段重ねの駅弁「三代目小原庄助べんとう」(1,100円)です。おかずは焼鮭をメインに、会津の酒蔵の酒粕を使った鶏肉の酒粕味噌焼き、にしんの昆布巻など、会津の食文化を一度に楽しめます。デザートに、駅弁を作る「福豆屋」のルーツ・和菓子屋に因んだ「手まり餅」も入って、女子旅にもうれしい構成となっています。

上越新幹線・長岡駅「きつねいなりと鮭菊ずし」

「きつねいなりと鮭菊ずし」(1,050円)は、人気イラストレーター・tamaさんによるかわいいきつねの絵が描かれたポストカードの掛け紙が目印。鮭・菊・いなりの3つの手まり寿しにデザートの笹団子まで付いています。菊ずしは「おもいのほか・かきのもと」という2種の食用菊をブレンド。いなり寿しには地元豆腐屋さんの「長岡黒いなり」を使用。2日かけてじっくりと煮た揚げが酢飯を丸くまろやかに包むなど、“長岡愛”に溢れた駅弁です。

北陸新幹線・富山駅「富山湾弁当」

“天然のいけす”とも称される富山湾の幸が1つの折で食べられるのが、「ますのすし」で有名な富山駅弁「源」が製造・販売する「富山湾弁当」(1,000円)です。9つのマスに「ぶり大根」「白海老のかき揚げ」といった富山の名物がたっぷり入っています。特に「ぶり大根」は、2日間じっくり煮込んだぶりの昆布巻と煮汁がしみ込んでいて、大きなばい貝のうま煮も北陸ならではの味。料亭にルーツをもつ源の歴史も詰まっています。

東海道新幹線・名古屋駅「松浦のみそカツ」

名古屋の駅弁売場における「みそカツ」駅弁は激戦区。その中で大正11(1922)年創業の老舗「松浦商店」が手がけるのが「松浦のみそカツ」(980円)です。駅弁屋さんの創業88周年を記念して登場、岡崎「カクキュー」の八丁味噌を使用しています。キャラクター“松浦トン平”が描かれた紙ふたを開けると、名古屋らしい八丁味噌の香りがフワッとします。カツには熟成豚ロース肉を使用し、冷めても柔らかい肉とサクッとした衣の食感が楽しめます。

山陽新幹線・姫路駅「名代あなご寿司」

瀬戸内を代表する食材といえば、なんといっても「穴子」です。なかでも姫路駅弁「まねき食品」の「名代あなご寿司」(1,800円)は、穴子を一本丸々使って、ひとつひとつ手作りされています。穴子はサッと素焼きされて、焦げ目が入ったところで、一本一本丁寧に包丁が入れられ、特製のたれで炊き上げられています。一方、すし飯は椎茸と山椒の実が入ったオトナの味。柔らかく煮込まれた肉厚な穴子の優しい歯ざわりが印象的です。

九州新幹線・博多駅「かしわめし(大)」

九州駅弁の代名詞・鶏肉を使ったかしわめし! なかでも鹿児島本線・折尾駅の駅弁屋さん、東筑軒の「かしわめし」は地元の皆さんの熱い支持を受けています。今ではおかず付きの「かしわめし(大)」(770円)を中心に博多駅でも購入可能です。昔ながらの綴じ紐をほどいて掛け紙を外すと経木の折詰にかしわ、玉子、海苔の鮮やかな三色の帯。その下には秘伝のスープで炊かれたご飯がたっぷり盛られ、ふたを開けた瞬間からいい匂いが漂います。

 

教えてくれたのは

望月崇史さん

1975年12月8日、静岡県生まれ。早稲田大学在学中から、ニッポン放送で放送作家に。番組をきっかけに始めた全国の駅弁食べ歩きは15年、およそ4,500個! 放送の合間に、ひたすら鉄道に乗り、駅弁を食して温泉に入る生活を送る。 「1日1駅弁」を基本に、「鉄道のある旅」をテーマとした記事の執筆を行う。