2018年にオープンした「鮨つぼみ」は「鮨さいとう」の大将、齋藤孝司さんがプロデュース、「LDH」が運営ということであっという間に予約困難になった話題店。現在も予約は約半年待ちですが、訪れるチャンスが到来しました!
「鮨つぼみ」の個室予約が開放された!
寿司好きなら一度は訪れたいと願うけれど会員制のためその希望はほとんど叶うことがない「鮨さいとう」。その大将、齋藤孝司さんがプロデュースし、「LDH」が運営ということでオープン前から話題となり、“齋藤イズム”が継承されたつまみと握りにリピーター続出、あっという間に予約困難となった「鮨つぼみ」。オープンから5年経った今でも予約は4〜6カ月待ちと人気はたかまるばかり、こちらも訪れることは難しいと諦めていたところに朗報が!
今までは来店した人から予約が入った時にしか営業しなかった個室を8月から18時〜と20時半〜の2回転、さらに金曜と土曜と日曜は12時からランチも営業し、大幅に予約が取りやすくなったのです。こちらは裏口を使えば誰にも会わずに入店できるとあって、以前から密かに人気があったそう。
その個室を任されたのが20歳から寿司の世界へ入り、「鮨さいとう」で1年、「鮨つぼみ」で3年が経った今庄和樹さんと、19歳から「鮨さいとう」に入店し、「3110NZ」で2年、「鮨つぼみ」で1年半という大木島翔さんです。ふたりとも“齋藤イズム”をしっかり身につけ、晴れてつけ場に立つことになりました。
“齋藤イズム”を継承したつまみと握りをゆったり個室で堪能する
こちら、魚の切り方や焼き方、味付けなど基本は“鮨さいとう仕込み”。5品のつまみの内、2〜3品が本店と同じ料理を提供しています。その他は「鮨つぼみ」のオリジナル。毎月、1品だけ若手が考えた料理を提供するチャンスをもらえるそうですが、この「鰯の煮付け」がその一つ。甘めに炊き上げた鰯は骨ごと食べられるほどやわらかく、でもしっかりと歯ごたえも感じられる絶妙な食感です。
こちらは「鮨さいとう」定番の焼物。醤油の塗り方、塩の振り方など細かいところまで徹底して教わったそう。ふっくらとやわらかで、中からじんわりとうまみが溢れてくる焼き加減は確かに本店を彷彿とさせます。
魚の仕入れも本店と同じ仲卸から。何を仕入れるかは任されているそうなので、本店にはない寿司ダネが食べられるかも! もちろん酢飯も親方から受け継いでいます。タネによって温度を変えるのも親方譲り。
「甘鯛」は魚本来の持つ味わいをダイレクトに感じて欲しいと、昆布締めにはせずに軽く塩を振るだけで握ります。身を分厚く切りつけているのに、シコシコとした食感で歯切れよくうまみもたっぷり!
真骨頂のマグロは酢飯の温度で決まる!
マグロを切りつけて並べておくのは身の温度を上げるため。赤身はその後に煮切り醤油に漬けるのですが、この漬け時間がパーフェクト! 濃くも薄くもなく赤身の味わいが際立ちます。山葵の利かせ方もいい!
本日は青森県大間の延縄でとれた132.6kgの本マグロ。中トロは赤身とは異なりトゥルトゥルした舌触り。夏のマグロとは思えないくらい脂ものっていて、3kgの米を炊き立てで温度を高めにした酢飯と相まって口の中でとろけます。あぁ、なんというおいしさなのでしょう。これぞマグロの醍醐味!
切りつけ、握り、寿司をおいしくするには相当な技術が必要です。「魚はきれいにおろすと艶が出ます」と今庄さんが言うように、表面には見えていない部分にどれだけ心血を注いでいるかで違いが出るもの。たとえ同じタネと酢飯を使っていても味わいが異なるのはこうした努力によるのです。
烏賊は逆に温度低めの酢飯に合わせます。旬の「新烏賊」はサクサクと歯切れよく、ほんのりと感じる塩味と爽やかな酢橘の酸味が心地よい。同じ酢飯を使っているのに温度が変わると香りも味もまったく違い、淡白な烏賊の味わいに寄り添っています。
進化が止まらない! 毎回楽しみになる店
クライマックスは「穴子」。やわらかく炊き上げた穴子は握り方によって崩れてしまいます。力を入れずに、けれどしっかりと酢飯を包み込む匠の技で握ります。
味のバランスが見事な煮詰めを刷毛で一塗りした穴子は口に入れるとふんわりとした身と酢飯が一緒に解けて喉を通ります。小骨1本たりとも感じることない優しい口当たりで、甘辛味がほんのりと後を引くまさに至福の味わいです。
親方のすごいところは?と問うと「技術はもちろんですが、真似しようにもできないのがお客様への対応です。本店と同じようにここで過ごした時間が楽しい!と思ってもらえるように心がけています」と話す今庄さんは目指す寿司も“親方のようなキレイな寿司”。齋藤さんの寿司は本当に美しいので少しでも近づきたいと目を輝かせます。大木島さんは初めてこのつけ場に立った時のことを緊張のあまりまったく覚えていないそう。お客様にはそんな緊張感なく寿司を味わえる場所でありたいと話します。若手ならではの活気に満ち、日々向上する握りは訪れるごとの楽しみとなることでしょう。