関西人が愛するローカルフードが入った一枚

関西の庶民の味として親しまれるローカルフードに「あぶらかす」がある。「あぶらかす」とは、牛の腸を時間をかけて油で揚げ、余分な油分を抜いて肉の旨味を凝縮させたもの。お好み焼き以外にもうどんなどのトッピングとして親しまれている。関西で「かすうどん」といえば、大体がこのあぶらかすのことだ。

これがあぶらかす。かつては庶民の味だったが、近年では人気で入手しにくい希少な食材になりつつある

マッキーさんのお気に入りは、そんな関西のローカルフードが入ったお好み焼きに、さらに牛すじまでもトッピングした一枚。こちらで使用するあぶらかす、牛すじは共に国産牛。さらに牛すじは3回も下茹でし、無駄な脂分や臭いを徹底的に取り除き、柔らかに仕上げている。

「牛あぶらかすのお好み焼き」(900円)に牛すじのトッピング(250円)
 

マッキー牧元さん

ぷりぷりの食感と旨みが凝縮されたあぶらかすに、さらに柔らかで旨みを兼ね備えた牛すじをトッピングして、国産牛のコクが押し寄せる、贅沢で味わい深い一品にヴァージョンアップ!

締めでもメインでも楽しめるあっさり味の「タコネギ焼き」

牛すじやあぶらかす、野菜などの素材は国産にこだわる宮内さん。魚介も知り合いの漁師から直接仕入れるほど。そこでマッキーさんがおすすめするのが、兵庫を代表する魚介のひとつである明石ダコを使ったネギ焼き。醤油で味付けしてあるため、比較的あっさりと味わえる一品だ。

「明石ダコのネギ焼き」800円
香ばしいネギがたっぷり入った生地からぷりっぷりのタコのぶつ切りが現れる
 

マッキー牧元さん

醤油の焦げる香りも食欲を刺激してくれます! 口にするとかぐわしいネギの味わい、そしてタコの心地よい歯ごたえと旨みが満喫できる一品。あっさりと味わえるので、締めの一品やお好み焼きとの食べ比べにも挑戦したい!

長田発祥のソウルフード「そばめし」を食べずにはいられない!

「そばめし」は、戦後間もない頃の長田のお好み焼き店で、客が持ち込んだ弁当の冷や飯を「焼きそばと一緒に炒めてくれ」と言われたのがルーツとされる。今や神戸を代表する下町のソウルフードとして親しまれ、神戸のお好み焼き店のメニューには、当たり前のように載っている一品だ。

ボリューム満点の「牛すじそば飯(牛のあぶらかすトッピング)」

そばめしが愛される理由のひとつが、そのボリューム。なにせ焼きそば一人前にご飯が加わるため、単純に考えて1.5〜2食に相当する分量になる。宮内さんが作るそばめしの場合は、加えるご飯が250g! 一人で食べればお腹パンパン。2人でシェアしても十分満足できる。

「牛すじのそば飯」1,150円、トッピングあぶらかすは400円
歯応えの良い太めのモヤシを使用するのが宮内さんのこだわり
 

マッキー牧元さん

長田発祥のソウルフードを食べないわけにはいかない! とろみのあるお好みソースとウスターソースの絶妙なバランスの味わいに、牛すじとあぶらかすのコクも加わり、満腹になっても、ついつい最後まで食べてしまいます。

鉄板焼きとお酒で晩酌にもぜひ利用したいスポット

お好み焼きなどのトッピングは100円から16種類が用意されているので、オリジナルの一品にして味わうのも一興。また「粉もん」以外に「鶏もも塩焼き」(600円)をはじめとする鉄板焼きメニューも人気。

「もっと皆さんにお酒も楽しんで欲しい」と宮内さんが語るように、ベルギービールなどアルコールの品揃えも充実しているので、鉄板焼きの一品をサイドメニューで楽しみつつ、お好み焼きで一杯やるのもおすすめしたい。

お好み焼き激戦区で、まるで人目をはばかるようにひっそりと佇む店だからこそ、じっくり味わえるのも心地よい。また宮内さんの飾らない人柄と、先代のレシピと素材にこだわるの姿勢も魅力的だ。

※価格は税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影・取材:藤川満
文: 藤川満 、食べログマガジン編集部