初心に立ち返ることで生まれた贅沢果実パフェ

季節のパフェ

「イチゴとピスタチオのパフェ」1,420円

順風満帆な店の歴史に思えるが、若者たちの本通離れなどの影響で、一時は存続の危機もあったという。「どうしたら店を持ち直せるか」と高橋さんは真剣に考え、飲食店仲間に相談。「この仕事の一番好きな瞬間は何」と聞かれ、客が満面の笑顔でデザートを食べているシーンが心に浮かんだそう。

「デザートをもう一度見直してみよう」。昔から愛されつつ目玉でもあるパフェを一から考え直し、旬のフルーツを盛り込み、ハーブがほんのり香る今までにない新たなメニューを誕生させた。テーマは“食べ進めるごとに満足感が増すパフェ”。見た目だけがきれいで中身が残念、ではなく、そのルックスにも驚きつつ、食べていくごとに違った食感や味わいが生まれてくるような品を目指した。そして、高橋さんが精魂込めて作ったパフェは大当たりし、パフェを目当てに通う客が続出。今では、季節ごとに新作が登場し、店は年中賑わうようになった。

まるでケーキとフルーツを一度に食べているかのような贅沢さを味わえる

春はイチゴ、夏はモモやシャインマスカット、冬は柑橘類が定番で、ほかにもパイナップルやチェリーなどが四季折々にグラスを彩る。

春季に提供していた「イチゴとピスタチオのパフェ」は、イチゴをふんだんに使い、コクのある生乳ソフトクリームや濃厚なピスタチオアイス、トロトロのパンナコッタが詰まった、まさにスイーツの宝石箱。トップに自家製カスタードのタルト、ところどころに岩塩のクランブルやフィアンティーヌのサクサク感が感じられ、最後はグラスの底に溜まったイチゴのスパイス煮で余韻までおいしい。パフェの内容がよくわかるようにと具材を明記したオリジナルシートや、食べやすくするための取り皿を用意してあるのもうれしい心遣いだ。

「ありがとう」の言葉と笑顔があふれる店に

県内外在住者にかかわらず、「訪れるお客様すべてに楽しさと喜びを届けたい」と話す高橋さん。ある時店の評判をインターネットで検索したところ、「入口にある馬が持っているコーヒーカップの中に何が入っているか、子どもの頃とても気になっていた。大人になって覗き込んでみると煙草の吸殻が入っていてガッカリ」という口コミを見つけたそう。残念な気持ちにさせてしまったな、もっと心和む仕掛けにしようと、その後は“大きくなったね”というメッセージをカップの内側に描いたという。

「ここにこの店があって良かったなと思ってもらえる店にしたいんです」と、高橋さん。名物ランチやスイーツとともに、温かな人情を感じに、足を運んでみてはいかがだろう。

※価格は税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

取材・文・撮影:FLAG!編集部