突然ですが、みなさん“とんかつ”は好きですか? 週一で食べる方もいれば、一年に一回の方、もしくは、それ以下の方も居るのではないでしょうか。特に“とんかつ大ブーム”を知らない平成世代の方々は通って来なかったかもしれません。実は、“とんかつ”をあまり愛して来なかったことを後悔する“至高のとんかつ”があるんです。それを食べられるのが、高田馬場にある「成蔵」。今回は、この超絶人気店で開催された「東京とんかつ学術会議」に参加してきました。

そもそも「東京とんかつ学術会議」ってなんぞや

主催者は、料理評論家・山本益博さん(写真右)、タベアルキスト・マッキー牧元さん(写真中央)、グルメアナリスト・河田剛さん(写真左)というグルメ界を代表する御三方。何よりも愛するとんかつを食べ歩き、記録したレビューを一覧できるとんかつのガイドブック「東京とんかつ会議」(ぴあ刊)の出版を記念して開かれたのだとか。

とんかつの海へ、いざゆかん。

開催場所は、連日行列ができる東京随一のとんかつ屋さん「成蔵」。とんかつビギナーじゃなくても知っているのではないでしょうか? どんなとんかつが待っているのか、素晴らしさを理解できるのか……。期待と不安にドギマギしながら中へ。そこで発見した5つをご紹介します。

発見1. 名店の店主は怖い!は間違い

通されたのは特等席であるカウンター。速くなる心臓の音。しかし、席につき、オーナーの三谷成蔵氏の笑顔を見て、緊張が解けました。“名店”と聞くと、「きっと厳しい店主に違いない」と思ってしまうのですが、そんなことはありませんでした。

発見2. 茶色くないとんかつもある

この日は特別に、栃木の“霧降高原豚”、新潟の“雪室熟成豚”、岩手県の“岩中豚”(写真はこちら)の3種類が振舞われ、食べ比べをさせていただきました。まず、最初の感想は「茶色くない……、これ本当にとんかつ?」
オーナーの三谷さんは、特に衣に気合を入れています。こちらで使用しているパン粉は糖度が低く、普通のパン粉の1/4ほど。その理由は、糖度が高いパン粉は焦げやすいため。パン粉は乾燥すると余分に油を吸ってしまうので、使用後は、毎回袋の中に戻して保存しているそう。

揚げる油も白いものを使っているため、茶色くないとんかつに仕上がります。

 

発見3. とんかつは調味料なしでも成立する

写真は、新潟の“雪室熟成豚”を使用したとんかつ

 

とんかつ=ソース。そんな先入観ありますよね? でも、「成蔵」で食べるなら、まずは一口、何もつけずに食べてみてください。「甘くて溶けちゃう」、「肉汁の旨みがダイレクトに押し寄せてくる!」、そんな感動を覚えるはずです。二口目からは、調味料を使用してもOK! その代わり、ソース以外にも塩や醤油を試してみてください。食べるごとに新鮮な“美味しい”に出会えるはずです。

発見4. 衣はご飯の友になる

マッキー牧元氏に「はがれた衣に塩を掛けてご飯と食べてごらん、合うから」と教えていただき、さっそくチャレンジ! ご飯×とんかつの衣=相性がバツグン!という新しい方程式を覚えました。普通のパン粉だと油っこそうなイメージですが、こちらは口内ですーっと溶けてなくなり、上品な味わい。パン粉の良い香りを堪能できます。

 

発見5. 涙腺をも緩くする“とんかつ”がある

写真は、栃木の“霧降高原豚”を使用したとんかつ

 

なにもかもが初体験の晩餐。「『ONE PIECE』って漫画を読んでないなんて人生半分損しているね」と言われ、半信半疑で読んでみたら「損してたわ……。なんなら2/3損してたわ……」と己の取捨選択を激しく悔やんだことがありますが、まさに同じ気持ち、いやそれ以上の衝撃。思い出すだけでヨダレが出る美味さ。思い出すだけで何故かうるっと来てしまう美味しさ、そんな涙腺をも緩くする口福の訪れを是非経験していただきたいです。概念を覆してくれる「成蔵」のとんかつ、並ぶ価値、大アリ、超アリ、ありありです。