【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#19】「タコムマサラダイナー」

夏が近づいてきています。夏と言えばやっぱりお祭りシーズンですが、昨年からのコロナ禍で夏祭りらしい気分をなかなか味わえない状態が続いてしまっています。夏祭りと言えば屋台。縁日などで食べるたこ焼きは不思議とおいしく感じられたのを思い出しますね。

東京では日常的にたこ焼きを食べるという程ではないですが、大阪では日常的に食べるものとして定着しています。大阪名物と言えば、昔はたこ焼きなどのいわゆる粉ものでしたが、今はスパイスカレーも名物であり、大阪市内に限って言えば粉もののお店の数を近年カレーのお店の数が抜いて多くなったとも言われています。そんな2大大阪名物であるたこ焼きとカレー。これを見事に融合させたお店が下北沢の「タコムマサラダイナー」です。

こちらのたこ焼き、スパイスを使用しているのですが、そのスパイス感とだし感がまさに大阪カレー的。「スパイスたこ焼き」6個560円は、見た目は普通のたこ焼きですが、割ってみるとカレーのような色合い。たこのみならずズッキーニなどの野菜や、レーズンまで入っているという個性派。それぞれの食感と味が混ざり合うとカレーを食べているような感覚になるという、非常に面白く、おいしいたこ焼きなのです。

「スパイスたこ焼き」

最初は何もつけずに味わい、その後で卓上のイチジクを使った甘口ソース、ごま油醤油麹、スパイス塩昆布などをつけて食べるとまた変化が出て、1人で6個でも足りないくらい。お酒のアテとしても最高なのですが、このご時世ですから今回はソフトドリンクを飲み比べしてみました。

写真左から「タコムクラフトコーラ」「スパイスプーアル茶」「タコムクラフトジンジャーエール」

「タコムクラフトコーラ」450円はスパイスとシロップを合わせた自家製コーラ。昨今カレーのお店でクラフトコーラを出すところが増えていますが、カレーに使うスパイスとコーラに使うスパイスって実は共通するものが多いので納得ですし、違和感のないおいしさに仕上がっています。

「タコムクラフトジンジャーエール」450円はしっかりと生姜が利いており、さらにはチリの辛味も感じるスパイシーなドリンク。お酒が入っていなくてもお酒を飲んだような感覚になれます。そもそもジンジャーエールは禁酒法の時代のアメリカで、お酒の代わりになる飲み物として人気を博したという史実があります。今の東京に悲しくもぴったりな飲み物とも言えるわけです。

炭酸系が苦手な方には「スパイスプーアル茶」450円もあります。こちらはカルダモンの皮とプーアル茶を一緒に煮出したという爽やかな飲み物。カルダモンの甘く華やかな香りがお茶と見事にマッチしています。

「タコム風プルドポークライス」

こちらのお店、通常時はディナータイムのみの営業なのですが、コロナ禍でランチタイムを始めました。ランチタイムはカレーライスもあるのですが、お店イチ押しメニューとして「タコム風プルドポークライス」1,000円もあります。

プルドポークはアメリカのBBQ料理で元々スパイスも使用する料理なのですが、こちらはそのスパイス感をさらにレベルアップさせたもの。焼いてほぐした豚肉と一緒にトマトの酸味の利いたチリビーンズが盛り付けられており、それぞれ食べればおいしいプルドポークとおいしいチリビーンズなのですが、混ぜて食べてみると一気にカレーに近づいてくるという興味深い一皿です。

「スリランカ風カツオのカレー」※ カレーの内容やメニューは日替わりで時期によって変わりますので、詳しい情報はお店のSNSで確認してください

でもやっぱりカレーも食べたい! ということで「スリランカ風カツオのカレー」をご飯無し(750円)でいただきました。通常ランチのカレーはスパイスカレープレートということでご飯と副菜がついて1,200円なのですが、ディナータイムはカレーのみでの注文が可能です。今回は特別にランチだったのですがカレーだけで頼んだという次第。

そんなの紹介するなよと言われそうですが、マスターに「この記事を読んだ方から同じような注文がきた場合は受けてくれますか?」と聞いたところ、「カレーの小鉢的メニューができるように検討します!」と答えてくれたので、是非聞いてみてください。

話が少しそれてしまいましたがスリランカカツオカレー。これまたおいしい! 何しろマスターは大阪カレーを代表する名店のひとつである「旧ヤム邸」のメインシェフの一人だった方なので、カレーの専門家なのです。スリランカ料理でよく使われるゴラカを感じるスパイス使いであり、鰹節のだしがよく利いています。

スリランカと言えばモルディブフィッシュでだしをとる料理が多いので、そのあたりもスリランカ的。スリランカ現地の味そのままではないのですが、オーセンティックな料理法をちゃんと理解した上で日本的に仕上げてオリジナルのおいしさに仕上げているのは流石です。

こんな時期ですがスパイスドリンクやスパイスたこ焼きでお祭り気分を思い出させてくれて、ランチのプルドポークとカレーも最高のおいしさ。今年2月にオープンしたお店なので、カレー激戦区下北沢においてはまだそこまで知られてはいないのですが、マニアの間では既に支持されている名店です。店内はアジアを感じさせる内装で、旅気分も味わえます。今こんな時期だからこそ、特におすすめの素敵なお店ですよ!

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年7月5日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/