パフェ……。それはディープで奥深く、知れば知るほど底なしのラビリンス。そんな甘美な底なしラビリンスについて、パフェ界では知らぬ人がいないパフェ評論家の斧屋さんにパフェの魅力を語っていただきました!

 

Q: ずばり、パフェの魅力とは?

「パフェが他の料理やスイーツと大きく異なるのは、基本的には背の高いグラスに層を成すようにできているので、“順番がある”というところです。混ぜることもできますが、上から下へという流れがあって、その順番・展開の仕方が、まるで物語を読んでいるかのように楽しむことができます。

 

これがパフェの大きな魅力です。

 

お店によってこの流れに違いがあり、またパフェグラスの種類によっても、パフェの楽しみ方は変わってきます。

 

もう一つの魅力として、五感で楽しめるということがあります。パフェは見た目の美しさ、香り、味、食感、音といった五感に訴えかけるスイーツです。冷たいアイスや温かいソース、切りたてのフルーツの味と香り、サクサクした焼き菓子の食感や音など、その場で食べるからこそ楽しめる多様性(振り幅)がパフェの大きな魅力です。」

 

Q. パフェ好きあるあるとは?

「グラスとパフェスプーンの形状がフィットしていないせいで、パフェの底がすくいきれなくて悔しい思いをすることがあります。そのことに限りませんが、パフェ好きの人はスプーンやグラスの形にもだんだん注目するようになる気がします。」

 

Q.  食べる頻度は?

「1日1本程度のペース(実際は休日にたくさん食べています)。2016年は年間415本でした。」

 

Q. 美味しい食べ方

「「美味しいパフェ」は創り手の意図が伝わってきます。何を伝えたいパフェなのか、というテーマがはっきりしていて、パフェの全体を通じて一貫性があります。したがって、美味しい食べ方は、あまりパフェを混ぜ過ぎず、上からの順番を崩し過ぎないように、創り手の意図を考えながら食べる、というのがよいです。

 

もっとわかりやすく言うと、美味しいパフェは最後まで手抜きをせず、むしろ食べ終わりの余韻まで考えられているので、グラスの底の方の部分にも凝っている、と言うことができます。」

Q. 食べるときのこだわり

「パフェの頂上(トップ)にミントが乗っている場合、それを取るところからスタート。心の中で『失礼します』と唱えながら(あるいは小さくつぶやきながら)ミントを取ってかじり、香りを楽しんでから食べ始めます。」

 

斧屋さんお気に入りの「パフェ」3選

ということで、斧屋さんが選んだ美味しいパフェを3選ご紹介します!

パティスリィ アサコ イワヤナギ(等々力)

【パルフェビジュー スリーズ(6月限定)¥2,800(税抜、ドリンク付き)/撮影はすべて斧屋さんによるもの※写真は去年度のもの

 

「パティスリーのイートインでパフェを提供するお店が増えていますが、『アサコイワヤナギ』の月替わりのパフェは、お菓子屋さんとしての技術と、フルーツ農園直送のおいしい果物の絶妙な融合を楽しむことができます。“パルフェビジュースリーズ”は、その中でも美しさ、おいしさともに秀逸なパフェです。」

パフェ、珈琲、酒 『佐藤』(北海道)

【塩キャラメルとピスタチオ¥1,100(税抜)】

 

「札幌では“シメパフェ”が流行しています。『佐藤』は元デザイナーの方が開いたお店だけあって、お店もパフェも、デザインが凝っていておしゃれです。“塩キャラメルとピスタチオ”は、キャラメル・ピスタチオ・カシスなどで味の振り幅を作りながら、だんだんにスッキリとした味に移り変わるバランスのとれたパフェ。年に何回か提供される“期間限定パフェ”も、独創性が高く、食べ逃したくない逸品です。」

プリンス オブ ザ フルーツ(福岡県)

【左:静岡県産 クラウンメロンパフェ(一年中提供予定)2,000円/右:宮崎県産 完熟マンゴーパフェ(4月〜7月中旬期間限定)3,000円】

「福岡のフルーツパフェ専門店。店主のフルーツへの情熱から生み出される、旬のフルーツを惜しげもなく使ったパフェがすばらしいです。果物は旬の期間が限られ、また少ししか入荷しないこともあり、数日間しか提供できないパフェもあったりします。近くに住んでいたら、全部逃さず食べに行くのですが。」

 

 

 

斧屋

パフェ評論家。単著『東京パフェ学』(文化出版局)を出版。パフェの魅力を多くの人に伝えるために、雑誌やラジオ、トークイベントなどで活動している。