新天地は話題店のオープンラッシュで活気付く新富町
確かな技術とセンスから生まれた芸術的な皿と国内外で評価され、人気絶頂のまま突然幕を閉じた麻布十番「オルタシア」。その後、シェフの古賀哲司さんは商品開発や店の立ち上げ、メニュー監修などに携わる裏方に徹していましたが、8年の時を経て表舞台に戻ってきたのです。
選んだ地はここ数年、話題の店が続々とオープンして新たな食エリアとして活気のある新富町。偶然見つけたこの場所は、温もりがあり昔ながらの空気感のある麻布十番に街の雰囲気が似ていること、目の前の通りは静かで車が停めやすいこと、エレベーターからその通りに出るまでの距離で余韻が残せることで一目惚れ。何としてもここに店を出したいとさまざまな問題を乗り越え、2023年12月に「オルタンシア」をオープンしました。
エレベーターを降りると大きなオープンキッチンが広がります。フレンチの緻密な技を目の前で見ることのできる木製のカウンターや天井には丸みを持たせ優しさを表現し、茶系の落ち着いた色調は心を和ませてくれます。カウンターは8席、個室は6席に抑え、目の行き届いたおもてなしを信条とし、この店に集まる人や物の絆を大切にしていきたいと話します。
「オルタンシア」は“東京だから発信できるイノベーティブフレンチ”がコンセプト。洋食器だけでなく器には有田焼や美濃焼、カトラリーには龍泉刃物といった日本の伝統工芸品も使い和魂洋才を意識しています。
料理の基本理念は「オルタシア」から変わらず“3つの和”。1つ目は四季折々の食材で彩りの和を、2つ目は構成の調和を、3つ目は味わいの和み。変わったのは日本の食材が中心になったこと。それでは“凝縮とうまみ”をテーマにした芸術的な皿をいくつかご紹介しましょう。