【噂の新店】SHIN

古くから避暑地として愛され、西洋文化と地元の豊かな食材が交わり独自の食文化を育んできた軽井沢。その魅力を体感したいと訪れる人を満足させるべく、「傳」の長谷川在佑氏がレストランを監修したホテルが誕生した。

大自然に包まれたラグジュアリーな空間で、“ありのままの自分”に還る

エントランス

今年7月22日、全室プライベートサウナ付きのスイートルームというラグジュアリーホテル「ESSENCE KARUIZAWA」がオープンした。軽井沢駅から車で5〜6分離れただけなのに、こんなにも緑に囲まれ静寂の世界に変わるのかと驚く。

長いアプローチを歩きホテル棟の玄関へ

本質という意味を持つESSENCEを名前にしたのは、ここでありのままの自分に還ってほしいとの思いから。エントランスからホテル棟へと向かう長いアプローチを歩いていると日常が一つずつはがれ落ちていくような感覚に陥る。扉が開いた瞬間に始まるのは自分自身を取り戻す時間。大自然に身をゆだね、これから体験する一つひとつを想像すると胸が高鳴る。

レセプションとロビー

到着するとロビーでジンジャーとカルダモンを緑茶で割ったオリジナルのウェルカムドリンクをいただきながらチェックイン。館内はアロマ調香デザイナーの第一人者と言われる齋藤智子氏が手がけた檜を基調としたオリジナルアロマの香りに満ち、心身ともに安らぐ。

ラウンジは6:00から23:00まで利用可能

宿泊者専用ラウンジではフリードリンク&フードが用意され、大きな窓からカラマツの森を眺めるカウンターデスクで読書に没頭したり、ゆったりとしたソファーでプレミアムなオーディオシステムから流れるレコードの音楽に耳を傾けながらドリンクを楽しんだり、部屋とはひと味違うひとときを過ごせそうで心が弾む。

本棚にはさまざまなジャンルの本が並ぶ
オーディオシステムと自由にかけられるレコード
フリードリンク&フードコーナー
フィンガーフード

全室プライベートサウナ付きスイートで贅を楽しむ

リビングルーム

こちらは12室すべてがスイートルームでプライベートサウナ付き。部屋に入ると目に飛び込んでくるのはまるで風景画のような軽井沢の森。その美しい緑色が映えるよう、空間は落ち着いた色調で統一されている。

テラスで大自然を望む

ボードゲームや双眼鏡、天体望遠鏡、ヨガマットのレンタルがあり、毛布、ノンアレルギーやそば殻、低反発など枕の種類も豊富、また靴乾燥機、ヘアアイロン、スチームアイロンなどの用意もあり至れり尽くせり。テラスで自然を眺めたり、大きなソファに身を沈めたり、このゆったりとした空気感の中で過ごす時間がこんなにも心地よいものかと思わされる。

ベッドルーム

心身を緩める睡眠には日本ベッド社製の最高級グレードのマットレスを用意。「リカバリーウェアブランド『VENEX』と共同開発したオリジナルルームウェアに身を包み、心身をゆるやかに回復。眠りまでを大切な滞在体験として、深い眠りへと身をゆだねる。

ドレッシングルーム

サウナとバスルームを繋ぐドレッシングルームにも注目だ。設えの美しさだけではない。オリジナルポーチにはセンスあふれるアメニティグッズが入り、その横にはバスソルトが置かれている。極上の“ととのい”をサポートするのはサウナ専用ブランド「TTNE」とコラボレーションしたサウナハットとサウナポンチョに塩飴。ミニバーには無料の「オロポセット」まで用意されている。

プライベートサウナ

ここまで完備されるとたとえサウナーでなくても体験したくなるもの。ライティングを自由に変えられるサウナで好きな時間に自分のペースで身体を温めたらテラスで一休み。森の静けさの中で自分に向き合う贅沢な時間だ。

「傳」のエッセンスと土地の恵みを一皿に

レストラン「SHIN」

日が落ちるとお待ちかねのディナータイムとなる。ここに来る理由の一つが「傳」の長谷川在佑氏が監修し、長谷川氏のもとで研鑽を積んだ田中 博さんが腕を振るうレストラン「SHIN」での食事だ。長谷川氏から受け継いだものと田中さんの感性で、軽井沢をはじめとする信州の食材をここでしか味わえない一皿へと昇華させる。

