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食通が見いだした、今月の新店
新しいお店がどんどん出店し、ますますの盛り上がりを見せる飲食業界。「気になる店が多すぎてどこの店に行ったらいいかわからない!」という人も多いのではないでしょうか。そこで、グルメ情報に精通している方々に、最近訪れた新店に関するアンケートを実施。特に注目している「今月の新店」について教えていただきました。
今回は、令和のグルメ王、浜崎龍さんが推薦する、「KANTA」を紹介します。
今月のベストワン
Q. 直近で行った新店の中で、特におすすめしたいお店を教えてください
A. 「KANTA」です


浜崎さん
正直、ここ最近で一番の衝撃でした。メニュー表なんて野暮なものはありません。用意されているのは、シェフの頭の中にある世界観を具現化した「おまかせコース」のみ。カウンター席に座ると、そこはさながらライブハウスの最前列。目の前でシェフが食材と向き合い、緻密に構成された料理が次々と完成していく様子は圧巻です。ジャンルレスな皿がテンポよく繰り出されるその時間は、さながら「食のジャムセッション」を目撃しているかのような高揚感があります。


浜崎さん
なぜ、これほどまでに引き出しが多く、かつ全ての着地点が完璧なのか? その謎は、シェフの経歴を聞いて一瞬で解けました。京料理店で基礎を叩き込み、あのイノベーティブの最高峰「NARISAWA」で6年修業。さらに、センスの塊のような中華・創作の名店「WASA」で2年研鑽を積んでいるのです。


浜崎さん
トップクラスの「革新性」と「編集力」を肌で学んできたからこそ、スパイスを大胆に使った一皿も、正統派イタリアンのようなパスタも、全てが「KANTAの料理」という一つのストーリーとして完璧に着地する。この圧倒的な「軸」があるからこそ、僕らはシェフの仕掛けた遊び心に、安心して身を委ねられるんです。まだオープンしたてで、今はインスタのDMで予約が取れますが、この席がプラチナチケットになるのは時間の問題。「予約困難になる前に急げ」と、本気で友人たちに薦めている一軒です。
Q. 「KANTA」でおすすめしたいメニューを教えてください
A. 「コース終盤の、怒涛の炭水化物ラッシュ」です


浜崎さん
この店の真骨頂は、理屈じゃない「食う喜び」にあります。高級食材を惜しげもなく使いながら「手でいっちゃってください」とスナック感覚で出したり、緻密なコンソメの後に脳天を突き抜ける辛みをぶつけてきたり。権威的な美食ではなく、シェフ自身が「これが旨いんだよ!」と信じるものを、ストレートに楽しませてくれる。そのプリミティブ(根源的)なエネルギーがすごい。


浜崎さん
極めつきは、計算されたコースのラストに待ち受ける炭水化物ラッシュ。「とにかくお腹いっぱいになって帰ってほしい」というシェフの愛が、これでもかと皿にのってやってきます(笑)。でも、どんなに満腹でも不思議と胃に収まってしまうのは、やはりベースの技術が半端じゃないからでしょう。松陰神社前までわざわざ行く? いえ、違います。「この店に行くために、松陰神社前という駅が存在する」。店を出る頃には、大げさじゃなく本気でそう思わせてくれる一軒です。



