パンラバー ひのようこさんが教えてくれた、日帰りパンの旅 in 千葉

パンラバーは千葉を目指す!?  〈こんがりパンだパンクラブ〉のひのようこさんをナビゲーターに迎え厳選した3店をお届け。

ひのさんに聞く、“千葉パン”の魅力

あれも食べたい、これも食べたい!個性派パンの大豊作地帯

近年、個性溢れるパンが並ぶ店がいくつも出現し、全国のパンラバーが熱い視線を注ぐのが千葉エリア。ファミリー層が中心の郊外ならではのバラエティに富んだ品揃えや、都心の店にはないリーズナブルな価格帯ほか魅力たっぷり。

 

ナビゲーターは「夏の鎌倉とおいしいパン」でもおすすめアドレスを教えてくれた、〈こんがりパンだパンクラブ〉のひのようこさん。「私の出身地でもある千葉には、時間をかけてもまた行きたくなるような、個性的なパン屋さんが多いんです。一口に千葉といっても広いので一回ではなかなか回り切れないとは思うのですが、休日のドライブのコースにしてみたり、遠足気分で訪れたりするのはいかがでしょうか。お散歩にぴったりの公園や海岸も多いので、焼きたてのパンを買って、外の空気を感じながら食べるといった“千葉パン”ならではの楽しみ方もできます」。今回はそんな生粋の“千葉パン”ラバー、ひのさんが厳選した3軒をご紹介。第1回は鎌ケ谷の人気店「こだわりのパン工房 パラオア」へ。

多彩な小麦の魅力を存分に。ソフト&ハードなパンのオールスター戦

鎌ケ谷「こだわりのパン工房 パラオア」

ひのさんが「どれもまず見た目で“これは絶対おいしいに違いない!”と確信できる美しさが特徴。もちろん味も絶品!」と太鼓判を押すのが、東京のベッドタウンとして発展を続ける鎌ケ谷に店を構える「こだわりのパン工房 パラオア」。ハワイ語で「小麦粉、パン」を意味する店名は、オーナーシェフの池口康雄さんの娘さんがフラを習っていたことから、「フラのスピリットに共感して」名付けたのだそう。コンパクトなカフェスペースもある店内には、常時100種類以上のパンがずらり!

ひのさんのスタメンパン

力強いライ麦と溢れ出すチェダーチーズがベストマッチ

「セーグルチェダーチーズ」

酸味のないライ麦パンに濃厚な味わいのチェダーチーズをのせて焼き上げた、熱々で食べたいパン。溶け出したチーズが天板の上でカリカリになった部分の香ばしさもたまらない。セーグル生地は「修業していた店で作っていたものを改良しました。雑穀の味がそのまま楽しめるように考えています」と池口さん。渋皮栗と甘栗の甘露煮、それにヘーゼルナッツの入った「セーグルチェストナッツ」も人気だ。ひのさんも「ここのパンはパン生地と具材、全体のバランスが絶妙なんです」と満足。(250円)

フルーツやナッツがぎっしり詰まった、店の看板パン

「パラオア」

「どのパンもおいしいけれど、お店の名前のついたこのパンはやはり記憶に残る味!」とひのさんも舌を巻く、フランスパンの生地にドライマンゴー、パイナップル、アーモンド、ホワイトチョコを練り込んだ、店の看板パン。「自分の店を始める時に、ハワイ風のパンを、と意識して作ったのがこれなんです」と池口さん。一口頬張れば、甘やかな南国の風がふわり。(270円)

ざっくり食感とフレッシュバターの香りが光る、正統派クロワッサン

「クロワッサン」

最近リニューアルし、美味しさがさらにアップしたというクロワッサンは、ざっくりした歯ざわりが魅力。バターの香りが主張しすぎないので、上品でクラシックな印象もある。池口さん曰く「うちのクロワッサンは通常のものよりも折り数が少ないんです。発酵バターではなくフレッシュバターを使っているのも特徴ですね」とのこと。船橋法典店では発酵バターのクロワッサンも販売予定。(190円)

取材班が見つけた、「あ、これも食べたい!」

「サヴァラン」

池口康雄さんによれば「普通に作っては面白くない。シロップのお風呂にブリオッシュが浸かったようなイメージにしたい!」と考えて作ったという、ラム酒のしっかり効いたシロップが染み込んだサヴァラン。甘さ控えめの大人の味が嬉しい。生クリームもたっぷり!(300円)

「かぼちゃのプリン」

ひのさんが「実はパンだけでなく、プリンも人気商品なので要チェック!」と話す通り、パンを買いに来た人が次々と購入。「最初はハロウィンに合わせて作ったんですが、いつの間にか定番に。これに加えて季節がわりのプリンもあります」と池口さん。かぼちゃそのものの素朴な味わいに心和む。(230円)

SHOP INFO

“選ぶ楽しさ”に重点を置いた、ワクワク感に満ちたディスプレイ

見ているだけで楽しい気分になる、カラフルな菓子パンも豊富にラインナップ

 

食事パン、菓子パン、惣菜パン、サンドイッチとあらゆる種類のパンが所狭しと並べられた店内。池口さんは「パン屋さんに行って、すごくいろいろ並んでいると“どれにしよう?”と悩む楽しみがありますよね。それを実現したかったんです」とにっこり。スタッフによる手書きのポップもキュート!

季節の素材に合わせたフォカッチャも人気。常時数種類ラインナップしている。(250円〜)

 

定番のパンにも一工夫。見た目も中身も個性豊かな仕上がりに。「くるみのメロンパン」(160円)、「チョコくるみパン」(170円)

 

スタッフのリクエストで2018年の夏にデビューした「バインミー」は好評につき継続中。イートインもできる。「バインミー」(400円)、「パラオア」(270円)、「コーヒー(ホット)」(220円)

シェフに直撃!

池口康雄(いけぐち・やすお)
「パン・ダーチザン ニコラ」をはじめ3店で経験を積んだのち、2009年1月に千葉県白井市に最初の店をオープン、2012年9月に現在の場所に移転。2018年11月に船橋法典店をオープンさせたばかり。

 

「このあたりは千葉でもまだまだ人口流入のある、元気のある地域。若い子育て世代の人たちも近所にたくさんいます」と池口さん。もともとライ麦や全粒粉を使ったハード系のパンを得意としてきたが、小さい子供も食べられるようにソフト系のパンも充実させてきたという言葉は、自らもパパであるシェフならでは。「ひとつのパンでお腹がいっぱいになるよりも、いろいろ食べて楽しんでほしい。だからこそサイズは小ぶりに、価格も抑えめにしています」と話す。

 

 

 

取材・文:山下紫陽

写真:ミヤジシンゴ