つい昼飲みに通いたくなる、しゃれた料理の数々

合鴨のロース煮、大葉、白髪ねぎ、甘辛い江戸甘味噌をベースにそばの汁で伸ばしたそば味噌を、そば粉と水のみを使用した生地で包んだ一品。

「まるで北京ダックで、ビールに合うっ! めちゃくちゃおいしいです!」
と小宮山さんも絶賛。1人でも、2人でシェアでもちょうどいいサイズ感のポーション。
揚げたての天ぷらを気軽に!も叶うのがそば屋の醍醐味

海老2匹、野菜天5種の贅沢な盛り合わせ。この日は、パプリカ、モロッコいんげん、なす、さつまいも、舞茸。できたての天ぷらはシンプルに藻塩とともに。

「飲み慣れた方には、酸味と辛口なキレのあるこちらがオススメです」と店主セレクトの一杯は、秋田の純米山廃仕込み。料理に合う、各地から選りすぐった地酒がたくさん揃う。

冷えたビールを飲み終えたら、日本酒へシフトする小宮山さん。「しゃれたそば前の
つまみが多いから、ゆっくりとお酒を楽しめるのがいい。以前伺ったときは『苺とルッコラのサラダ』があったりと、普通のおそば屋さんにはないようなちょっと珍しいメニューがあるのがいいですね」

「天ぷらは本格的な店より、おそば屋さんで気軽に食べられるのも好きで。彩りも鮮やかでバランスが素晴らしい。僕はそばを食べる前にしっかり飲み終わりたいので、日本酒を1~2合飲んだら、メインのおそばを嗜みます」。安心してゆっくりと大人がくつろげる、本格的なそば前とお酒のラインアップが豊富なのが、昼飲みしたい人にはありがたい。
ひんやりとした喉ごしのよさと深みのある汁が行き交う「もずくそば」

いよいよ昼飲みもラストスパート! メインのそばは、さっぱりとしたもずくが絡む冷やしをチョイス。手打ちされた細めの二八そばには、しっかりとした沖縄もずくと、サクサクとした食感がいい揚げ玉と白きくらげ、爽やかな茗荷が添えられ、砂糖を溶かす分だけ、少量の醤油を加熱して砂糖を溶かし、残りの醤油、みりんを加え、全体を混ぜ合わせる半生がえしと、鯖節と宗田節ベースの出汁が、最高の味わいを奏でる。

客席からも少し見える「打ち場」で、そばはすべて手作りされる。

この日は、顔が見えるお付き合いを続けてきた農家から直送される、埼玉県三芳産と千葉県成田産をブレンドした新そばを使用。使う分だけの玄そばを脱皮して石臼で製粉したものを、毎日2キロほど手打ちする二八そばに、ファンも多い。

「そばは茹で上がった瞬間から劣化してしまうから、出てきた瞬間に食べます」と語る小宮山さん。そばの風味を最大限に味わうために、一緒にお酒は飲まないそう。そば前でお酒を嗜み、そばが来たらパパッとスピードよく食べてサッと帰るのが、小宮山さん流の“そば屋の法則”。「細めのそばは食べやすく、作る直前に薄削りして煮出すフレッシュな出汁は、最後まで飲み干したくなるほどおいしいです」と、底が見えるまで完食。

「昼飲みや一人飲みは、今後“そば飲み”ブームが来ると思うんですよね。居酒屋で昼間に1人はハードル高いし、ラーメン&ビールより罪悪感もない、“そば昼飲み”って最高だし許される感じがしませんか? 前菜で飲んで、おそばで〆て長居せずにサッと帰るのは、どこか上品で大人でむしろカッコいい! おそばを入り口にして、昼飲みデビューするのもありだと思います。“本格的なそばを食べる”という明確な目的があるからこそ、そばの前に飲んでいるだけ、と免罪符感も(笑)。こちらはデートや家族使いにもいいし、お酒が飲めない人と来ても融通がきく、それぞれのペースで楽しめるいいお店です」



