違いを楽しめる2種類のプリン

さて、さっそくプリンの紹介ですが、実は十条珈琲にはプリンが2種類あるんです。レトロな喫茶店で出てくるような銀皿にのせられて登場したのはクラシック・プリン650円。

硬めで卵のコクをしっかりと感じるプリンは甘さ控えめ。上にのったホイップクリームと合わせて食べることで味に奥行きが出てたまりません。

そして、十条珈琲の目玉商品となっているのがこちらのシン・プリンです。提供のタイミングで「ぷるるん」と揺れているまんまるシルエットの球体! これがプリンだなんて……。斬新なビジュアルでこの“まんまるさ”がとにかく愛らしいんです。

スプーンを入れると、心地のよい弾力を感じます。クラシック・プリンよりもなめらかで、ほんのり甘くて口どけがたまらないんです!

そして、まんまるプリンの下にはキラキラと輝くジュレが! 実はこれ、カラメルソースで作ったゼリーをクラッシュした「ジュレカラメル」なんです。何とも素敵な発想力! これは技アリすぎませんか?

プリンの甘さとジュレカラメルのほろ苦さが絶妙。これだけでも十分おいしいのですが、別添えの追いカラメルとミルクをかけることでお好みの味に調整ができるんです。

数あるプリンを食べた中でも、こういう見た目の素敵なプリンって味はそこまで……ということも多いのですが、こちらのシン・プリンはしっかり味もおいしいんです!

盛大にスタンディングオベーションを送りたい気持ちをグッと抑えて、十条珈琲の店主砂原さんにインタビューさせていただきました。

プリン王子「シン・プリンの開発にいたった経緯や開発秘話を教えてほしいです」

砂原さん 「実は、これといってないんですよ」

プリン王子「え? ないんですか!」

砂原さん「新しいプリンの提供方法を模索している中でウイスキー用の丸い氷を作る製氷器をたまたまネットで見つけて、それで作ってみようと思ったらできちゃった感じです。それまでの蓄積と運がよかったのかなと」

プリン王子「製氷器でプリンを作ってみようという発想がまずすごいですよ! なかなか思いつきません。作っていく中で難しかったこととかありますか?」

砂原さん「ぷるるんとしつつ、なめらかな口どけに調整するのが大変でした」

プリン王子「実は、僕もここのシン・プリンを食べた後に自分で作ってみたんですけど、ぷるんぷるんではなくてカチカチのボールみたいになってしまいました。相当難しかったです。なので本当に尊敬です!」

砂原さん「ゼラチンの配分やこの色みを出すのが難しかったですね」

プリン王子「本当に技アリプリンです! プリンの魅力はプリンに厳密な定義がないことだと思っていまして、このシン・プリンはプリンの持つ可能性を広げてくれました。本当にこんな素敵なプリンを作ってくださってありがとうございます」

是非、皆さんもマスターの強いこだわりが詰まったプリンとコーヒーを味わいに「十条珈琲」へ行ってみてくださいね。

※価格はすべて税込。

文:池畑孝資
撮影:佐藤潮