〈これが推し麺!〉
ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。
今回訪れたのは、食べロググルメ著名人・柏原光太郎さんがおすすめする中国料理店「喜記(ヘイゲイ) 銀座店」。本場の味が東京で食べられると絶賛する「香港特製醤油焼きそば」を紹介しよう。
教えてくれる人
柏原光太郎
日本ガストロノミー協会会長。大学卒業後、出版社に勤務し、グルメ本を手がけたことで食の奥深さに目覚める。料理は作ることも食べることも大好きで、一人娘の弁当を毎日作っていたことも。料理好きのための食の発信基地としての役割を担うべく2017年12月社団法人「日本ガストロノミー協会」を設立。
銀座のど真ん中でそのままの香港を体験
「喜記 銀座店」のルーツは、1965年に香港の銅鑼湾(コーズウェイベイ)で創業した海鮮料理の名店「喜記」。
本店は、唐辛子とニンニクを利かせた避風塘(ベイフォントン)料理で知られるが、銀座店では避風塘料理をふまえつつ、オール香港の料理を提供するのが特徴。海鮮、肉、スープ、焼き物、点心、麺飯類、家庭料理、スイーツと実に幅広いメニューが味わえる。
中華圏外初の店舗として銀座6丁目にオープンして6年、2022年に銀座四丁目交差点近くの商業施設「イグジットメルサ」に移転したことで、席数は倍に、個室も増えリニューアル、使い勝手がよくなったと喜ばれている。
柏原さん
香港が好きで「喜記」が銀座にできたと聞いてオープン当初から通っています。
店内には、香港の飲食店でよく見かけるような天井扇が設置され、半個室となった壁には、香港を象徴するビクトリアハーバーと高層ビル群のパノラマ写真も。蒸籠やローストダックなどが見えるオープンキッチンからも厨房の雰囲気が伝わり、異国情緒に浸ることができる。
本場感は、使用する食器やカトラリーにも表れている。ティーポットや茶器、スープやデザートなどに使用する器など、香港の最高級ホテル、ザ・ペニンシュラ香港で使われるような食器類を取り寄せて使うことで、香港気分を盛り上げてくれる。
ここで料理長として腕を振るうのが「赤坂璃宮」副料理長や「香港1997」の料理長を務め、マンダリン オリエンタル 香港など国内外で研鑽を積み重ねた山﨑浩一さんだ。
中国料理界の重鎮、赤坂璃宮オーナーシェフであった譚彦彬(たん ひこあき)氏に憧れ、18歳で料理の世界へ。以来、香港広東料理一筋に歩んできた。「喜記は、私の料理人生の集大成。ここで本場の香港を体感していただけたら」と山﨑さん。