あの予約困難店が銀座に進出!
銀座駅から徒歩5分、高級料理店が入る「GICROS GINZA GEMS」にその名を連ねた「おか﨑」は、肉焼き歴11年の岡﨑 睦さんが腕をふるう焼鳥ならぬ焼牛を中心とした肉割烹の店です。
店主の岡﨑さんは日本料理店や焼鳥、水炊き店などで勤務し、2013年のEUへの和牛輸出解禁に伴い、ロンドンで初の神戸ビーフを扱う日本料理店「engawa」での職に就きました。1頭買いして料理にするのは初めてでしたが、仕込みや調理法を試行錯誤しながらメニューを作る楽しさや、和牛がこれほど世界中の人に喜んでもらえることを知り、肉の世界に没頭します。“外国から見た焼肉屋さん”というコンセプトで始め、「食べログ 焼肉 TOKYO 百名店」にも選出されている、西麻布の「ジ・ノセントカーベリー」、「焼肉 イノセントカーベリー 新丸ビル店」や、「すき焼き十二天」「肉割烹 岡田前」と、肉料理を追求する店で研鑽を積み、2023年7月、中目黒に「おか﨑」を間借り営業でオープンします。
焼肉ができる設備ではなかったことから串焼きスタイルを中心にさまざまな部位を楽しめるおまかせコースを提供。店をシェアしていたこともあり、知人に声をかけてのスタートでしたが口コミで評判となり、3カ月後にはほぼ毎日営業するも紹介だけで予約が埋まるという超人気店となりました。
建物の取り壊しが決定したこともあり、2024年4月1日に銀座へ移転。「肉おか﨑」から「おか﨑」へ店名を変え、ほぼクローズだった予約も公開しました。
こんな食べ方があったのか! 肉を存分に楽しむおまかせコース
大きな変化は滋賀県の精肉店「サカエヤ」から肉神様と異名をとる新保吉伸さんが“手当て”した肉を仕入れたこと。銀座に移転するにあたり、どうしても自身が焼いた「サカエヤ」の肉を提供したかったと話します。
おまかせコースは19,800円。「おハツにお目にかかります」の挨拶の言葉と共に「こころ(ハツ)」の串焼きから始まり、豚料理、寿司2種、茶碗蒸し、黒タン藁焼き、串焼き4〜5種類、野菜料理、シャトーブリアン、ご飯、赤出汁、香の物、デザートという内容です。
移転してから仲間入りした岩手県産佐助豚のバラ肉を串焼きに。融点が低い佐助豚は口の中で脂がとろけて甘みを感じます。その脂に塩胡椒を利かせると、これが後を引くおいしさ! 中目黒では器の上に直接串焼きを置いていましたが、こちらでは山葵の葉の上に紅芯大根を重ねて台座にしています。余分な油を吸うばかりでなく彩りも美しい!
「寿し2種」は握りと手巻きで。ヒレの中でも一番ももに近い「テートヒレ」の表面を炭焼きして低温で軽く火入れし、修業先で提供していた酢も砂糖もしっかり入れる関西風の酢飯で握ります。煮切りは甘口の九州醤油。刷毛で味を染み込ませたら山葵をほんのひとつまみ。肉、酢飯、煮切り、それぞれの味の強さを見事に調和させた一貫です。
こちらはテートヒレとスジ肉といぶりがっこと芽ねぎを粗くみじん切りにして甘口醤油で和えたタネを芽ねぎと共に手巻きにしました。タネ、酢飯、芽ねぎのバランスが絶妙な岡﨑さんならではの手巻き。海苔もパリッとして口溶けがいい。
こちらはザブトンという部位でごぼうを巻いた「八幡巻」です。ザブトンがやわらかいのは言わずもがなですが、米糠を使って30〜40分煮たごぼうが同じくらいやわらかく、この一体感がおいしさを倍増させます。「うど、筍、アスパラなどいろいろな食材を巻きましたが、ごぼうがダントツにおいしかった」そうで、コースの中でも人気の一品です。
さらにおいしさに拍車をかけるのが醤油、味噌、砂糖など何種類もの調味料からなる自家製のタレ。昭和63年に完成させたオリジナルレシピで、甘辛でコクもあるのに濃厚すぎないので素材の味を引きだしつつもしっかりと味がつき、岡﨑さんの料理に欠かせない存在です。