房総半島には銚子、館山、勝浦など全国有数の港をはじめ約70の漁港があり、春夏秋冬いつでもおいしい地魚が楽しめる。回転寿司では「漁港が多い地域に名店あり」という格言があるほど鮮度抜群の地魚は人気であり、千葉の回転寿司のレベルをぐっと引き上げている。今回は、鮮度にこだわる千葉県のおすすめ店を紹介したいと思う。

「回転寿司 やまと 君津店」の「板さんおまかせ握り」
「回転寿司 やまと 君津店」の「板さんおまかせ握り」   写真:お店から

1. 元祖デカネタと劇団員のおもてなしに感動!「すし銚子丸」

「すし銚子丸」は、 首都圏グルメ回転寿司の草分け的存在であり、従業員の皆さんを「銚子丸一座の劇団員」と位置付けた独特のサービスが好評だ。店には店舗を司る店長と現場を取り仕切る座長がおり、ホールのトップには女将さんがいるという具合で、鮮魚を捌く時などは魚を頭上に掲げてアピールするなどパフォーマンスでも人気を博している。

元祖デカネタを誇る寿司の存在感は圧倒的で、中でも月替わりの「劇団セット」は楽しみのひとつ。

「劇団セット」

旬に合わせたテーマの盛り合わせで、お得感が半端ない。まずは何はともあれ「劇団セット」というお客さんが多いのもうなずける。

「釣金目鯛」495円

本日のおすすめには地元の鮮魚や至高の一品が揃っている。こちらは房総で大人気の金目鯛。釣りものは珍しくことさら美味に感じる。シャキシャキの山葵がアクセントとなっており、レモンを軽く搾ってさわやかにいただけた。

「ホタルイカの酢味噌」495円

個人的に忘れられないのがこちらの「ホタルイカ」。まるで富山で浜茹でしたかのような素晴らしい味わいに驚き聞いてみたところ、契約した漁船から水揚げされた状態の良いホタルイカの上澄みの部分だけを入荷し、しかも前日に釜茹でしたものだけを使用しているとのことで、このぷっくりとした味わいにも納得。わずかな期間しか提供されないが、こういう仕入れができるのも「銚子丸」の魅力だ。

「あら汁」

こちらの「あら汁」は平日のランチタイム限定のサービス商品。毎日、大量の鮮魚を仕入れているからこそできるサービスで、日によって魚が変わるのも楽しみのひとつ。あらにも身がたっぷりとついて食べる楽しみもあり、しかもおかわり自由という大盤振る舞い。これだけでお腹がいっぱいになる。

訪れた人を笑顔にするパフォーマンスの数々もさることながら、デカネタ寿司が次々と回ってくるレーンは見ているだけで楽しくなり、食べるとひと工夫された寿司に感動し、劇団員のおもてなしにほっこりする。「銚子丸」でしか味わえない世界をぜひ、堪能していただきたい。

2. 房総の地魚全員集合!「回転寿司 やまと」

房総の地魚が人気の回転寿司店。こちらは地元で産地卸売から仲買、小売り、飲食店まで幅広く手掛ける水産会社の直営で、毎朝、市場で買い付けた鮮魚を直接店に配送しているというのだから間違いはない。

「やまと五貫」880円

寿司のイチ推しは「やまと五貫」。こちらは大トロ、中トロの2貫に日替わりの白身魚3貫のセットで、朝獲れの房総地魚が味わえる。写真はカンパチ、ヒラメ、ハマチの3種だが、見た目通り素晴らしい味わい。仕込みの丁寧さ、握りの正確さなど文句のつけようがなく、鮮度もしっかりと伝わってくる。マグロの質も素晴らしく、これを食べればこの店のポテンシャルがよくわかる。

「活とり貝」420円

とにかく足が早くてなかなか食べることができない活とり貝を入荷できるのが「やまと」の底力。こちらは地元・船橋産のとり貝を殻ごと仕入れており、店内で捌いている。湯引きしたとり貝とはまったく違うシャキリとした歯ごたえとさわやかな甘みがなんとも素晴らしい。この旨さを回転寿司で味わうことができる店はほんの一握りしかない。

「こはだ」280円

こちらはまごうことなき自家製のこはだ。天候により酢や塩の量、漬ける時間などを計算しなければならないため手間がかかり、回転寿司で提供している店は本当に少ない。こちらはしっかりと酢がきいており、「うーん、旨いね」と思わず口に出る。こういった寿司に店の実直さがよく表れている。

鮮度が味に直結する青魚はすべて店内仕込み。朝、生簀で神経締めにした房総の地魚にこだわり、房総ブランドの素晴らしさを広めている回転寿司店であり、丁寧な仕事は決して裏切らないことを証明してくれる店である。