〈New Open News〉

毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。

Restaurant INA(奈良・室生口大野)

鰻ざく 写真:お店から

2024年9月、室生口大野駅から徒歩1分ほどの場所に、奈良県の厳選食材と世界各国の食文化を融合させる「Restaurant INA」がオープンしました。里山の古民家を改装した特別な空間で、1日1組限定という贅沢なおもてなしを体験できます。

シェフでソムリエの中村侑矢氏
シェフでソムリエの中村侑矢氏   写真:お店から

同店で腕を振るうのは、シェフでソムリエでもある中村侑矢氏。出身地である福岡県の老舗温泉旅館の厨房から料理人としてのキャリアをスタートし、福岡の調理師専門学校を卒業後、京都に。京料理の老舗「たん熊北店 本店」で日本料理の基礎を学び、東京に移り銀座の二つ星レストラン「スリオラ」、西麻布の予約困難店「山﨑」、アマゾンカカオの仕掛け人・太田 哲雄氏率いる中軽井沢の「ラ·カーサ·ディ·テツオ オオ」と、いずれも「The Tabelog Award」を受賞する受賞する有名店で修業を積みました。2022年に海外へ渡り、スウェーデンの三つ星「Frantzén」、スロベニアの三つ星「Hiša Franko」、「世界のベストレストラン50」世界1位にもなったペルー「CENTRAL」など、数々の名店で研鑽を重ね、帰国後満を持して独立、現在に至ります。

ビジネスパートナーの李氏とは、互いにアイデアを出し合うことも 写真:お店から

同店の出店は、中村氏がスロベニアで修業している時に「たん熊」で一緒に働いていた友人の李在郎氏から声をかけてもらったことがきっかけだったそう。スペインの三つ星「AKELARE」でも腕を磨いた李氏と共に「INA.Lab」というプロジェクトの中のレストラン事業として店舗を運営することに。李氏自身が培ってきた料理人としてのスキルや韓国で著名なキムチの名人の下で学んだ経験を活かし、2人でINA.Labの商品事業として「INA KIMCHI」というブランドでキムチの販売もしています。レストランは中村氏がシェフとしてメインを務めていますが、李氏もレストランのメニューを一緒に考え、中村氏が李氏のキムチにアイデアを出すこともあるそう。

内装 写真:お店から

海外に出て料理をしてきたこともそうですが、未知の土地や知らない環境で料理を作ることが大好きな中村氏は、ゆかりもない奈良にお店を出すことを決意。お店の近くには宇陀川や、豊富な緑があふれる自然豊かな場所だったというのが大きな決め手になりました。そういった立地から多様な食材がそろう点も魅力に感じたのだとか。

貸し切りならではのシェフとの交流も楽しんで 写真:お店から

古民家を改装した、国内外のエッセンスが調和する店内は、もとのガラス窓は50%残しつつ北欧や韓国の要素を取り入れることで、さまざまな文化が交差する独特の雰囲気に。大きな杉の一枚板のテーブルを囲む客席は最大6名まで対応。吹き抜け天井や囲炉裏がありノスタルジックな気分にも浸れます。1日1組限定の貸し切り空間で、シェフとの交流を楽しみながら過ごす時間は、記憶に残るひとときになりそう。

ジビエを使った繊細な逸品
ジビエを使った繊細な逸品   写真:お店から

メニューは27,500円のコースのみで、料理に最適な食材を目利きしたところ、奈良の食材が70%以上を占めることになったそう。ポテンシャルを秘めた野菜、ジビエ、川魚を活かし、内容は季節ごとに変更します。中でも、宇陀の鹿肉を使用し鹿の心臓から作った肉醤を表面に塗りながら炭火で焼き上げた料理や、初めの方にお出しするペルー料理のエッセンスが入ったカニのサンドなどは秀逸。
その他にも、奈良の伝統大和野菜を使用した野菜料理などを存分に堪能できます。

そうめんも芸術的な一皿へ昇華する 写真:お店から

また、料理に合わせてワインも厳選。ソムリエ資格を持つシェフ自ら選んだブルゴーニュワインのほか、修業中に出会った世界各国の銘柄も豊富に取りそろえています。記念日などの特別な日に訪れたい、素敵なレストラン。丁寧に作られた中村氏の世界観が光る料理を味わいに、足を運んでみてはいかがでしょう。

※価格は税込。

文:佐藤明日香