おにぎりが〆のダイニングバーが恵比寿に誕生!

恵比寿南の交差点の角にオープンした「たなごころ」。このお店のメインは「おにぎり」です。そんなのどこでもあるじゃないと思っているアナタ、意外においしいおにぎりを出す酒場は少ないのです。

しかもお米は徹底的にこだわり、仕入れは1930年創業の原宿の老舗米屋「小池精米店」と言うから味は保証済み。こちらの三代目、五ツ星お米マイスターであり、三つ星レストランのシェフたちからも絶大なる信頼を得ている小池理雄(こいけただお)さんと相談しながら毎週、長くても2週間ごとにお米を変えているというのです。使用する前に何度も浸水時間や炊き方を試し、最高の白飯を炊きあげています。

炊きたてのお米はなんと美しいのでしょう!

本日のお米は石川県産のコシヒカリ「能登姫」です。小粒で甘みとうまみが強いこのお米はもともと水分を多めに含んでいるので、気温や湿度を考えながら浸水時間の工夫が必要です。そうやって炊きあげた白飯はおひつに移していると、一気に香りが漂ってきます。揃った粒はひとつひとつしっかりと立ち、食べてみるともっちりとした粘りとコシを感じた後にブワ〜ッと広がる甘みとうまみが印象的! お米ってこんなにおいしかった?

いずれは自身で「わかむすび」というおにぎり屋さんを作りたいと修業中の館林和奏(たてばやしわかな)さん

こちらで握っている一人が、おにぎりが大好きという館林和奏さん。ご実家でお米を作っているという環境から根っからのお米好き。パン屋に比べておにぎり屋は少なく、お米の消費量が減少傾向にあるということにも疑問を抱き、おにぎりのおいしさを知ってもらいたいというのが働くきっかけとなったそう。

「3回握るだけでほろっとほどけるように心がけています。お寿司の職人技の域にまで達することができるように追求していきたいです」と話します。

スッキリと清潔感あふれる店内はカウンターと2つのテーブル席があります

「たなごころ」のおにぎりとは

愛情込めて握るおにぎりはやっぱり格別

その握り方を教えてもらいました。まず手を少し湿らせてから分量の白飯を手に取り、ハンバーグを成形するように楕円形にします。それからギュッギュッギュッと3回握って三角に仕上げます。理想とする、手に持った時はしっかりしながらも口の中ではホロホロとほどけていくおにぎりにするには、この3回の力加減次第というわけです。おひつに入れた白飯は70度前後の熱さ、それを上手に素早く握るには手を真っ赤にしながらただひたすら握り続けるのみ、近道はありません。

またこちらではおにぎり1個のサイズがテイクアウト用は150g、イートインには〆ごはんにベストな120gと決まっています。型もなく、量る訳でもない、自分の手の大きさで覚えて、ほぼ同じ大きさに仕上げるのです。

左から「高菜明太」(340円)、「雲丹バター」(550円)、「いくら」(460円)、「紅鮭」(280円)、「梅牛そぼろ」(370円)

見てください、この堂々たる姿を。おいしいお米に負けないよう、具材にもとことんこだわっています。胡麻油の香りと風味が際立つ「高菜明太」、バーナーで炙っていい感じに溶けた上質なバターが雲丹にコクとうまみを纏わせる「雲丹バター」、一緒に漬け込んだ柚子の香りがほんわり漂う「いくら」、紅鮭のフィレを焼いて柚子の皮とともにいただく「紅鮭」、鰹のうまみと山椒の香りをプラスした2種類の梅(練りと果肉)と甘辛く煮た牛肉のそぼろが最強マッチングな「梅牛そぼろ」、どのおにぎりも手に取って口に近づけるとまずは香りが鼻をくすぐります。

プチプチッと弾けるいくら、とろんとした雲丹、ふんわりな紅鮭、厳選した食材だからこその食感です

そして口にすると「えっ?」と思うのが海苔の歯切れの良さ。手で持つとしんなりしているのに食べるとスッと切れて白飯と具材を包み込んでくれるのです。すべてが一体となった食感と味わいたるや、お見事としか言いようがありません。