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カジュアル鉄板焼き「ひむか」を満喫するなら、この4品がおすすめ!
名刺代わりのこなれた味わい「だし巻きたまご」
山本さん
ふわふわでおいしい。最初に頼んでお通し的にお酒と合わせます。
「だし巻きたまご」は焼き手が最初に練習する基本中の基本。繰り返し続けてきた職人の技術が集約される、山本さんが探し求めていた「こなれた料理」の最たるもの。昔から食通の間で「寿司屋の良し悪しは、卵焼きを食べれば分かる」と言われるネタは、鉄板焼きにも通じている。
鉄板に卵を流し入れ、焼き上がるまでほんの数十秒。何万回と繰り返してきたことが伝わるムダのない動きで、 2本のコテを巧みに扱い、端正なかたちに卵を巻いていく……。その見事な所作を眺めているだけで、たしかに「良し悪し」は推察できる。焼き上がった「だし巻きたまご」を食べれば予想は確信に。一切のムラがない、ふわふわとした食感だ。
香りの起承転結を楽しみたい「まぐろのにんにくステーキ」
鉄板焼きの醍醐味の一つが、調理中に広がる香り。にんにくが色付くほどに立ち上がる香り、そこにバターが落とし込まれ、より豊かな香りが立ち込める。食欲をかき立てられ、今か今かとマグロの焼き色に目が吸い寄せられていたその時、醤油とお酒が投入され、たまらない香ばしさが爆発的に広がる!
みょうが、ねぎ、ポン酢で爽やかさをプラスしつつ、ガーリックチップもトッピング。カリッとした焼き目に染み込んだにんにくの香りと相まって、口いっぱいに期待以上のカタルシスを感じる。
山本さん
にんにくが利いていておいしいですよ!
上質な脂の旨さをさっぱりとまとめ上げた「黒毛和牛サーロインのステーキ」
メインディッシュの定番は、赤身とサシのマーブル模様が美しい黒毛和牛のサーロインステーキ。「あまりにも脂が多すぎるのはちょっと……」といったご年配の常連客も多いため、脂の量は適度なものを選びつつ、ポン酢などを利かせて、さっぱりとした食べ心地を演出している。
30mmの鉄板だからこそ、この厚さの「お好み焼き」がムラなく焼ける!
一瞬で焼き上げていたお通し代わりの「だし巻きたまご」とは打って変わって、シメの定番である「お好み焼き」の調理時間は約20分。薄く焼いた生地を蓋にしてキャベツを蒸らし、自然な甘みを引き出しつつ、適度なシャキシャキ感も残す。上面には細かな揚げ玉が敷き詰められており、サクサクと楽しい食感。中心部分の生地は、しっとり、ふっくら。山口さんは「お好み焼きと同じくらい厚みがある鉄板で焼かないと、こういう仕上がりにはならないんです」と、20年来の相棒である鉄板を称賛していた。
2022年に「ひむか」の創業20周年を迎えて「あと20年。この場所で70歳を超えても現役で鉄板焼き屋を続けたい」と目標を語る山口さん。鉄板焼き一筋30年でこれだけの技術に到達しているなら、さらに20年後はどうなっているのだろう? 街場の鉄板焼き屋ならではの「こなれ感」がどのように推移するのか、それを楽しむのも常連客の特権なのだ。