本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

昭和レトロな風情がどこか懐かしい! 地元に愛される町焼肉

連載5回目、今回小池さんがすすめる店は、中野区野方の商店街にある焼肉レストラン「三宝苑」。駅から商店街を通り抜け、住宅街に現れる店のネオン看板。「あ! なんかいい!」と感じずにはいられないレトロな雰囲気漂う外観に、入店への期待値も上がる。

店主が物件を見た時に、まずこのネオンサインに引かれたという特徴的な外観が目印。1966年創業当時のまま継承され、ネオン専門誌の取材オファーを受けるなど店のアイコンとなっている(写真:お店より)

ルーツを韓国に持つ店主・木村徹晧さんが、昔から家族で通っていたなじみの焼肉店「三宝苑」を居抜きで引き継ぐことになり、屋号はそのままに、2023年2月にリニューアルオープンさせた店。どこか懐かしいスナックのような、シャンデリアやステンドグラスの窓、レジ横には大きな古時計など、昭和ムードたっぷりな内観。

小上がり席などがあり近所の家族が集まるような気取らない焼肉店だが、上質な黒毛和牛のみを扱い、秘伝の自家製タレにもこだわりが詰まっていてレベルが高い!と小池さんが太鼓判を押す。

 

小池さん

西武線は、10年に1回くらいしか来ない未開拓エリアなのですが、以前この連載の初回でご紹介した高円寺「ここち」の流れで、こちらに辿りつきました。「ここち」店主の兄が出したお店と伺い、期待せずにはいられずすぐ訪問しました。ネオン看板にまずワクワクし、こじゃれていないこのレトロな雰囲気も好きですし、席もゆったりとしていて子供から大人まで寛げる。いいお店だな、とすぐに好きになりました。

連載の初回はこちら→https://magazine.tabelog.com/articles/306258

思い出の店の名前を継いだ、店主の思いとは?

高円寺(現「焼肉ここち」の場所)に、祖母のキムチ店から始まり、そのあと父が韓国料理店を営む一家の長男として生まれた店主・木村さん。飲食業とは無縁の営業職のサラリーマンだったが、父が店を辞めることになったため、焼肉が好きだったこともあり9年前に同じ場所で焼肉店を開業。

木村徹晧さん

修業期間もなくワンオペだったため、創業当初は客が来なくて苦戦するも、必死に肉の研究を重ねて本気を出し、段々と軌道に乗り始めた。2023年にたまたまなじみの老舗焼肉店である、野方「三宝苑」のオーナーから話があり、屋号をそのままに店を継承することになり、移転を決意。オリジナルメニューにて野方で再スタートすることに。高円寺で4代目になる弟「焼肉ここち」の店主・舜徹さんとは、仕入れや切り方、味などの共有をし合い、お互いを高めあっている。

 

小池さん

店の歴史を伺うと、ますます興味深くて面白いですよね。兄弟で焼肉店を経営されていて、肉の仕入れや切り方にも妥協なく、日々勉強している感じに好感を持ちました。兄弟の違いもまた楽しめるし、ベースは韓国系を残しつつオリジナリティあるメニューで、通いたくなるお店です。