出世ごはん
デキるビジネスパーソンはこんなお店で食べている! 元銀座のホステス&開運アドバイザーの藤島佑雪が、かつての同伴その他の経験から見極めた「出世する店」を「おいしい理由」とともにご紹介!
No.26 フレンチの既成概念を破り、出世するビストロ
ソン デコネ
銀座のお客さまのお宅も多い高級住宅地、渋谷区松濤の一角。「ソン デコネ」さんは、おとぎ話にでも出てきそうな佇まいのフランス料理店です。シェフは10年もフランスで料理をつくっていた日本人、スタッフはフランス人2人。「あそこ、いいよね!」と噂をしているのはおしゃれなひとばかり。なのに、意表を突かれましたよ。BGMがJポップなんですから! 時代は変わった。平成が終わる前に変わったと思いましたね。その昔、お蕎麦屋さんにジャズ、居酒屋さんに昭和歌謡が流れることが新鮮だった時代がありましたが、まさかフレンチでJポップの時代がくるとは。ちょっと前のおしゃれビストロでは、フランスのラジオが流れてましたからね。聞くところによると、Jポップが常にかかっているわけではないらしいのですが、それでも「Jポップはあり!」と判断したのはちょっとした革命では?
でも、考えてみたら遅いくらい? だって、京野菜だのわさびや味噌、醤油だの和の食材から、魚の神経締めだなんて日本料理の技術までをフレンチに取り入れて、はや何十年。某高級フレンチじゃコースの締めくくりに茶道のお点前までやってるわけでしょ? なぜ、もっと手っ取り早い日本の音楽を店に導入しなかったのか。ひとえに、フレンチで日本の音楽を流すのはダサいと思い込んでたからですよね? それを「ソン デコネ」さんはとっぱらってくれたと思うんです。
出典:みるみんくさん
お料理は野菜をたっぷりのナチュラル系。でも、独特のハーブやスパイス使いでオリジナリティのあるテイストに仕上げていて、どう申し上げていいかわからないのですが、とっても今のパリっぽいんです。そんなお料理が、統一されたブランドの食器ではなく、ユーズドのバラバラの器をうまく組み合わせて出てくる。これって和食の文化に近いですよね? 磁器あり、陶器あり、新しいのあり、古いのあり。なんか自由なんです。型にハマってなくて。音楽にしても料理にしても、器にしても「フランスを追いかけてない」感じ。いえ、「日本人が想像(妄想)してきたフランスを追いかけてない」というべきでしょうか。でも、だからこそ、それがよくて「いいな〜」って、わたくしなんかは憧れちゃう。そんなお店なのです。
出典:sakura007さん
サービスをしてくださるフランス人スタッフの2人は、日本語はほぼできません。英語すらおぼつかないくらい。それでもワインは赤か白か、パンがもっと欲しいとか、ちゃんと意思の疎通は可。それどころか、カタコトのやりとりでも2人のチャーミングな個性が伝わってきて、なんだかすごく楽しくなる。お客さまがタバコを1本吸っただけで、灰皿を取り替えるような対応をしていた元銀座のクラブホステスとしては、サービスってなんだろう?って、考えさせられます。神経質なまでに痒いところに手を届かせようと必死になって、かえってお客さまを疲れさせてしまうこともあるでしょうし、「どうにかなるでしょ」とラフに構えながらもハートが通じ合えば、それが最高のおもてなしになることもある。
既成概念にはまらない、お相手にも押し付けない。オーナーシェフの広〜い懐が伝わってきて、お店中が楽しそう! 教科書通りではない、自由な出世の仕方がここにあるようです。