〈2019 食通が惚れた店〉

平成から令和へと元号が変わった2019年。外食シーンにおいても、新しい時代の幕開けを感じさせる飲食店や、グルメにまつわるトピックスが盛りだくさん。そこで、グルメ情報を熟知した方々に、2019年に最も感動したお店について教えてもらいました。「2019年のNo.1」「2,000円以下のプチプラグルメ」「2020年の注目店」をそれぞれご紹介します。

 

今回は、サニーデイ・サービスのベーシストで食べログ グルメ著名人の田中貴さんにお答えいただきました。

 

教えてくれる人

 

田中 貴

サニーデイ・サービスのベーシスト。1994年にメジャーデビュー。国内外多くのアーティストのライブサポート、レコーディングセッション、プロデュースでも活躍中。デビュー以来、25年以上日本全国の店を食べ歩いているほどのラーメン好きで、テレビなどにも多数出演。著書「Ra:」を出版し、ラーメン評論家の大崎氏、石神氏から「掲載されている地方の店はほとんど知らない。やられた感満載、くやしい」と評価を受ける。同書ではラーメン好きミュージシャンを集めユニットを結成。個人SNSアカウントでも食の情報を発信中。

2019年のNo.1飲食店

Q 2019年に行ったなかで、〈最も感動した飲食店〉はどこですか?

撮影:田中 貴

A 「ラーメン拾番(新潟市)」です。

もう二十年近く、十数回通っている店だが、常に感動させてくれるラーメン。料理の美味しさを、前評判無しに冷静に判断できる人は少ない。この店が、深夜営業ではなく、古い蕎麦屋のような店構えであったら、評価は大きく変わっていたであろう。79歳になられる寡黙な真保店長の、見事な職人技にも惚れ惚れする。

Q そのお店で〈印象に残った一皿〉は?

撮影:田中 貴

A 「ラーメン」です。

豚骨、鶏ガラ、魚介類、野菜を煮立てぬように、じっくりと炊き上げたスープは、タレにも醤油はほとんど使わず、極限まで澄んでいる。コリっとした食感がいいメンマも、味は付いていない。食べ進めると、じわじわとやってくる旨味に思わず唸ってしまう。

 

 

2,000円以下のプチプラグルメ

Q 2019年に行ったなかで、人におすすめしたい〈2,000円以内のプチプライスで食べられる幸せ〉は何ですか?

撮影:田中 貴
撮影:田中 貴

A 「万葉軒(マンヨーケン) 要町店(千葉市)」の「トンかつ弁当」です。

いわゆる普通の卵とじのカツ丼ではなく、ご飯の上にカツがのった、古くからその街で愛されている料理を食べ歩いている。千葉に行くと食べるのがこれ。薄いロースカツを、ウスターソースに浸したものがご飯の上にのるチープなお弁当。どのくらい千葉の人に馴染みがあるかは知らない。これが500円というのも安いかどうかわからない。とりあえず、近くに行くと買う。豚のコックが描かれたパッケージも味わい深い。要町店にあるイートイン・スペースには電車の椅子が設置されており、駅弁気分も楽しめる。

 

トンかつ弁当 500円(税込)

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

 

 

2020年 注目のお店

Q 2020年、〈注目したい飲食店〉はどこですか?

撮影:田中 貴

A 「ホープ軒」です。

東京オリンピックが開催される今年、ミシュランに掲載されたラーメン店には、海外からの観光客が大行列を作るであろう。そんな中、国立競技場の目の前に堂々とそびえ立つホープ軒はどんなことになるのか。今もお元気な牛久保店主が、60年かけて改良を重ね作り上げた背脂のパンチがきいた豚骨ラーメン。ラーメンの歴史を塗り替えたこの味が、今、世界的にどう評価されるのか。あとまあ単純に、吹きっさらしの立ち食いラーメン屋で、外国人が並んで一心に極太麺を啜る姿を見てみたい。

 

 

文:田中貴・食べログマガジン編集部