【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#60】「ハラール・ハブ カフェ&レストラン」
仕事で仙台へ行ってきました。個人的に3年ぶりの仙台だったのですが、この3年の間でかなりカレーのお店が増えたことを感じました。街を歩いていてもカレーの文字をよく見かけましたし、カレーのお店の方との会話の中でも「最近仙台はカレーのお店が増えている」という話をよく聞きました。
仙台には古き良きお店も色々とあるのですが、今回はこの数年でできた新店の中から、特に面白いと感じたお店をご紹介しましょう。仙台市青葉区にある「ハラールハブ カフェ&レストラン」です。
一見今どき感のあるおしゃれなカフェ風。内装も同様なのですが漂ってくるのはスパイスの香り。こちらのお店の実態はバングラデシュ料理店なのです。
バングラデシュ料理と言えば東京では錦糸町が聖地となっており、様々なお店がありますがその多くは飾らない素朴な盛り付けであり、いかにも現地料理のお店といった風で店員さんも海外の方ばかりだったりと慣れていない方には少し入りにくいような雰囲気なのですが、こちらは先述したようにカフェに見えることもあり、誰にでも入りやすいと言えるでしょう。
それでいて食べてみるとこれが確実に現地の味。オーナーがバングラデシュ出身のマムンさんという方で、だからこその本物のおいしさだというわけです。
「3種類のカレーセット」1,580円はバングラデシュのチキンカレー、マトンカレー、豆カレーに、バングラデシュらしいマスタードオイルを使用したシンプルなサラダ、バスマティライス、チャパティ、豆スープがついた豪華なターリ。一見ネパールのダルバートのようにも見えますが、食べてみれば素朴で滋味深いバングラデシュの味であり、飽きの来ないしみじみとおいしい料理なのです。
「1800年代のコロマカレー」1,680円という興味深いメニューもあります。こちらはスパイスカレー的な盛り付けで、コルマとも呼ばれる牛乳や生クリームで作る料理の昔ながらのスタイルの味を楽しむことができるというもの。優しくミルキーな味わいのグレイビー。それを吸い込んだじゃがいもがたっぷり。現代インド料理のコルマと共通する部分はありつつも、もっと軽やかで優しい味。辛いものが苦手な方におすすめです。
食後には「チョムチャム」590円をデザートに、「スパイシーレモンジンジャーチャイ」400円を合わせました。チョムチョムとも呼ばれるバングラデシュのデザートはわかりやすく言えばココナッツをまぶした非常に甘いドーナツ的なもの。インド亜大陸のデザートは本当に甘すぎるくらいに甘いのですが、これをカフェ的なお店で体験できるという楽しさもあります。
スパイシーレモンジンジャーチャイは生姜やカルダモンが入った紅茶にレモン汁が加わった、マサラレモンティー的なもの。こちらは非常にさっぱりとして、チョムチャムの甘さをスッと和らげてくれました。
マムンさんは英会話教室を手がけたりYouTubeをやっていたりと非常に活動的な方であり、だからこそバングラデシュ料理の魅力をマニア以外の人にも届けたいということでこのようなスタイルのお店を作り上げたのでしょう。
東京で例えるなら見た目は下北沢的で味は錦糸町。最近は見た目重視でカレーを選び、食べ歩いている方も増えてきました。そんな方はどうしても素朴な現地料理にたどり着くことが少ないのですが、こちらは見た目重視でカレーを食べている方にも現地料理の魅力に気づかせてくれる存在となり得るお店です。
2020年に開店ということでまだ歴史は古くないのですが、これからの仙台カレーを引っ張っていく存在のひとつになりそうですね。