カジュアル鉄板焼き「ひむか」を満喫するなら、この4品がおすすめ!

名刺代わりのこなれた味わい「だし巻きたまご」

「だし巻きたまご」528円、芋焼酎「山ねこ」550円
 

山本さん

ふわふわでおいしい。最初に頼んでお通し的にお酒と合わせます。

鰹出汁、酒、醤油とシンプルな味付け。おいしさの秘訣は鉄板焼きの技術だけ

「だし巻きたまご」は焼き手が最初に練習する基本中の基本。繰り返し続けてきた職人の技術が集約される、山本さんが探し求めていた「こなれた料理」の最たるもの。昔から食通の間で「寿司屋の良し悪しは、卵焼きを食べれば分かる」と言われるネタは、鉄板焼きにも通じている。

鉄板に卵を流し入れ、焼き上がるまでほんの数十秒。何万回と繰り返してきたことが伝わるムダのない動きで、 2本のコテを巧みに扱い、端正なかたちに卵を巻いていく……。その見事な所作を眺めているだけで、たしかに「良し悪し」は推察できる。焼き上がった「だし巻きたまご」を食べれば予想は確信に。一切のムラがない、ふわふわとした食感だ。

香りの起承転結を楽しみたい「まぐろのにんにくステーキ」

粉をまぶしたカジキマグロに下味を付けるところから調理は始まる

鉄板焼きの醍醐味の一つが、調理中に広がる香り。にんにくが色付くほどに立ち上がる香り、そこにバターが落とし込まれ、より豊かな香りが立ち込める。食欲をかき立てられ、今か今かとマグロの焼き色に目が吸い寄せられていたその時、醤油とお酒が投入され、たまらない香ばしさが爆発的に広がる!

みょうが、ねぎ、ポン酢で爽やかさをプラスしつつ、ガーリックチップもトッピング。カリッとした焼き目に染み込んだにんにくの香りと相まって、口いっぱいに期待以上のカタルシスを感じる。

「まぐろのにんにくステーキ タルタルソース」1,320円
 

山本さん

にんにくが利いていておいしいですよ!

ケイパー&ピクルスが良い味を出している自家製のタルタルソース

上質な脂の旨さをさっぱりとまとめ上げた「黒毛和牛サーロインのステーキ」

ジュワ〜と肉が焼けたり、コテと鉄板がぶつかったり、醤油が一気に蒸発したりと音も楽しい!

メインディッシュの定番は、赤身とサシのマーブル模様が美しい黒毛和牛のサーロインステーキ。「あまりにも脂が多すぎるのはちょっと……」といったご年配の常連客も多いため、脂の量は適度なものを選びつつ、ポン酢などを利かせて、さっぱりとした食べ心地を演出している。

「黒毛和牛サーロインのステーキ」1,980円

30mmの鉄板だからこそ、この厚さの「お好み焼き」がムラなく焼ける!

「お好み焼き ミックス」990円

一瞬で焼き上げていたお通し代わりの「だし巻きたまご」とは打って変わって、シメの定番である「お好み焼き」の調理時間は約20分。薄く焼いた生地を蓋にしてキャベツを蒸らし、自然な甘みを引き出しつつ、適度なシャキシャキ感も残す。上面には細かな揚げ玉が敷き詰められており、サクサクと楽しい食感。中心部分の生地は、しっとり、ふっくら。山口さんは「お好み焼きと同じくらい厚みがある鉄板で焼かないと、こういう仕上がりにはならないんです」と、20年来の相棒である鉄板を称賛していた。

秘伝のソースは少し甘めにブレンドしているという

2022年に「ひむか」の創業20周年を迎えて「あと20年。この場所で70歳を超えても現役で鉄板焼き屋を続けたい」と目標を語る山口さん。鉄板焼き一筋30年でこれだけの技術に到達しているなら、さらに20年後はどうなっているのだろう? 街場の鉄板焼き屋ならではの「こなれ感」がどのように推移するのか、それを楽しむのも常連客の特権なのだ。

※価格は税込。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:佐藤潮
文:佐藤潮、食べログマガジン編集部