1人から大人数まで対応可能

「SHIN」は連なる木の梁が印象的な高い天井に、ムクノキのテーブルとグリーンの椅子、大きな窓から差し込む自然光と天井から吊り下げられたドイツの照明デザイナー、インゴ・マウラーの「Zettel’z」が放つやわらかな光が交錯する、森をイメージした空間だ。数カ所に設けた壁と、形の異なるテーブルを巧みに配置することで、開放感がありながらほどよくプライベート感を生みだしている。

田中 博料理長

店名は「以心伝心」と「料理は心から」という田中料理長の思いを取って名付けた。

軽井沢と信州の“旬”が並ぶ

提供するのは先附から甘味まで8品から成るおまかせコース。サラダや土鍋ごはんで「傳」を彷彿とさせながら、豊かな軽井沢や信州の食材をふんだんに取り入れた田中さん渾身の皿は優しく五感に沁みいり身体が喜ぶ。

「金目鯛の白扇揚げ もずく 竜眼酢橘」

本日の御椀は鰹出汁を引いた吸い地に椀種は水で溶いた片栗粉を衣にして揚げた金目鯛、椀妻は宮古島産のもずく、そして吸い口に竜眼酢橘。酸味を強めにキリッと仕上げた椀に細胞が覚醒する。

「信州サーモン カンパチ 海苔酢 本山葵 赤芽紫蘇」

サーモンは6日、カンパチは5日熟成、ねっとりとした食感にうまみがのり、酸味の利いた海苔酢とのマリアージュに酒が進む。

「熟成鰻の揚げ浸し カシューナッツと茄子の田楽」

4日熟成によってうまみを引き出した鰻は、皮はカリカリに身はふわりとした食感に揚がっている。鰻といえば蒲焼を思い浮かべるが、しし唐の辛みを利かせた餡には揚げ浸しがうってつけだ。

「軽井沢大地の恵みサラダ 和食の技法をちりばめた一皿」

みずみずしさや食感、火を入れることで生まれる甘みなど旬の野菜それぞれの持ち味を和食の技法で引き出した。味付けは塩昆布と柚子のみ。「傳」のスタイルを感じさせながらも信州の野菜を知る田中さんならではの感性が光る一皿だ。

「信州りんご和牛フィレ焼」

信州のプレミアム和牛の一つ、信州りんごを飼料に加えた「りんご和牛」は絶妙な火入れでしっとりとやわらかな仕上がり。同じりんごを使ったソースと完璧なるマリアージュを作っている。

「北軽井沢のきの子ごはん 赤出汁 香の物」

〆は長野県産「つきあかり」ときのこの「炊き込みご飯」。きのこの豊かな香りとうまみをまとった米はほどよく粘り、噛むごとに甘みを感じさせる。

「新生姜のムースと黒糖の葛寄せ 西瓜のゼリー」

「甘味」は西瓜ゼリーと黒糖の葛寄せとメロンをトッピングした新生姜のムース。群馬県産のサトウキビで作った黒蜜を添えた。新生姜の清涼感とほのかな絡みがコース料理を軽やかに締めくくる。

滋味あふれる朝食が心身を目覚めさせる!

炊き立てのご飯

朝食に使用するのは佐久市の「五郎兵衛米」。蓼科山の清らかな水と強い粘土質の土壌で育ち、強い粘りと甘み、しっかりとした粒感が持ち味の希少米だ。

朝食

銀鱈の幽庵焼き、炙り明太子、雲丹と湯葉、信州牛ローストビーフ 玉ねぎソース、卵焼きなど、心躍る料理が並ぶ。朝食に炊き立てのご飯と多種のおかずを味わうのは旅先ならではの贅沢。滋味豊かな料理をゆっくり食せば身体の内側から目覚め、清々しい一日の始まりとなる。

ロゴ

森の中で時を過ごしているうちに日常から少しずつ離れていくのがわかる。プライベートサウナで身体をととのえ、信州の恵みを味わう。何か特別なことをする必要はない。心と身体が求めるものに応えるだけ。それを「ESSENCE KARUIZAWA」が叶えてくれる。第二期計画として、2029年頃には隈研吾建築都市設計事務所の設計による宿泊棟およびレストラン棟の拡張を予定している。ますますここに還ってきたくなりそうだ。

※料理内容は取材時のものになります。季節によって変更されます。

文・高橋綾子 写真・松園多聞