特製合わせダレの奥深いうまみをコシのある細麺で堪能

本場香港と同じ炒麺(チャオメン)用の乾麺を使用

幅広い香港料理を提供する「喜記 銀座店」のメニューの中で、食通である柏原さんの胃袋をつかんだ「香港特製醤油焼きそば」をご紹介しよう。

種類が豊富な中華麺。生麺・蒸し麺などいろいろあるが、こちらの焼きそばに使用するのは乾麺、しかもかなり細い。「細くても独特の歯ごたえが楽しめる乾麺は焼きそばに最適です」(山﨑さん)

 

柏原さん

細麺で小麦の味をしっかり感じる麺です。

麺以外の食材はモヤシ、ワケギ、黄ニラと至ってシンプル
油が爆ぜる音と白い煙が麺投入の合図

パチパチと音がして、煙が上がるほど高温に熱した中華鍋にまず投入するのは、ゆでで戻し下味をつけた麺。麺の両面を焼くことでタレがよくからむようになる。焼いた麺は別皿にあげておく。

麺と黄ニラを加えたところで、特製合わせダレで味付けを

ネギ油を熱しモヤシとワケギを炒め、生姜、酒、紹興酒を入れて炒め、麺を戻したら、黄ニラを投入。ここで投入するのが味の決め手となる合わせダレだ。「中国のたまり醤油、濃口醤油、オイスターソースをブレンドし、コクのある味わいに」と山﨑さん。

 

柏原さん

合わせダレのうまみが麺によくからまって、シンプルなのに奥行きのある味がします。

最後に「爆香(バオヒョン)」と呼ばれる技法で瞬時に強く火を通し香りを引き出す

野菜の食感や香りなど、素材の持ち味を生かすため、炒める時間は短く、あっという間にできあがり。火から下ろす直前、火力全開にして一気に仕上げるのがコツだという。

シンプルなのに味に奥行きがある「香港特製醤油焼きそば」

まんべんなく醤油ダレをまとった細麺は、まさに醤油とオイスターソースの色そのもの。濃いめの味を想像しつつ口に運ぶと、意外とあっさり、でも味はしっかり、奥行きのある味わいだ。モチモチでコシのある細麺、野菜のシャキシャキ食感も楽しく、箸を持つ手が止まらない。大盛りがあったら食べられそうなほどである。

 

柏原さん

シンプルな具材と合わせダレしか使っていないのに、これだけ完成された味になるのは、香港料理の奥深さであり、長年広東料理を修業してきた山﨑料理長の技術だと思います。

日本と香港をつなぐ架け橋として本場の味をこれからも

銀座にいながらにして香港そのものを楽しめる「喜記 銀座店」

夜のアラカルトでは1,800円でいただけるこの焼きそば、平日のランチセットでは、土鍋の炊き込みスープ、搾菜、点心かデザートを選べて1,400円とかなりお得で銀座とは思えないほどリーズナブル。銀座のど真ん中の好立地とあり立ち寄りやすく、週替わりのランチセット、ちょっと奮発してコース料理を味わうのもいい。

「喜記 銀座店」が目指すのは、料理を通して日本と香港の架け橋となること。ここを訪ねれば、香港好きには懐かしく、香港を訪ねたことのない人には、香港ならではの奥深い魅力に出合えるはずだ。

※価格はすべて税込。

取材・文:池田実香(フリート)
撮影:井原淳一