クセなし!硬くなし! アヒル料理に感動

アヒル塩煮もメニューにない特別料理で、事前予約が必要。写真は半身2,600円です

もう一つの海南島名物「アヒル塩煮」が登場です! アヒルも食べたことがある人は少ないと思います。北京ダックはアヒルの皮ですが、肉を食べるイメージはないですよね。硬そうとか、クセ強そうとか、先入観が邪魔をしてしまいますが、これも「海南島を代表する料理です」とのこと。

 

猫田さん

北京ダックって「北京烤鴨」と書くので鴨だと思っていましたが、アヒルだったんですね……。

アヒルを丸ごと塩で味付けし、煮込むこと1時間。脂がたっぷり出ますが、澄んだ上品な脂なのでくどくないです!

味わってみると全くクセはなく、程よい弾力があって日本の若い地鶏のよう。皮付きなので脂がしっかりのっていて、脂の少ない身とのバランスがちょうど良い。ニワトリとはまた違った、ツウ好みの味わいです。

チャーシューは北京式と香港式の2種あり

焼豚2,000円。塩で味付けした豚バラ肉を専用の窯で1時間じっくり焼き上げます

まずは北京式。いわゆる一般的なチャーシューですが、こちらは皮付きの豚バラ肉に甘じょっぱいタレを付けて味わいます。ちょっと厚めに切るのが特徴です。

人ひとり入れそうな大窯! 中国から輸入したそうです

ちなみに窯はコチラ。お店の3階がキッチンになっており、そこに備え付けてあります。チャーシューなどじっくり焼き上げる系は全てこの窯が活躍します。

香港式叉焼1,380円。豚ロースなので肉肉しさが楽しめます

こちらが香港式叉焼。豚ロースを使い、芝麻(ゴマ)ベースに塩、老酒、ニンニクなどを配合した甘味噌のようなタレに漬け込んで窯で焼き上げます。飲むと1杯では止まらないので我慢しましたが(笑)、ビール欲しくなります!

 

猫田さん

そうそう、この赤色、確かに香港のチャーシューってこんな色ですよね。その理由は「紅糟(ホンツァオ)という発酵調味料を塗り込むためだそうです。肉を柔らかくし、うまみを深める効果があるのだとか。

香港式点心も充実。皮から手作りの餃子や焼売などが楽しめる

広い厨房には李さんともう一人の調理人が。100種類ほどあるメニューを全部2人で作るというから尊敬します

そうそう、李さんは「施家菜」で長年腕を振るっていただけあって、広東・香港料理ももちろんお手のもの。特に香港式点心は20種ほど揃え、全て自家製!

大根餅は3個600円

大根餅は見た目のシンプルさに反してかなり手間がかかる一品。すり下ろした大根に焼豚の角切りを入れ、干しエビなども加えて練り、揚げ焼きにするそうです。皮カリッ、中ムッチムチの食感がたまりませんね。

 

猫田さん

大根餅って、目立たないけど「干しエビ」がかなり大事だと思うんですよ! 入っているといないとでは大違い。

エビ蒸し餃子3個600円。エビのほか豚ミンチ、椎茸、タケノコなど具だくさん

このエビ蒸し餃子がまたうまい! むちっとした手作りの皮の中に、エビ入りの餡がパンパンに詰まっており、噛むと「ブリッ!」と中身が弾けます。これ20個ぐらい食べたいです。

ホタテ蒸し餃子3個600円。皮にカボチャを練り込んでいるのでこの色です

ホタテ蒸し餃子も絶品。エビ、豚ミンチ、椎茸、タケノコなどの具がみっちりで、皮にほのかな甘みがあります。

李さんは日本語が少し苦手ですが、奥様の陳泙さんが流暢なのでコミュニケーションは問題ないです!

芦屋時代は店内に水槽があり、アコウや鮑、オマールエビ、伊勢海老、ミル貝など高級魚介が泳いでいました。今では水槽は別の場所にあり、高級魚の料理も相変わらず充実。海南は暖かい港町なので魚介料理がおいしいんです!

店頭では点心や惣菜などを販売。食べ歩きやテイクアウトにどうぞ!

芦屋時代はちょっと駅から離れていたのでなかなか頻繁には行けませんでしたが、今は元町の商店街内にあり、めちゃめちゃアクセス便利。ランチにも気軽に寄れるのでヘビーユーズしたくなります!

教えてくれた人

猫田しげる

20年以上、グルメ誌、旅行本、レシピ本などの編集・ライター業に従事。各地を転々とした挙句、現在は関西在住。「FRIDAYデジタル」などのweb媒体で記事執筆。めったに更新しない猫田しげるの食ブログ 「クセの強い店が好きだ!」。

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

※価格は税込。

文:猫田しげる
撮影:東谷幸一