〈秘密の自腹寿司〉
高級寿司の価格は3~5万円が当たり前になり、以前にも増してハードルの高いものに。一方で、最近は高級店のカジュアルラインの立ち食い寿司が人気だったり、昔からの町寿司が見直されはじめたりしている。本企画では、食通が行きつけにしている町寿司や普段使いしている立ち食い寿司など、カジュアルな寿司店を紹介してもらう。
教えてくれる人
山本憲資
Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、Sumallyを起業、2023年10月末に代表を退任し顧問に就任。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。
明石らしさを取り入れた、スタイリッシュな寿司店
山陽電鉄の板宿駅。どこか懐かしい昔ながらの商店がにぎわう大きなアーケード街があり、多くの人が行き交う。そんな駅から徒歩数分のところにある「鮓ちかもち」は、他の店の雰囲気とは異なる、グレーを基調としたモダンな外観が目を引く。
扉を引いて中に入ると、タイル張りの壁や寄木のカウンターなど、いわゆる寿司屋とは思えない内装だ。
ご主人は近持洋一さん。西明石生まれの44歳だ。25歳から東京の寿司店などで経験を積み、30代で帰郷後、明石の魚の棚商店街にある人気寿司店「希凛 本店」へ。2号店では店長も務めた。
2020年に独立し、サービスを担当する奥様の愛さんと夫婦で店を切り盛りしている。独立の際に、「内装などは寿司屋っぽくなく入りやすくし、予約制のコースにして、いいものを食べていただこう」と決め、ネタは明石市場から仕入れている。
「どんな寿司を?」との問いには、「季節のものを大事に、明石らしさを必ず取り入れ、創意工夫のものも加えていきます」と。米はあきたこまち、ひとめぼれ、はえぬきの3種をブレンドして使用。少し硬めのシャリにし、ネタとシャリが口中で同時に消えていくように心掛ける。そのために、米の洗い方、吸水時間、炊き方、混ぜ方などを日々研究しているという。「毎日、炊き上がりの状態は違うのですが、とにかく混ぜすぎない、触りすぎないようにしています」
山本さん
ランチに伺いましたが、しっかり出していただいて、食べごたえがありましたよ!